もうとっくに雨戸は閉めていたのですが、19時ごろ見たら外は雪がしっかり積もっている。
まあ、いろいろたいへんな方も多いでしょうが、
私は
雪だるまを作ることといたします。
作業ジャンパーと長靴、ビデオの用意!
風呂の湯沸しセット。
23:30
ガラッ!玄関の外は一面銀世界。
おお、やっと雪だるまを作れるぞ。
ん?弟がまだ起きているな。
「おい、一緒に雪だるま作ろうぜ」
「おにい、歳いくつになったんだよ。いいおっさんが恥ずかしくないの?」
そう言いながらも、私が雪だるまを作り始めると、外へ出てきてその様子を後ろから見ている。
たぶん本当は作りたいんだろう。
弟は、部屋に戻るでもなくタバコに火をつける。
「おい、いい加減煙草をやめろよ」
「うちの親戚でガンはいないんだから大丈夫だよ。禁煙のストレスの方が体に悪いし、税金だって払ってるんだからいいだろ。国が販売を禁止したら止めるよ」
ああ、昔私が言っていた理屈そのものだ。吸わない者からすれば部屋と空気を汚す無駄な出費だが、気分を落ち着けたり便秘の解消に役立っているだろう事も納得はできる。国に責任転嫁すれば楽であるし、実際その税金がなければ他から取らなければならなくなるのだろうから皆にやめてもらうのは困るかも知れぬ。
で、雪だるまというのは最初の玉がしっかり固まるかどうかが勝負だ。
そしてある程度の大きさになれば、玉の自重で勝手に固まり大きくなる。
だが、どうも私はへたくそになったようだ。
しっかり固まらなくて、バレーボール大になると潰れてしまう。
かといって、力を抜いては大きくなっていかない。
何度かそれを繰り返し、助けを求めて弟のほうを振り返ると、弟は鼻で笑って部屋へ戻っていった。
仕方が無い、あれにするか・・・

ばけつ。
雪をバケツに押し込んでぎゅっと固める。
このとき満タンまで固めてはいけない。中の雪を落とすだけの隙間が必要だから。
固めたら逆さにして軽くトンと落とす。中の雪がきれいに取れる。
それを積み上げておしまい。
手抜きだけど、まあ良いや。
なんだか気持ちが冷めちゃったから。
でも、これってなんだかトイレットペーパーみたいだな。
冷めちゃったのは、弟に鼻で笑われた所為かな。
いや、空が晴れている所為だろう。
おっさんが一人で雪だるまを夜中に作るというのは、かなりの狂気が必要だろう。
去年はまだ吹雪いている中で作ったから、公園まで走っていって作っても平気だった。
嵐の中で蠢く狂気的興奮が私を駆り立てたのだろう。
こんな空が晴れた状態では、十分な雪があったとしても喜ぶのは子供だけだ。
もしかしたら、夜更かしした子供たちがそっと家を抜け出して雪だるまを作っているかもしれない。
お~い、怪しいおっさんには気をつけろよ。
酔っ払いにもな。