パンクと釣り

オールドタックルでのバスを中心にした釣行記
ハードコアパンクバンドNERDとCARCASS GRINDERの活動

冬期北アルプスに挑戦 ②焼岳

2019年03月17日 | 

すっかり春めいてきた今日この頃ですが、いまだに魂は北アルプスから抜け出せずにおります。

夢のような旅の日々と現在の状況のギャップに全く対処できておりませんが、次の旅に出る日を心の支えとし頑張っておりますよ。

旅とは留まることが許されない楽園を訪れることと見たり。

けっこうリスキーかもしれませんね。

それでは日本百名山・焼岳の冬期登山です。

 

後半戦は前半戦とうってかわって穏やかで優しい雪山となりました。

新穂高を後にし向かったのは中の湯温泉。

前日に電話したのですが泊めてもらえるとのことでしたので、ここを拠点に焼岳を狙います。

送迎バスに来てもらって旅館に到着。

旅情たっぷり。

今日から2泊お世話になる部屋。

窓からの景色。

とりあえず一息ついたら温泉。

とても良い温泉でした。

露天風呂につかっていると、可愛らしい小鳥が次から次に飛んでくるのです。

よく見ると湯船の片隅に餌箱が置いてあり、これを目当てにやってくるのでした。

旅館の方々の粋な計らいですねえ。

食事の後もう一度温泉。

雪がちらつく中、露天でのんびり。

これだけまったり温まってしまうと、明日雪山に戻るのが若干おっくうになってしまいますが、焼岳登頂を果たした後の温泉を味わうためにも頑張らなければ!

夜の雰囲気もよいですねえ。

ところでこの中の湯温泉旅館、かなり良かったです!

温泉は良いし、情緒もあるし、凍傷で鼻の頭がズル剥けた私なんぞにも親切にしてくれたスタッフも暖かい。

山をやらない人にもお勧めですよ。

上高地でのスノーシューハイクのガイドサービスもやってます。スノーシューもレンタルできるし楽しそう。

 

さて焼岳アタックの日がやってきました。

心配していた天気は上々!

朝食を済ませると

日の出!さあ出発だ!

旅館を出るとしばらくは林道を行くのですが、突然絶景が飛び込んできます。

穂高!奥穂と前穂です。

テンションあがります!

しかし天気が良い!

昨日までの荒天が嘘のよう。

しかも先行者がおり、トレースがついています。

覚悟していたラッセルを免除されてかなり楽になりました。

トレースに導かれ

汗ばむ陽気の中高度を上げていきます。

何とも美しい森の中を歩き続けます。

思わず声に出してつぶやきます。

パラダイスかよ…と。

まさにパラダイス。

樹林帯でこのパラダイス度!

稜線に出たら気絶するのではなかろうか?

しばらく行くと広い雪原に出ます。

焼岳が見えた!

この辺りから積雪が増えてきます。

そして山頂部への急斜面に取付くと

トレースの主が見えました。

追いついて交代しようかと思いましたが、ここからはトレースがあってもなかなか進みません。

結局ワカンを装着しました。

なかなかしんどいラッセルとなりました。

トレースがなかったら、かなり厳しかったでしょう。

ありがとう、先行のお2人!

勾配はこんな感じ。

続くラッセル。

でも展望はスバラシイ!

段々と雪が締まってきます。

岩稜帯に突入。このころはワカンをアイゼンに履き替えてます。

そして頂上直下!

最後の登りを終えると本当のパラダイスが待っていたのでした。

ドーンと目に飛び込んできたのは笠が岳!

そして穂高!

振り返れば乗鞍!

霞沢岳!

そしてこの晴天!

穂高に近づいてみました。

左奥には槍ヶ岳も見えています。

槍から前穂まで縦走した夏を思い出します。

西穂からは見ることができなかった白い穂高連峰を拝めて感無量。

西穂~奥穂縦走はぜひやってみたいですな!できれば槍まで!

火口癖

頂上には人が増えてきました。

皆口々に「来てよかった!」と言っています。

激しく同意します!

