”香春岳は異様な山である。決して高い山ではないが、そのあたえる印象が異様なのだ”
小説「青春の門」にはそう書かれているらしいです。
読んだことはないのですが。(映画は見ました。)
確かに異様な山なのです。
前回、福智山の帰りに寄ったコンビニの駐車場から見たこの山はまさにそうで、夕方の斜光を浴び輝いているのですが黄砂が舞っていたため赤とも黄色ともつかぬ不思議な色に染まりなんとも言えぬ存在感を放っておりました。
またその造形が異様で3つ並んだ山がなぜだかわかりませんが不安な気持ちにさせ、石灰石採掘のために削り取られた一の岳の無残な姿がさらに不安を掻き立てるのです。
しかし妙に心を引き付ける不思議な山でもあります。
そんな香春岳を牛斬山とセットで登ってきました。
初挑戦です。
スタートはJR採銅所駅
実はここに来ることも今回の楽しみの1つ。
すきなんですよねえ、こういうレトロな建造物。
いやあ、良いですね。いつかここから乗車してみたい。
それではスタート。
線路を渡り、はじめは矢山の集落を行くのですがこの集落が結構な急登。
思いがけぬ急登の集落を抜けると今度は竹林。
そして植林の登山道となります。
これまた結構な坂を登って
牛斬山登頂!
ガスってますが、これはほどなく晴れるでしょう。
ほらね。
残念ながら遠望は効かず、香春岳の姿は見ることはできませんでしたが良いものが見れました。
晴れた日にまた来たいですな。
次は香春岳に向かいます。
縦走路はまだガスっていましたが
だんだんと晴れてきました。
開放的で気持ちの良い道でしたよ。気に入りました。
いったん樹林帯に入ります。
そしてしばらく歩くと…
香春岳が低山とは思えない迫力で現れます。
これ登るのかあ…
この後五徳峠に出て香春岳への取り付きとなります。
しばらく歩くと分岐に出ますので今回は岩登りコースを取ります。
この岩場も楽しみの1つ。
岩登りコースは累々と積み重なる岩をよじ登るなかなか楽しいものでした。
難易度はそう高くはないのですが、かといって気を抜けるほど簡単でもなく適度なスリルを味わえるのです。
岩をよじっている間は、疲れをあまり感じない体質でして気が付けば山頂部にいました。
牛斬山が見えます。
遠く英彦山
すっかりお天気。
二の岳方面
山頂部の岩場を超えると
山頂です!
とても展望が良いのです。
ここで昼食とします。
英彦山を眺めながら優雅なひと時。
この日の山頂は自分のほかに、仲の良い家族が一組。
子供たちが学校や部活のことを楽しそうに話していて、なんだか平和な時間。
登ってみると全然異様でも不気味でもない良い山ではないですか。
満足して下山。
山麓には梅が咲いておりました。
振り返る三の岳
下山後は採銅所駅まで香春の街を歩いて帰るのですがなかなか楽しかったです。
良い雰囲気の神社発見。
御神木も良い感じ。
ここには地域の人が詠った短歌が飾ってありました。
お気に入りがこれ。
”コスモスはうすいピンクできれいだな
風になびいてダンスをしてる”
良い詩ではないですか。
きっと、良い作品を作ろうとかではなく、本当にそう感じてそれをそのまま詠んだのでしょう。
コスモスの咲くころ、また来てみたいですね。
そんな小さな計画までいただいてしまいました。
一度は死を近くに感じていたワタクシには、今後にやりたいことを見つけるのは何より嬉しいことなのです。
おっと、これ以上語ると死亡フラグみたいになりそうなので、これくらいにしておこう。
調子はどうかね?
神社の多いところでした。
山を削って生きていた地域なので、山の神に対する畏怖の念が強いのかもしれません。
タケノコミサイル?
採銅所駅に戻った後は”異様な山”のビュースポットを探してみました。
なかなかいいんじゃないでしょうか。
そのあと寄った温泉の駐車場から。これもなかなか異様ですね。
温泉が閉まっていたのは残念。
これにて今回の山行は終了。
登山だけではなく初めて訪れた町を歩き、感じ、発見する。
こんな登山を今後はやっていきたいと思っています。
猫に出会えなかったのはちょっと残念。
実は近場でまだ行ったことのない山が結構残っているのです。
コロナのおかげで県外は自粛モードなので、地元福岡の山に再注目しています。
それに初めての山と町というのは、やはり楽しいものです。
山を始めたころから登頂した山を記す「ピークハント帳」をつけているのですが、最近更新がめっきり減っています。
始めたころは当然毎回のように初挑戦の山なのですが、だんだんと行く山が決まってきて初登頂の山が減ってきているのです。
なので今年からは未踏の山も積極的に登り、小さな冒険心を取り戻そうと思っております。
そして今回新たに牛斬山と香春岳の名が刻まれたのでした。
現在135座。
今年は何座まで伸ばせるでしょうか?