旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

大人のたしなみ 肴喰人@大阪 本町

2024-12-11 | 大人のたしなみ

母と娘で切り盛りしていると云う立ち呑みが丼池筋にある。最寄りの駅は本町か堺筋本町か。
ここはホテルと大阪オフィスを行き来して見つけた店、今宵はこの店のカウンターに立ってみたい。

娘さんがサーバーのレバーを引いて “Premium Malts”、いい感じの泡がグラスを飾る。
本日の魚は 真鯛、マダコ、しめ鯖、この厚切りが嬉しいね。はやく日本酒に代えないと。

日本酒のライナップを拝見して、大阪駅から寝台列車に乗るつもりで西へと旅に出たいと思う。
先ずは岩国に途中下車して “雁木” をいただく。ノ壱はしっかりとした味の無濾過純米生原酒、山田錦だね。
アテは抹茶塩で “わかさぎ天ぷら”、季節を感じてこの苦味が美味しい。純米酒によく合う。

岩国から岩徳線のディーゼルカーに乗って周防高森、ご存知 “獺祭” の蔵元がある。
スタンダードの純米大吟醸45、これも山田錦、香り華やかで甘味がある酒ですね。
寒くなってきたからこの頃だから “鶏×水菜×豆フ” が嬉しい。出汁がきいて旨い。温まるね。

なかなか美味しい、居心地の良い店ですね。大阪出張の際のカードが一枚増えて、収穫の多い夜になりました。

<40年前に街で流れたJ-POP>
恋人達のペイヴメント / THE ALFEE  1984


JY17 山手線立ち呑み事情 新宿ばーる@新宿

2024-03-27 | 大人のたしなみ

立ち呑みで巡る山手線の旅もようやくこれで半周、今宵は新宿で呑みたい。
バスタ新宿が出来てすっかり新宿駅の顔になった感のある新南口を降りる。

西新宿1丁目交差点を渡って2つ目の路地を右に折れると何軒かの立ち呑み屋がある。
呑み人が択んだのは黄色い看板を出した店、急な階段を地下に降りる。

 

一番乗りしたこの店で、ボクはロンドンのパブを気取ってみるのだ。
苦味のある Guinness を片手に Fish&Chips を抓む。いい感じのスタートだ。

白は DONA TERESA、なんて事のないテーブルワインだけど、一杯500円とコスパが良い。
次なるアテは “ささみのバルサミコ酢”、これは美味しい。

熱々の鉄鍋で登場した “牛筋のトマト煮”、これも絶品、ワインに合う。
赤は CAPPELLA ROSSO の一択、ピエモンテのワインだね。

ほろ酔いになった頃、決して広くはないお店はいつしか満員になっている。
階段を降りてくるのは若い方が多いね。カップルも。それではオヤジは退散しますか。

新宿駅には信州へと向かう特急も発着している。松本あたりで馬刺か山賊焼で一杯やりたいなぁ。
さて、次回は遠からず代々木でお会いしましょう。ごちそうさまでした。

<40年前に街で流れたフュージョン>
Sunspot Dance / 松岡直也 1984


JY16 山手線立ち呑み事情 春田屋@新大久保

2024-01-11 | 大人のたしなみ

 初めて降り立った夕暮れの新大久保駅、街の雰囲気は想像していた以上にあちら風。
人混みを掻き分け明治通り方面へ、その店の赤ちょうちんを見つけると、なんだかホッとするのだ。

風除けのテントで囲まれて5〜6名の立ち飲みスペース、店名が描かれたジョッキで先ずは生ビール。
アテに択んだ “ジャガバタ塩辛” だけど、えっフレンチフライ?まぁ400円だからこんなものか。

憂いげな田中みな実に見つめられて “タコハイ” を試す。この店に遥さんは居なかった。
青じそを散らして “漬けマグロブツ” はなかなかの一品、ぬる燗が合いそうだね。