笠ヶ岳アップ。

笠ヶ岳を始めに見たのは立山に登った時だったか。

槍穂をやった時には北穂から見た笠ヶ岳の雄姿にやられていつか登ろうと誓ったものです。

近い将来、槍~笠縦走をやってやろうともくろんでおります。

 

なかなか写真では伝わらないのですが、ものすごいスケール感なのです!

これは登った者のみ味わえる感覚でしょう。

是非、実際に自分の眼で見ていただきたい景色です。

 

あまりにもパラダイスすぎたので、かなり長居しましたがそろそろ下山しなくてはなりません。

下山開始。

下山中も絶景

振り返る山頂部

午後のあたたかな陽ざしと雪の造形

全然寒くないんです。

さらば焼岳!

再び楽園の樹林へと降りて行きます。

こうして焼岳への挑戦は無事に終わりました。

先行者のラッセル頼りでしたので、西穂同様他力本願ぎみですが、まあ登ったことには変わりなし!ということで。

何より天候に恵まれ、スバラシイものが見れたことが嬉しいです。

次の日はまた荒れたようなので、奇跡的に低気圧の切れ目にあたったようです。

生きてりゃ良いこともあるもんだ。

旅館に帰るとスタッフのおじさんが「タケダさん凍傷ひどくなってない?」というので鏡を見ると確かにひどくなってます。

今度は日焼けしたようです。

凍ったり焼けたりかわいそうな顔面ですな。

ゴーグルの跡がくっきり。これはまあ刀傷みたいでちょっとかっこイイ?のですが…

この鼻はかっこわりーですな。

現在もよく見たらわかるくらいの跡が残ってます。

それはさておき、極上の温泉と勝利の酒を味わってゆっくりと休みました。

ちなみに雪山から下山した後の正月番組もなかなか極上。

普段は見ないTVですが、このときは観るんですよね。

キビシイ自然環境後の下界感が心地よいのでしょう。

 

翌日は旅館を後にしのんびり名古屋まで移動。

しばらく名古屋をうろついて静岡在住の田沢君夫妻に相手してもらうことに。

このお2人は1年前の赤石岳の時も遭いに来てくれました。今年も遠慮なく連絡してしまいました。

田沢家で少し飲んでそのまま泊めていただきました。

 

翌朝夫妻に送ってもらって帰路につきます。

お世話になりました!

 

こうして冬の旅は終わってしまいました。

まだまだ気ままにさまよっていたかったけど、そうもいきませんので…。

 

帰りの新幹線の中で、早くも1年後の計画を考え始めます。

焼岳から見た乗鞍もいいな、久々に八ヶ岳に行って権現~赤岳もいいな、南アルプスの北岳や悪沢、聖岳も良いかも、四国っていう手もあるな、などと妄想するのも楽しみの1つなのです。

その前にGWと夏の遠征もありますしね。

 

行きたいところがあるというのは、幸せなことかもしれません。

 

 

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冬期北アルプスに挑戦 ①西穂高岳

2019年03月06日 | 

3月です。

恒例の繁忙期に突入し山にも釣りにも行けない日々が続いていますが、たまに魂だけ厳冬の北アの稜線をさまよったりしながら、やり過ごしています。

では、いまだに魂が抜け出せずにいる年末年始の北アルプス遠征を思い出してみましょう。病状が悪化しそうで少々心配ですが…。

まずは西穂高岳を狙います。技術的には今までで最難なのではないでしょうか?

これまでにクリアしてきた自分的雪山難ルートの八ヶ岳横岳、塩見岳山頂部、赤石岳核心部の経験を武器にどこまでやれるのか挑戦してみましょう。

 

いつものように一番遅い新幹線で博多から名古屋まで行きネカフェ泊でスタート。

今年はスタートが遅くこの日が大晦日。年が明けるころにはぐっすり眠っていました。

 

