先日、三重県である幟を見つけた。「乗って残そう」の文字。
「乗って残そう」といえば、かつて、貴志川線の存続が取り沙汰された際、沿線住民らで発足した「貴志川線の未来を"つくる"会」が掲げた言葉。
【写真】近鉄内部線・八王子線と「乗って残そう」の幟
いま、三重県四日市市を走るローカル線、近鉄内部(うつべ)線・八王子線が存続の危機にある。
その幟は存続を求める思いが込められたものだ。
近鉄内部線・八王子線とは三重県四日市市の近鉄四日市駅から内部と八王子のそれぞれを結ぶ総延長約7キロの鉄道。
特殊狭軌と呼ばれる通常より狭い線路幅を走り、トロッコ列車にようにコンパクトな車両が特徴的だ。
昨年8月、近鉄は「今後も地域の移動手段を守るため、鉄道からBRT(バス高速輸送システム)への転換が最善」との文書を出した。
現在使用している車両の老朽化で設備投資が必要となることや、毎年約3億円もの赤字が嵩むことからの提案だ。
BRTとは線路を外しバスの専用レーンとして活用する方式で、全国でも採用が進んでいるモデル。
輸送する車両を鉄道からバスに置き換えるということで、鉄道会社が完全に手を引くというわけではないが、市などは鉄道での存続を求めている。
私たち和歌山県民も他人事ではない。貴志川線は存続されているが補助金がなければ経営は厳しい状況。
補助金に頼らないためには沿線住民らが年間であと4回多く利用することでクリアできるという数字がある。
県外、海外からの観光客へのアピールも重要だが災害や社会情勢に左右されやすいのは事実で、やはり地元住民の協力が不可欠。
月に一度をノーマイカーデーと意識し、たまには電車を利用してはどうだろう。
地元の鉄道を地域の宝と捉え、和歌山と同じスローガンで活動する街を見てそう感じた。
(次田尚弘/和歌山)