ホッピーはすでにナカをお代わりして、目の前の焼き台で “バラ味噌” と “バラにん芽” を焼いてもらう。
〆は短冊に見つけた “豆乳鍋”、鶏に豆腐に椎茸それに野菜たちが優しく煮えて美味しい。

鍋とともに、つい “ハイボールレモン” っと声が出てしまって、結局これで5杯め。
マネークリップから小4枚を抜き出したから、この手のお店からすると、やはり飲み過ぎだね。
あちら風情の新大久保の街はいつしかとっぷり暮れている。それでは次回新宿でお会いしましょう。

<40年前に街で流れたJ-POP>
秋冬 / 高田みづえ 1984


JY15 山手線立ち呑み事情 まるの@高田馬場

2023-11-29 | 大人のたしなみ

高田馬場駅から小滝橋へ向かって緩やかな坂道を登っていく。
確か3つ目の信号だっただろうか、右に伸びる路地に入るとその店はあった。
「はじめまして」だから開店時間を狙う。案の定一番乗りでカウンターの奥に立つ。

生ビールは小ジョッキータイプ。まずはこれが無いと始まらない。
一皿めは「本日のおすすめ」のボードから “豚バラ春菊ポン酢” を択ぶ。
豚バラの甘味と春菊の苦味がいい感じだ。

ご夫婦だろうか、奥さんの笑顔は余所者のボクにも優しい。
アテは都度都度大将がフライパンで調理するから、値段は安いけれどどれも美味しそう。

黒ホッピーでジョッキーの焼酎を泡立てたら、小鉢に入った “あぶり明太” を抓む。これがまた絶品。
日本酒だったら二杯は飲めそうだなぁ。

ふんわり玉子が炒めた豚肉と野菜を包んで “とん平焼き” が三品めのアテ。
お好み焼き用のソースだろうか、マヨネーズと絡んでいい味を出す。

ナカのお代わりは、カウンターの内側に折りたたみ椅子に腰掛けたご常連のおばさんがリレーしてくれた。
アットホームな雰囲気で、なかなかステキなお店ですね。

さて時計は18時を指そうという頃、7〜8人立てば満員のお店は、入店を諦める後客が出始めた。
それでは一人分のスペースを空けますか、千円札二枚で何枚かのコインのお釣り、安いなぁ。
なんだか暖かな気持ちで坂を下る。また伺っても良いですか。

<40年前に街で流れたJ-POP>
東京シャッフル / サザンオールスターズ 1983


大人のたしなみ ドリンクスタンド小島@池袋

2023-05-31 | 大人のたしなみ

フラリと入った池袋東口の立ち飲み。サラリーマンの居ない週末は普段とは違った雰囲気のはずだ。

いつもの事だけど先ずは “生ビール” で始める。ジョッキも冷えていてこのキンキンが嬉しい。
アテは “さば水煮” 缶を切ってもらう。ホントは玉ねぎ角切りを散らすか、ちょいマヨネーズが美味しい。

“喜平” を溢してもらう。岡山の酒だ。“数の子わさび漬け” をアテに淡麗な特別純米酒が美味しい。

なんだか “豚キムチ” が食べたくなった。甘酸っぱい一皿は “ホッピー黒” と楽しむ。

さて週末の客層はというと、常連さんらしき東南アジア系のグループが隣に立ってるね。
店外のベンチシートにはブロンドの彼女、なかなかインターナショナルな池袋の夜は更けゆくのだ。 

<40年前に街で流れたJ-POP>
トワイライト -夕暮れ便り- / 中森明菜 1983


JY14 山手線立ち呑み事情 Enoteca Gatarì@目白

2023-05-20 | 大人のたしなみ

駅前交番の裏手から銀鈴の坂を降りる。L字に曲がった石段は雨に濡れて西欧の下町の雰囲気だ。
この石段の踊場で振り返った黄色の壁が、山手線で巡る14件目、Enoteca Gatarì だ。