翌朝は元旦。ネカフェで明けましておめでとうとは何とも味気ないですがしかたないですね。今は旅人ですから。

朝一の特急で高山駅まで行き、バスで西穂高ロープウェイ駅まで。昼過ぎには到着。ここまでは槍・穂や常念山脈の時とほぼ同じなので難なく来れました。

2本のロープウェイを乗り継ぎ(どちらも女子添乗員が可愛い)、登山口に到着。

登山を開始する前に食堂で腹ごしらえ。名前に惹かれれて「雲海うどん」なるものを頼んだのですが、これがトロロで雲海を表現したもの。じつは私、山芋アレルギーでして…。

トロロをよけつつうどんだけをすすったのですが、少しだけかゆくなってしまいました。(少し肺に入った…!とナウシカ風に心の中でつぶやく)

登山届もここで提出していよいよ出発!と言ってもこの日は西穂山荘まで1時間半の行程ですが。

天気はあいにくですが、無いのではないかと心配していた積雪はしっかりとありました。年末の寒波でかなり降ったようですね。

ほどなく本日の宿、西穂山荘に到着。

このころには時折晴れ間もみえました。

山荘があるところはあまり風の影響を受けないようで、穏やかでした。テント泊の人たちも快適そうでしたよ。

名物雪だるまもありました。この人が生まれた時はまだ雪が少なかったため例年よりスリムになったようです。

それでは明日のアタックに備え山荘で体を休めることにしましょう。

この山荘はとても居心地がよく、ゆっくりとできました。

スタッフも親切。ロープウェイと同じく女子スタッフが素朴で可愛いのも良い。

気になる明日の天気ですが、山荘オーナーの話では非常に予測がしにくいとのこと。わかっているのは風が非常に強く、気温も低いということだけ。

風速20mで気温マイナス20℃らしい。

キビシイ戦いになるのは決定しているようです。

とりあえず明日のために今日も寝ましょう。

 

翌朝。西穂高岳アタックの日が訪れました。

天気は昨日と同じ感じ。ガスってます。

天候回復を信じて出発!

緩やかに高度を上げてゆきます。

稜線に出るとやはり風が強い。

しかしながら、登山道はなだらかで難しいところはありません。

強風の中歩を進めると白く輝く三角形が!ピラミッドピークです。

さらに行くと独標も見えてきました。

はじめて観る厳冬の穂高の稜線に士気が上がります!

独標が近づいてきました。

この独標の登高からやっと岩稜が現れます。

その岩稜をクリアすると

独標に到着。

振り返る稜線

そして

これから向かうピラミッドピーク!

さらにその奥に続く稜線も見えます。

いやあ、これは厳しそうだ。

そしてその荘厳なる姿に心を囚われると、どうしても行きたくなるのだから危険ですよねえ。セイレーンの魔女でもいるのでしょうか?

いるならロープウェイや山荘のスタッフと同様に可愛いと良いのですが。

 

ここで問題が発生します。

ここまでは多くの人々が登ってくるのですが、だれもここから先へは行こうとしないのです。

皆、先に続く稜線を恐る恐る覗いては、無理無理と言って引き返してしまいます。

別に他人をあてにしていたわけではありませんが、何かあった時誰にも発見されないのは怖いですし…しかもここは穂高の稜線。

何かが起きても不思議ではありません。

だったら1人で来るなよ!ということになるので、とりあえず行けるところまで行ってみることに。

無理だと思ったら引き返そう。勇気ある撤退も去年覚えたことだし。

そして禁断の向こう側へクライムダウンを始めると、足をかけたデカい岩がボコッと外れて谷底にゴロンゴロンと消えていったではありませんか!

ひいいい!オレ!怖い!

とりあえず下りてはみたものの、いきなりの落石で戦意喪失。

どうしたものかと迷っていると、人が1人下りてきました。

そして「御一緒しませんか?」との申し出!

是非!是非!

この方も一人で行くことに一抹の不安を感じていたようです。

ここに即席チームを結成。

西穂をともに目指すことにしました。

しかもこの相棒、私よりはるかに実力者でしてずっと先導してもらいました。

さあ、まずはピラミッドピークを目指すぞ!

ここからの道のりは予想以上に険しくこんな登下降が連続する、全く気の抜けないものです。

比較的平坦なところも強風とクラストで気が休まりません。

何とかピラミッドピークに到着。写真の人物は私ではなく相棒です。

さらに続く険路。

やっと西穂山頂が見えてきました!

