
第89回アカデミー長編ドキュメンタリー賞一次候補選出作品。1964年、街中で一人の女性が殺害されるも、現場に居合わせた人々は助けもしなければ通報する事もなかった。
大都市に内在する“無関心”の問題は日本でもしばしば駅ホームの事故等でクローズアップされる。このキティ・ジェノヴィーズ事件は後に社会学のテキストとなり『傍観者効果』という言葉が生まれた。
映画は被害者キティの弟であるビルが事件を再検証していく様を追うが、主眼は事件の真相究明ではない。人々は無視したのではなく本当に知らなかったのであり、傍観者効果は世間が作り上げた言葉だったという事がわかる。幼かったビルにとって歳の離れたキティは憧れの姉であり、彼女の私生活は知る由もなかった。姉は同性愛者であり、当時の恋人の口は今もなお重い。
犯罪被害者は一体いつになったら救われるのか?
ベトナム戦争に従軍し、両足を失ったビルの姿に自ずと失ったものの大きさが見えてくる。周囲の家族は“いい加減、前に進むべきだ”と言わんばかりだ。カメラと被写体の距離感は哀しいかな、僕たちが傍観者以上たり得ないことを象徴している。
大都市に内在する“無関心”の問題は日本でもしばしば駅ホームの事故等でクローズアップされる。このキティ・ジェノヴィーズ事件は後に社会学のテキストとなり『傍観者効果』という言葉が生まれた。
映画は被害者キティの弟であるビルが事件を再検証していく様を追うが、主眼は事件の真相究明ではない。人々は無視したのではなく本当に知らなかったのであり、傍観者効果は世間が作り上げた言葉だったという事がわかる。幼かったビルにとって歳の離れたキティは憧れの姉であり、彼女の私生活は知る由もなかった。姉は同性愛者であり、当時の恋人の口は今もなお重い。
犯罪被害者は一体いつになったら救われるのか?
ベトナム戦争に従軍し、両足を失ったビルの姿に自ずと失ったものの大きさが見えてくる。周囲の家族は“いい加減、前に進むべきだ”と言わんばかりだ。カメラと被写体の距離感は哀しいかな、僕たちが傍観者以上たり得ないことを象徴している。
『38人の沈黙する目撃者』15・米
監督 ジェームズ・ソロモン
※Netflixで鑑賞。現在未配信※
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