前号では20年ごとに伊勢神宮で行われる式年遷宮(しきねんせんぐう)の際、新たな御正殿の敷地内に地域住民が一体となり白い石を奉納する「お白石持(しらいしもち)行事)」を取り上げた。
伊勢神宮の門前町であるこの地域に、住民が一体となって地域の価値を高めた優良な事例がある。
今や伊勢を代表する観光地のひとつとなった「おかげ横丁」の歴史と地域の方々の奮闘を紹介したい。
「おかげ横丁」は伊勢神宮・内宮の門前町に位置する土産品店などが建ち並ぶ地域。
熊野古道・伊勢路が通る伊勢参宮街道に位置し江戸時代には年間400万人程の参拝客で賑わったが、交通機関の発達により横丁を訪れる客が減り、昭和60年代には20万人まで落ち込んだという。
この状況を打開しようと立ち上がったのが「赤福」の名で知られる和菓子店。
平成5年7月、140億円を投じ約2700坪の敷地に伊勢の伝統的な建築技術を用いた店舗や、洋館などを再現した27棟の建物と42の店舗を整備し、かつての街道の賑わいを再現。また、行政によるまちなみ保全事業として保全整備基準が条例化され、エリア内で新増改築を行う事業者への低利子融資や電柱の地中化、道路の石畳化が進められた。
結果、オープン初年の平成5年に60万人超、翌年には約200万人、現在は約400万人もの観光客が訪れ、かつての賑わいを取り戻している。
ちなみに「おかげ横丁」の名はこの地で300年も商いを続けていることへの感謝の思いと、江戸時代のお伊勢参りの意である「おかげ参り」に由来するという。
その思いが通じ訪れる客の8割以上がリピーターであるという統計もある。
地域の方々が民間主導で街の再興を図り門前町としての価値をかつて以上に高めた事例。
訪れて伊勢の魅力を感じてほしい。
(次田尚弘/伊勢市)
伊勢神宮の門前町であるこの地域に、住民が一体となって地域の価値を高めた優良な事例がある。
今や伊勢を代表する観光地のひとつとなった「おかげ横丁」の歴史と地域の方々の奮闘を紹介したい。
「おかげ横丁」は伊勢神宮・内宮の門前町に位置する土産品店などが建ち並ぶ地域。
熊野古道・伊勢路が通る伊勢参宮街道に位置し江戸時代には年間400万人程の参拝客で賑わったが、交通機関の発達により横丁を訪れる客が減り、昭和60年代には20万人まで落ち込んだという。
この状況を打開しようと立ち上がったのが「赤福」の名で知られる和菓子店。
平成5年7月、140億円を投じ約2700坪の敷地に伊勢の伝統的な建築技術を用いた店舗や、洋館などを再現した27棟の建物と42の店舗を整備し、かつての街道の賑わいを再現。また、行政によるまちなみ保全事業として保全整備基準が条例化され、エリア内で新増改築を行う事業者への低利子融資や電柱の地中化、道路の石畳化が進められた。
結果、オープン初年の平成5年に60万人超、翌年には約200万人、現在は約400万人もの観光客が訪れ、かつての賑わいを取り戻している。
ちなみに「おかげ横丁」の名はこの地で300年も商いを続けていることへの感謝の思いと、江戸時代のお伊勢参りの意である「おかげ参り」に由来するという。
その思いが通じ訪れる客の8割以上がリピーターであるという統計もある。
地域の方々が民間主導で街の再興を図り門前町としての価値をかつて以上に高めた事例。
訪れて伊勢の魅力を感じてほしい。
(次田尚弘/伊勢市)
【写真】 おかげ横丁