近年の日本映画の害悪の1つがオフビートを気取った内輪ウケの笑いだ。これはおそらくTVに対するカウンターとして小劇場演劇で興り、TVや映画へと逆輸入されたのだと思われるがその結果、50歳を過ぎた福田雄一や三木聡が臆面もなくこれを続け、日本の映画館には後始末もされない駄作が腐臭を上げているのである。今年、『大怪獣のあとしまつ』が近年稀に見る酷評をウケた三木聡がぐっと予算を抑えた本作をリリースするが、いったいどうして映画を撮り続けることが許されるのだろう?
マーク・シリングなる人物と組んだ本作のストーリーをいちいち書き連ねるつもりはない。ナンセンスコメディを気取った品のないデヴィッド・リンチ映画のパロディ(劇伴はアンジェロ・バダラメンティそっくり)に過ぎず、主演の成田凌は決定的な間の悪さでコメディセンスの欠如を証明してしまっている。『茜色に焼かれる』で注目された片山友希にとってはキャリアの足を引っ張る作品と言ってもいいだろう。辺境のコンビニでうらぶられた若妻を演じる前田敦子はファム・ファタルを懸命に演じているが、彼女の才能はもっと他の映画で発揮されるべきだ。
わかる人にだけわかればいい、というナラティブの軽視がまっとうな観客を育ててこなかった。ストリーミングサービスの充実により、優れた作品が世界同時に見られるようになった今日、本作に時間を費やすことはムダ以外のなにものでもない。
『コンビニエンス・ストーリー』22・日
監督 三木聡
出演 成田凌、前田敦子、六角精児、片山友希
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