スクエアな店内の対角線にカウンターが延びるのは、7〜8人は立てそうなイタリアワインの立ち呑みバーだ。
Biancoは一杯500円から、先ずはお奨めボルトルッソの “リボッラ・ジャッラ” をいただく。
ドライフルーツを齧りながら、潮のミネラルを感じる一杯を愉しむ。

カウンターの主役はNOAWのハムスライサー、イタリア製にこだわってインテリアのようでもある。
っで、せっかくなのでビスタチオ入りのハムを切ってもらおう。

カウンターの彼はどう見ても20代だけど、知識は豊富だし立ち居振る舞いも好感が持てる。
も少し近ければ通ってしまいたくなる居心地の良い店なのだ。

ブレッツァ ランゲの “シャルドネ” を注いでもらう。微かにレモンのアロマ、これボクでも分かる。
パルメザンを振った “ルッコラ” のトスサラダに春の苦味を感じつつ、辛口のシャルドネを味わう。

パスタは “カペレッティ・イン・ブロード” を、なんだか台湾の夜店で出会えそうな香りと味。
Rossoは “マストロヤンニ コスタ・コロンネ”、んっオーク樽が効いている。美味いね。

ボトルネックになっていた目白だけど、この店が再開したおかげで漸く通過。
次は高田馬場だから、お店探しに困ることもないだろう。遠からずお会いしましょう。

<40年前に街で流れたJ-POP>
ボヘミアン / 葛城ユキ 1983


JY13 山手線立ち呑み事情 おぐろのまぐろ@池袋

2023-01-25 | 大人のたしなみ

 ビルの合間に覗く狭い空がパープルに染まったら、そろそろ呑んでもいい時間だね。その意味で冬はいいな。
今夕は東武百貨店を背に徒歩5分、ロサ会館までやって来た。肴がマグロづくしの面白い立ち飲みがあるのだ。

先ずは “枡盛り本マグロ”、お一人様一回限り数量限定299円、これ目当てのご同輩は多いんじゃないかな。
中トロと赤身のグラデーションがキレイでしょ。とりあえず “一番搾り” ではじめよう。

和からしをつけて “メバチマグロテール煮付”、すぅと箸がとおるくらい柔らかく甘辛く、美味しい。
酒は港町の蔵がいいだろうか。塩釜の “浦霞” は、やわらかな味わいと端正なキレの辛口の酒だ。

珍しく二人連れだから色々注文できて楽しい。“黒ホッピー” を泡立てて注いだら “ツナポテトサラダ” を抓む。
さらに “マグロレアカツ” が外はサクサク内はジューシー、レモンを絞り塩をまぶしてなかなかの美味。

“マグロ南蛮タルタル” もご自慢メニューのひとつ。まったりした自家製タルタルソースが口の周りに残ったら、
舌でぺろり。まるで子どもだねと笑う。中をお代わりした二杯目のホッピーで流す。楽しい。

お腹がいっぱいなのに勢いで注文した “本マグロ握り” を口に放り込んで、豊洲直送のマグロづくしを〆る。
山手線を巡って13駅めの池袋の宵、「おぐろのまぐろ」お奨めですよ。それでは次は目白でお会いしましょう。

<40年前に街で流れたJ-POP>
夢・恋・人 / 藤村美樹 1983


大人のたしなみ 急ナ階段ノ上ノMIDDLE RANGE@札幌

2023-01-11 | 大人のたしなみ

札幌のメンバーと会食を終えて大通公園、紫に浮かび上がったテレビ塔の電光時計は21:00を示している。
真っ直ぐに暖かい部屋に戻れば良いのに、狸小路に気になる立ち飲みを発見「急ナ階段ノ上ノ・・・」だって。