そしてついに

西穂高岳登頂!これ私です。誰だかわからないけど!

嬉しいですねえ!相棒とハイタッチ!

正直この人がいなかったらここまで来れてなかったでしょう。本当にありがとう!

 

しばらく待ってみましたが天候の回復は見込めそうにないので下山を開始しました。

ここでまた問題発生。

私のバラクラバですが口と鼻に穴が開いているタイプで非常に呼吸が楽なのですが、呼気がまともに外気に触れるからでしょうか口と鼻回りがガチガチに凍ってしまいました。

凍りついたところが顔の皮膚に張り付いて逆に凍傷の恐れがあったので外してしまいました。

これによって顔の露出部が増えるので結局凍傷の危険はあるのですが…。

予備を持ってくるべきでした。

さて下山中は事故が起きやすいとされるうえ、この険路ですからなおさら気を使います。

さらに風は攻撃力を増し、寒さは痛さへと変わります。

そんな中、一瞬ですが晴れ間がのぞき目を楽しませてくれます。

本当は槍や穂高連峰、笠が岳を観たかったのですが贅沢は言うまい。

ピラミッドピークまで戻ってきました。

ピラミッドピークを下っているとまた晴れ間がのぞきました。

振り返るピラミッドピーク

雪塵を巻き上げる強風が何とも似合いますね。

独標が見えてきました。まだまだ険路は続きます。

そして独標に到着。

この景色も見納め。

ここから先はなだらかな道となりホッとします。

しかし依然として風は強いのです。

振り返る独標とピラミッドピーク

ここからは道はなだらかですが、ガスにまかれると迷いやすいので何度も地図とコンパスととYAMAPで確認しながら下りました。

最後に一瞬だけ西穂の山頂部が見えました。

あそこにさっきまでいたんだなあと思うと、なんだか信じられないような気がします。

こうして無事に下山できました。

登ったというより、連れて行ってもらった感が強いですが、確かに厳冬の西穂の頂を踏んだのです。

ここは素直に喜んでおきましょう。

そして私を連れて行ってくれた名も知らぬ相棒は最終のロープウェイに乗るのだと言って、さっそうと去って行きました。

名前どころかお互いの顔すらよくわからない状態でしたが、きっと忘れられない出会いになったと思います。

 

こうして西穂高岳への挑戦は何とか成功したのでした。

 

この日は西穂山荘にもう1泊。

 

神経がまだ高ぶっているからか、おっさんたちの発する音のアンサンブルのせいか、なかなか寝付けない夜でした。

俺も寝たらあんな変な音出してんのかな?俺もおっさんだし。大体何の音だ?出す必要あるのか、それ?

などと山小屋特融の夜を過ごしました。

歳はとりたくないものですな。

 

あと心配した通り、顔が軽い凍傷になっていました。

特に鼻の頭がヤバそうです。

 

でもいいんです!西穂登ったから!

 

翌朝。

下山する前にもう一度穂高の稜線が見えないかと思い丸山手前まで登ってみましたが

かすかに遠く霞むだけでした。

さらば西穂高岳よ。

来る時より積雪が増した森の中をのんびり下ります。

途中見晴らしの良い場所があったので西穂が見えないかなと思いましたが

ガスの中でした。

 

厳冬の西穂は想像していたよりさらに厳しく、危険な美しき山でありました。

あの山に呼ばれる感覚はちょっと怖いですけどね。

とにかく登りました。達成感。

夏の西穂も登ってみたくなりました。

そのときはきっと、ジャンダルムに呼ばれるんだろうなあ。

そしてこれにて穂高のピークはコンプリート!

 

楽しみにしていた帰りのロープウェイの添乗員はカワイコちゃんではなく無愛想な兄ちゃんだったのは少々不服でしたが、無愛想はお互い様ということで…。

良い旅でした!

 

そして休みはまだまだ残っています。

ということで焼岳にアタックすることに決定。

 

焼岳編につづく。

 

 

 

 

 

 

 

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