ノア・バームバック監督の最新作は今回も機能不全な家族の肖像だ。
奔放な父への愛憎はブレイク作『イカとクジラ』と共通するものがあり、このテーマは彼の自伝的要素が強いのかもしれない。
腹違いの兄弟に扮したアダム・サンドラーとベン・スティラーの2大喜劇俳優揃い踏みが圧巻だ。
サンドラーは娘(キュートなグレース・ヴァン・パタン嬢)を大学へ送り出した立派な父親だが、子供のような癇癪持ち。方やスティラーは社会的な地位を築いているが、父との幼少期のわだかまりが未だに消えない。いい歳して父親にかまってもらいたい、愛されたいという想いと無下にされてきた怒りが混在する拗らせっぷりはこの2人だからこそ可笑しく、哀しい。バームバック映画の主人公は自分が思っていたよりも早く大人になってしまい、その事実についていけない人々だ。滑稽で哀れな可笑しみは喜劇俳優だからこそ表現し得るものかもしれない(姉役エリザベス・マーヴェルが2人の間で調和する巧者っぷり)。
ダスティン・ホフマンが久々に演じ甲斐のある役を得ている。かつてちょっとだけ売れた彫刻家で、自尊心とボヘミアンな奔放さが家族や周囲に迷惑をかけまくるが、本人は全く意に介していない。彼がサンドラーを連れて青年時代にルームシェアした大芸術家のレセプションに行くシーンは見所だ。バームバックは毎作、売れない芸術家の惨めさをこれでもかとリアルに描写するからイタいの何の。
章仕立ての構成はドラマツルギーなどおかまいなしに何度も中断される。家族史はこれからも何度となく更新され、改訂版が出るからだ。人生のほんの一時をスケッチした、私小説のような映画である。
奔放な父への愛憎はブレイク作『イカとクジラ』と共通するものがあり、このテーマは彼の自伝的要素が強いのかもしれない。
腹違いの兄弟に扮したアダム・サンドラーとベン・スティラーの2大喜劇俳優揃い踏みが圧巻だ。
サンドラーは娘(キュートなグレース・ヴァン・パタン嬢)を大学へ送り出した立派な父親だが、子供のような癇癪持ち。方やスティラーは社会的な地位を築いているが、父との幼少期のわだかまりが未だに消えない。いい歳して父親にかまってもらいたい、愛されたいという想いと無下にされてきた怒りが混在する拗らせっぷりはこの2人だからこそ可笑しく、哀しい。バームバック映画の主人公は自分が思っていたよりも早く大人になってしまい、その事実についていけない人々だ。滑稽で哀れな可笑しみは喜劇俳優だからこそ表現し得るものかもしれない(姉役エリザベス・マーヴェルが2人の間で調和する巧者っぷり)。
ダスティン・ホフマンが久々に演じ甲斐のある役を得ている。かつてちょっとだけ売れた彫刻家で、自尊心とボヘミアンな奔放さが家族や周囲に迷惑をかけまくるが、本人は全く意に介していない。彼がサンドラーを連れて青年時代にルームシェアした大芸術家のレセプションに行くシーンは見所だ。バームバックは毎作、売れない芸術家の惨めさをこれでもかとリアルに描写するからイタいの何の。
章仕立ての構成はドラマツルギーなどおかまいなしに何度も中断される。家族史はこれからも何度となく更新され、改訂版が出るからだ。人生のほんの一時をスケッチした、私小説のような映画である。
『マイヤー・ウィッツ家の人々(改訂版)』17・米
監督 ノア・バームバック
出演 アダム・サンドラー、ベン・スティラー、ダスティン・ホフマン、エリザベス・マーヴェル、グレース・ヴァン・パタン、エマ・トンプソン
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