ウエスタンに出てくるようなウッディーなカウンター、肘をかけるのにちょうど良い高さが気に入った。
芳香を楽しみながら “キリン一番搾り黒生” がスッキリと、“牡蠣のオイル漬け” を肴に美味しい。

さっぱりとした “牛ハツのねぎ塩焼き” を抓みながら、“Canadian Club” のハイボールで今宵を〆る。
地元の方は出歩かない吹雪の夜、余所者の出張族がほろ酔いで、お帰りの「急ナ階段」にはお気を付けて。

<40年前に街で流れたPOPS>
汚れた英雄 / Rosemary Butler 1982


JY12 山手線立ち呑み事情 ドラム缶@大塚

2022-12-14 | 大人のたしなみ

 東京の日の入りは16:30、大塚駅前はトワイライト、都電荒川線の電車がテールランプを引いて走っていく。
立ち呑みで巡る山手線の旅も3ヶ月半ぶり、いやいや反省しています。今宵は大塚「ドラム缶」で呑む。

 

先ずはPubを気取って “フィッシュ&チップス”、よく冷えたジョッキに泡立つ “生ビール” を一杯。
いやぁイングランドvsフランスはここで観たかったね。

“ナカ” をお代わりして、ホッピーを丁寧に注ぎ足す。キレイに泡立つとテンションが上がるでしょう。
この手の酒場に無くてはならない “ポテサラ” は店の特徴がよく出る。ドラム缶のそれはちょっとクリーミー。

フロアにはテーブル代わりの文字通り「ドラム缶」が置かれて、壁には遥さんが “角ハイボール” を誘っている。
なにより清潔感があるし、一見さんにも優しいお姐さん。ホスピタリティーも申し分ないご機嫌なお店だ。

隣の常連さんの鍋が気になって訊ねる。“牛なべ” だって、本日の特別メニュー、これ頼まなきゃ。
遥さんの視線が気になって最後は “角ハイボール” を。明治のハイカラと戦後のハイカラの酒肴で〆るのだ。
今までの12駅中最も明るくカジュアルな雰囲気の「ドラム缶」に夜の帳が下りる。次は池袋で会いましょう。

<40年前に街で流れたJ-POP>
マイホーム タウン / 浜田省吾 1982


JY11 山手線立ち呑み事情 立呑処でかんしょ@巣鴨

2022-08-24 | 大人のたしなみ

 猛暑と流行で、おばあちゃんの原宿は閑散としているのか思いきや、そんなことはない。
巣鴨地蔵通り(旧中山道)は地域の生活を支える商店街、夕餉のお惣菜を求める主婦や勤め帰りの人で賑やかだ。

巣鴨地蔵通り商店街から白山通りを渡って駅北側の裏通りに紛れ込む。
何もチェーン店(フランチャイズ店?)らしい3軒ある立ち飲み屋のうち、はじめましての店の引き戸を開ける。
50円券×22枚で1,000円のチケットを求めたら、今宵は “生ビール” と “マカロニサラダ” でスタート。
プハァー。こうした店では時として裏切られるけど、この店のジョッキーはキンキンに冷やされていて好感。

日本酒は「縛り」を決めて飲むんだけどラインナップは多くない。唯一3銘柄並ぶ「新潟淡麗」で攻めよう。
“越乃景虎” は栃尾の蔵、さすればアテは “あぶらげ” か!とも思ったけど、“厚切りハムカツ” に軍配。
飲み飽きしないすっきりした淡麗辛口は揚げ物にも対応してくれる。まったりした口をスッと流して美味しい。

いよいよ日が暮れると、赤提灯は誘蛾灯の効果を発揮して、次から次にご同輩が訪れる。これ位賑やかがいい。
テーブルの3分の1は腰を引っ掛けるバーがある半立ち飲み?3分の2はウイスキーのオーク樽に丸テーブルを
設えたもの、いい雰囲気だね。こちらは正真正銘の立ち呑み。勿論ボクはオーク樽で日本酒を舐めている。

