4日目
寒い寒い避難小屋で目を覚ますと白根先輩(仮称)はすでに準備を済ませていて、ほどなく出発。
山頂で日の出を見るとのこと。
私は初めての山を暗い中歩くのは少々怖かったので、ゆっくりしてましたが朝食を食べ終えるとやっぱり夜明けが見たくなってヘッデン点けて出発。
いきなりラッセルで始まりますが、白根先輩がトレースをつけてくれているので道に迷うことはありません。
このトレースがなければ地図とYAMAPで何度も確認しながら進まなくてはならなかったでしょう。
暗い森の中を登っていくと視界が開け、山頂部の稜線に続く急な斜面となります。
するとだんだんと明るくなり背中から夜明けが始まります。
背後の山が赤く焼け
次は青く
赤と青が混ざり
再び赤く燃える
薄くガスがかかっているのですが、そのガスが朝の光を受けてなんとも幻想的なエフェクトをかけてくれます。
目まぐるしく変化する山の夜明けに目が離せませんが…
この通り気の抜けない斜度なので足元からも目が離せません。が、やはり何度も振り返ります。
太陽が昇りました。
五色沼も見えます。
早く登り始めてよかった。
太陽の下で輝いているのは中禅寺湖でしょうか?
そしてついに山頂部も姿を現します。
ここで早くも下山してきた白根先輩と出会います。
山頂では感動的な景色が見れたそう。
去ってゆく白根先輩
絵になる山男であります。
さあ、ここからはハイライトの稜線歩き!
アイゼンが雪面をとらえる音を聞きながらの登高は至福のひと時。
吹き付ける強風、舞い上がる雪塵、凍てついた岩峰
シ・ア・ワ・セ
神社にお参り
迫る山頂
そしてついに
登頂!
ガスで遠望は効きませんが、雪と氷をまとった迫力ある岩峰を存分に味わえる頂でした。
去年はできなかった雪山遠征だけに感慨深いのです。
俺がいるべき場所はここだ!…と言えばおこがましいですが、少なくても病院のベットの上ではないと自負しております。
しばらく山頂を楽しんだら下山開始。
トレースがシュカブラに変わってました。
下りは登りのトレースにとらわれず、好き勝手に下りました。
急斜面を下り樹林帯に入っていきます。
行きは暗くてわからなかったのですが、この森もなかなか魅力的でした。
こんなに綺麗な森だったとは…
森の中を避難小屋まで帰り、早めの昼食とします。
しっかり食べて、コーヒーを飲み、荷物をまとめたらさあ出発!
しかしラッセルの登りで始まるので出発早々うんざり。
ずぼずぼ踏み抜きながら樹林帯を抜け稜線へ。
前白根の手前まで来ますが、ここでほぼ体力を使い果たしているようです。
しかしここを越えなければ帰れないし、頑張るしかないのです。
休み休み前白根を登っていきます。
たいした登りではない筈なんですが…まだまだリハビリが必要ですな。
そんなヘボヤローな登山者を見かねたのか
先ほど登頂した奥白根が、ぼんやりと姿を見せてくれました。
前日は全く見えなかったので、ぼんやりでも嬉しいのです。
憧れの風景 奥白根と五色沼
ほぼモノクロですが見ることができました。
何とか前白根に到着。奥白根も見納め。
あとは下りだけなので、何とか生還できそうです。
日光白根山は自分の中でも特別な山の1つになるだろうと思いつつお別れをします。
しかし楽しみはまだ終わったわけではなく、登りで魅了されたあの森が残っています。
それでは森の中へ
この後急に天気が良くなり太陽の光が森に降り注ぐのですが、その短い間森の木々が雪と光で信じられないほど輝いたのでした。
男体山も見えました。
最後に良いものを見せていただきました。
思い残すことはないと、地獄の激下りが待つ尾根へとその身を投じるのでした。
下り 長い きつい ひざ痛い
何とかスキー場まで生還。
そしてここで再会。白根先輩!
再び心配をしてくれていたようです。
しばらく話して分かれたのですが、少し後で車に乗った先輩と再再会。
ご家族とも挨拶できました。
この分だと、またどこかの山で会う日も近そう。
本当はこの日のうちに行けるところまで帰ろうと思っていたのですが、そんな気力も体力も持ち合わせていないため一昨日まで世話になった宿に電話。
急にも関わらず泊めてくれるとのこと。ありがたい。
暖かい温泉で体と心を溶かし、おいしい食事を食べ、布団でゴロゴロしながらテレビで「天気の子」を見る。
いつものことながら、厳しい雪山のあとの、このだらけた感じがなんとも幸せなんですなあ。
厳しい雪山と、ぬくぬくとした人里で二度幸せ!
これは雪山登山の本質の1つではあるまいか?
違う気もしますが、まあいいじゃない。
5日目
朝ごはんを頂いたら、残念ながら帰らなくてはいけません。
宿のおばあちゃんとお別をすると
新緑のころまたおいで!と言ってもらいました。
このおばあちゃんもまた、山を愛するおばあちゃんなのです。
新緑の白根山は花が咲き乱れて、それはそれは美しいとのこと。
初夏の白根山かあ…
また再来すべき山が増えてしまいました。
おわり