RPGゲームの元祖とも言うべきTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』はこれまで何度も映像化されてきたものの、長い歴史と強固なファンダムを持つにも関わらずヒットには恵まれてこなかった。11年ぶり4度目の映画化となる本作は人気スターを揃え、ファン以外の層にも広くアピールするユーモラスでフィールグッドなブロックバスターとしてようやく大ヒットを記録(おまけに批評家からも大絶賛)。原作との比較なんて野暮なマネはファンの諸氏にお任せするとして、ファンタジー特有の壮大さよりもハイストムービーとして明確なミッションに的が絞られ、何よりわかりやすいギャグがふんだんに散りばめられているのが本作の勝因だろう。
嬉々として悪役を演じたヒュー・グラントは脚本を読んで「それで(コレを書いた3人のうち)誰がイギリス人なんだ?」と聞いたそうな。チャーミングなチャラ男ぶりに磨きのかかるクリス・パインと、テキトー男ぶりに拍車がかかるヒュー・グラントが並び立つ様は肩肘張らない本作の魅力を象徴しているではないか。戦闘要員が女性に任されているのも小気味よく、自由自在に動物変化するドリック役ソフィア・リリスがキュート。そして今年45歳を迎えるミシェル・ロドリゲスには貫禄すら漂い、あの『ガールファイト』の眼光鋭い少女が随分立派なスターへと成長したなぁと見惚れてしまった。NetflixのTVシリーズ『ブリジャートン家』でブレイク以後、上り調子のレゲ=ジャン・ペイジの出番が思いの外、短いのは残念だが、彼演じるセクシーパラディンは映画のバランスを崩しかねない色気なので、まぁこんなもので良いのだろう。もちろん製作されるであろう第2弾にはぜひともパーティーを再集結してもらいたい!
『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』23・米
監督 ジョナサン・ゴールドスタイン、ジョン・フランシス・デイリー
出演 クリス・パイン、ミシェル・ロドリゲス、レゲ=ジャン・ペイジ、ジャスティス・スミス、ソフィア・リリス、ヒュー・グラント
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