“鶏もも” と “ししとう” を焼いてもらう。テーブルには一味しかないね。今後は八幡屋礒五郎を持参かな。
二杯目のお馴染み “八海山” は六日町の蔵、オヤジの晩酌の普通酒だけど贅沢に五百万石を磨いている。
これもまたスッキリと淡麗で料理のじゃまをしない。焼き物を口に放り込んではまた一口、美味いね。

ここで終わりにすれば良いのに “揚げ出し” をアテに “梅サワー” を一杯、口の中が甘ったるくなった。反省。
二冊目のチケットが捥がれたら潮時だ、家路を急ぐ人々に紛れて改札を潜る。それでは次回大塚界隈で。

<40年前に街で流れたJ-POP>
少女A / 中森明菜 1982


JY10 山手線立ち呑み事情 立呑ひろし@駒込

2022-08-10 | 大人のたしなみ

 

 冷たい生ビールを喉が鳴るほどに呷る。美味い。大袈裟でなく生きているなぁと感じる瞬間だね。
ところがだ、山手線を立ち呑みで巡る10駅目、呑み人は大きな失敗をしてしまう。お作法を違えてしまうのだ。

旧岩崎邸庭園で最後のバラを鑑賞して16:00、満を持して開店時間、駅から1分のその店に飛び込む。
詰めれば20人ほどが立てそうなカウンター、ところどころ破れて年季が入った大きな提灯が迎えてくれる。
入り口付近にご同輩、奥のテレビの下を陣取るのは2人の若衆、どちらも勝手を知ったご常連然としている。

スターティングメンバーの4人に一杯目が行き渡る。すると「今日はいい枝豆があるよ」っとマスター。
湯気が立つ大皿をカウンターの上段に載せる。「じゃ私いただこうかな」とご同輩、「こちらも」と若い衆。
昨晩 “黒崎茶豆” を贅沢した呑み人にヒットしない。「私は冷や奴を」マスターの表情は少し曇った気がした。

二杯目の “梅しそバイス” を呑みながら、短冊で気になった “お袋の玉子焼き” を注文、これダメ押し。
「皆さんに飲み物出せなくなっちゃうんだよね」とマスター、今度は声に出た。やっやってしまった。

開店から30〜40分、ママ?がお出ましになる。
お作法はきっとこうだ。開店から1時間はマスターのワンオペだ。だから調理場に入らなくていいように、
日替わりのお奨めの一品を用意する。客は予定調和的にこの一品で繋ぎながら、一杯目二杯目を楽しむ。
ママがカウンターに入ったら、晴れて焼き物揚げ物のオーダーが解禁になるって感じだ。

一見の余所者が人気のスタンドのリズムを崩してしまったか、酒呑道を求道する者としては悔いの残る呑みだ。
“牛タンつくね” を齧りながら、お代わりの “中” を飲み干したら、せめてキレイに席を辞そう。
ごちそうさまでした。通勤ルートにあったら通いたい好感のお店です。それでは次回巣鴨でお会いしましょう。

<40年前に街で流れたJ-POP>
ねじれたハートで / 桃井かおり&来生たかお 1982
     


JY09 山手線立ち呑み事情 立飲スタンド三楽@田端

2022-07-27 | 大人のたしなみ

 手酌のビールを一杯飲み干して人心地がつく。お通しはお揚げともやしの煮付け、結構いい味出している。
申し訳程度のレタスを敷いて “厚切りハムソテー” がカウンターにのった。テレビは川の氾濫を叫んでいる。 

線路の流れに囲まれて中洲のような東田端1,2丁目、昭和の世から時が止まったかの様な一角がある。
都道高架下の三叉路を左に折れると、薄暗い立ち飲みスタンド、更に早番の鉄道マンが屯する角打ちが並ぶ。
どちらも余所者にはかなり難易度が高そう。っで、まだ先客3組の立ち飲みスタンドの縄のれんを潜る。

プラスティック製のボウルに入った角氷をおたまで掬って、サーバーからジョッキーに炭酸が注がれる。
二杯目は “レモンハイ”、決してキレイとは言えないジョッキーはご愛嬌、ここでは味わい深いと評したい。

引き戸の上には品書きの黒板が掛かっている。壁面の柱では扇風機が首を振って淀んだ空気をかき混ぜる。
壁にはモルツ樽生ビールのキャンペーンガール、健康美と浴衣姿が油にまみれて微笑んでいるね。

さて、三杯目に “ウーロンハイ” を択んだら、ご常連さんに倣って “ハンペンバター” を注文する。
プライパンにバターを敷いて、手のひら大のパンペンに焼き色を付けてくれる。一味を振るか、柚子胡椒か、 

案外美味しいアテになる。今宵は〆て1,490円、古き良き昭和な風景に溶け込んで愉しい時間を過ごした。
次回、山手線は大きく左カーブして武蔵野台地へと登っていく。駒込界隈でお会いしましょう。

<40年前に街で流れたJ-POP>
待つわ / あみん 1982


JY08 山手線立ち呑み事情 魚がし日本一@西日暮里

2022-07-16 | 大人のたしなみ

 夕暮れの西日暮里駅ガード下に立ち食い寿司の店を見つけた。ここで一杯やったら立ち呑みになるね。
っという訳で、立ち呑みで巡る山手線の旅、8回目の途中下車は西日暮里、今夕鮨を抓みながら呑む。

20人くらい立てるかな、底辺が極端に短いL字カウンターの中に二人の寿司職人、清潔感に溢れる店内だ。

ホワイトボードには定番酒の他に二銘柄、先ずは “純辛墨廼江” を択ぶ。石巻の酒が寿司に合わない訳がない。
あるじゃぁないの絶好のアテが、“ねぎとろこぼれ” だって。これは嬉しいね。呑み人はこれに目がない。
山葵たっぷりに、箸先でネギトロを突っつく。スカッと辛口、キリッ酸味の夏純米で流して美味しい。

本日のお薦め3貫セットは、“こしょう鯛” に“漬けまぐろ” それに “まぐろとアボカドのサラダ軍艦”。
このトリオの奏では味わっておきたい。すかさず陶の酒器に “鷹勇” が注がれる。これも鳥取は漁港の町の酒。
雄大な大山のふもとの蔵だから、いつか山陰本線を潰すときには訪ねてみてもいいな。

定番ネタは一貫75円・100円・125円を二貫ずつ注文するお作法、高級ネタは一貫から握ってくれる。
少し高めの回転寿司の価格設定だけど味には大満足、市中の寿司屋さんに飛び込むよりも確かかもしれない。

酒に気持ちが大きくなった呑み人、好きなネタ食べたいネタを奔放に抓んで、結構なお勘定になってしまう。
もとよりこの手の店に長居するのは粋ではないな、反省しきりなのだ。それでは次回、田端で仕切り直しを。

<40年前に街で流れたJ-POP>
ラ・セゾン / アン・ルイス 1982 


JY07 山手線立ち呑み事情 やなか純米や@日暮里

2022-07-02 | 大人のたしなみ

青緑の美しいラベルは新政 ”ヴィリジアン”、秋田最高級酒米 ”美郷錦” で醸した爽やかな甘みのある酒だ。
アテはというと “冷やしトマトの土佐酢マリネ”、大葉とかつお節を散らして、さっぱり爽やかに美味しい。

山手線を立ち呑みで巡る7回目は日暮里駅に途中下車、北改札を抜けたら西日差す御殿坂を登ってみる。
昭和の面影が色濃く残る「谷中ぎんざ」は、昔懐かしい町並みに古い木造の商店やレトロなカフェが点在する。
この商店街に週末だけ灯をつける「やなか純米や」は、ちょっと洒落た立ち呑み屋なのだ。

さて日本酒は「本日のラインナップ」から辛口を択ぼうと思う。先ずは “黒龍 大吟醸 CRYSTAL DRAGON”、
「五百万⽯」と「さかほまれ」で仕込んだ大吟醸は、飲食店流通に限定、深い味わいの辛口の酒だ。
“燻製ベーコンのポテトサラダ” はちょっと酸味が効いている。薫るベーコンにカリカリのオニオンがいい。

ほとんどのメニューは550円、券売機で550円×4枚の食券を2,000円で求める。チェックした注文票と一緒に
カウンターに持参すると、酒類はその場で注いでくれる。アテはテーブルに届けてくれるシステムになる。
アテはちょっと高めだけど、一品一品がひと工夫もふた工夫もあって、満足のいくそれこそ逸品揃いだ。

“しっとり焼豚 葱とパクチーのせ” は八角や生姜の下味がついて、しっとり柔らかに焼き上がったひと皿。
辛口の二杯目は “篠峯 夏凛 雄町”、フレッシュで爽やかな純米吟醸無濾過生原酒は、まさに凛とした夏酒だ。
三陸産を出汁醤油に漬け込んで、さっと揚げた “鯖の竜田揚げ”、このアツアツも辛口の酒に合うなぁ。 

ネーミングに釣られて〆のひと皿は “谷中の焼き立てジューシー本格下町餃子”、なっ長い。
でも偽りなく、ニンニクが効いた粗挽きの豚肉がとってもジューシーでもちもちの餃子はなかなか美味い。
そして高知の “南 純米大吟醸 五百万石” で流す。酸味とキレがバランス良く両立した酒の味と香りが楽しい。

それにしてもこの小洒落た空間は女子飲みやカップルが多い、ご同輩の皆さま、間違っても独りで、あるいは
連れ立って足を踏み込むことなきよう。間違いなく浮き上がります。それでは次回は西日暮里で。

<40年前に街で流れたJ-POP>
渚のバルコニー / 松田聖子 1982
     


JY06 山手線立ち呑み事情 晩杯屋@鶯谷

2022-06-18 | 大人のたしなみ

 鶯谷駅南口からホテル街をやり過ごすと言問通りに出る。っと対面に角打ちが一軒、立ち呑みが一軒。
どちらも連休明けまで営業自粛していたから、それが「山手線立ち呑み事情」運転見合わせの理由でもあった。
漸くの運転再開。っで、ちょっぴり妖艶なオレンジの灯に誘われて「晩杯屋」に吸い込まれてみよう。

一杯目はお約束の “生ビール” を呷る。泡立ちもジョッキの冷えも申し分ない。好感度良好なのだ。
アテは “黒ムツ刺身”、旬を外して脂のりはさほどでないけれど、ちょっと一杯のお供には申し分ない。

カウンターの調味料の脇に紙とえんぴつを入れた籠を見つけた。どうやら自分で伝票を書くのがお作法らしい。
それでは早速 “極厚ハムカツ” と走り書きしてお兄さんに手渡す。二杯目は爽やかに “生ゆずハイ” を択んだ。
辛子をたっぷり付けて厚切りをかじる、鼻にツンっときたところに生ゆずハイをゴクリ、これが楽しい。

場所がら客層はご同輩ばかりと思いきや、若者もお嬢さんもオバちゃんも、老若男女が並び立つカウンター。
“冷やっこ” には小エビを散らして、このひと工夫が客の心を掴む。刻みネギと生姜、ポン酢をかけて美味しい。

食事代わりの “納豆オムレツ” でまったりしたら、中をお代わりした “黒ホッピー” でさっぱりと流し込む。
開け放した窓から流れ込む心地よい風に吹かれて、ちょっぴりほろ酔い気分の鶯谷の夜。次はぁ日暮里ぃ。

哀愁のカサブランカ / 郷ひろみ 1982