旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

小江戸・佐原で糀善と黒切りそばと 成田線を完乗!

2020-11-28 | 呑み鉄放浪記

 佐倉発07:04、427M、これを逃すと暫く成田線を乗り通す列車は無い。かなり早起きをしてやってきた。
成田線の起点佐倉駅、成田線は利根川沿いを、総武本線は九十九里を走ってそれぞれ銚子をめざす。

幕府の重臣土井氏が築城し十万石の城下町を形成した佐倉、武家屋敷、旧藩主邸、蘭医学塾が残る。
往時の面影を感じさせる町の朝は凛とした雰囲気の中にある。

太平洋の青と菜の花の黄を象徴するかの様なラインの6両編成を見送る。小江戸・佐原までは1時間の旅。

利根川の水運を利用して栄えた町並み、小野川沿いに土蔵造りの商家や千本格子の町家が並んで情緒あふれる。

伊能忠敬旧宅前に架かる桶橋は農業用水を流す一種の水道橋を兼ねている。
通称ジャージャー橋は毎時0分と30分、滝のようにその水を小野川に落とす様子を見せてくれる。

 並ぶ町家のひとつ小堀屋本店は天明2年(1789年)に創業した老舗そば屋、その褪せた暖簾をくぐる。
開店の11:00に飛び込んだから、わずか6卓の小上がりに席を占める。

     

突出しの枝豆を抓みに、すっきりした "糀善" の生酒を味わううちにそばが運ばれる。
名物の "黒切りそば" は昆布の粉を練りこんだ真っ黒な麺、独特な香りと歯ごたえが楽しい。

 旅の続きは佐原発12:13、2445M、単線区間を往く6両編成は何度かの交換待ちを繰り返して銚子をめざす。

佐原から40分、車窓に東総台地の風車が並ぶと右手から九十九里を走ってきた単線が寄り添ってくる。
銚子まであとひと駅を残した松岸駅、成田線は再び総武本線と合流してその旅を終えるのだ。

駅から15分ほど歩くと利根川にぶつかる。河口近くの大きな流れの先に銚子大橋が見える。
三国山脈から322km、日本一の大河・坂東太郎の旅もまもなく終わる。太平洋は目の前だ。

成田線 佐倉~松岸 75.4km

<40年前に街で流れたJ-POP>
ペガサスの朝 / 五十嵐浩晃 1980


甲州道中四十四次 街道めし10 台ヶ原宿「臺眠(ダイミン)」

2020-11-26 | 旅のアクセント

 左手に聳える標高2970mの甲斐駒ケ岳、急峻で独立峰のように屹立する山容が美しい。
韮崎から南アルプスの山々を眺めながら、釜無川沿いを上って台ヶ原宿に辿りつく。
存在感がある「七賢」の山梨銘醸、寛延三年(1750年)創業の酒蔵は街道の華に相応しい。
直営の「臺眠(ダイミン)」で今日の街道めし。

ついつい呑み鉄気分で「旬酒おつまみセット」を頼んでしまった。
小鉢五種を肴に吟醸酒 "劉伶(りゅうれい)" を愉しんで、主菜は "甲州豚の塩麹漬け焼き"。
地の食材と地酒を堪能して、ほろ酔って、午後はまるでペースが上がらない。
今日は教来石宿まで歩きたい。まもなく往く手に八ヶ岳が見えてくるはずだ。

2016/11


甲州道中四十四次 街道めし9 韮崎宿「たわらや」

2020-11-24 | 旅のアクセント

 天正10年(1582年)、信州高遠城が落城する。
この敗戦を機に、武田勝頼は韮崎城に火を放ち、岩殿城に向けて落ち延びていく。
燃える城をここで振り返り涙を流したという逸話がある。それで「泣石」と云うわけだ
 泣石近くの「たわらや」で今日の街道めし。部活帰りの高校生で席が埋まっている。
ビールのつまみにもなる "焼肉小丼" と、昔ながらの "田舎者醤油ラーメン" を注文する。
ボリュームも味も上々、なるほど高校生が集う訳だ。さて腹一杯でこの後歩けるのか? 

2016/11


風を感じて! "紅葉の帳" 日光東照宮へ

2020-11-21 | 単車でGO!

 東北自動車道を飛ばして日光までやってきた。この秋一番の冷え込みにフライトジャケットでも凍える。
大正ロマンを感じさせる白亜の洋館・日光駅とクラシカルな機能美のCB1100が調和しているでしょう。

江戸時代には日光東照宮に蕎麦を献上した「霧下そば」の名産地、その田園風景の只中に「長畑庵」が在る。
また蕎麦かい?なんて云わないで欲しい。10月末から新そばの提供が始まって今が訪ね時なのです。

竹ざるに盛られて "三合打" が運ばれて来た。メニューは「そば」のみ、もちろん十割だ。
大盛りの薬味とたっぷりのそばつゆが嬉しい。香り高くほのかに甘い新そばをずずっと啜って幸せなのだ。

 新そばの香りを余韻にCB1100で東照宮まで駆け上がる。晩秋の陽は午後ともなると弱々しい。

 参道を抜け、石鳥居をくぐって神域へと向かう。っと心なしか身が引き締まる。
五重塔、三神庫(さんじんこ)、回廊の「朱」が、紅葉にも負けず劣らず鮮やかだ。
石段を上ると豪華絢爛な陽明門そして唐門、まばゆい金と白で彩られた彫刻たちには紅葉の「黄」も霞む。

 杉並木に今にも落ちそうな陽が射し込む。きっと東北自動車道を走っているうちに夜の帳が下りるだろう。
それにしても、無骨だけどスタイリッシュなCB1100には、男のボクでも惚れてしまいそうだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
アンジェリーナ / 佐野元春 1980



旅するどんぶり 岡崎「八丁味噌まぜめん」

2020-11-19 | 旅のアクセント

 岡崎の観光スポットは「八丁味噌の郷」は、登録文化財の蔵を中心に見学ができる。
所要30分のガイド付きツアーがあるので、時間が許せば参加すると楽しい。
さて、遅くなったランチは、釜揚うどん「大正庵 釜春」で "八丁味噌まぜめん" を食す。
なんでも2012年発足の新しい岡崎のご当地グルメを作り出すプロジェクトだそうだ。 
八丁味噌の風味を味わえる丼は、岡崎を訪ねたら試しても良い一品だと思う。

2019/11


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一酒一肴 有楽町・桜姫柚子こしょう焼きと三十六人衆

2020-11-17 | 津々浦々酒場探訪

 銀座インズ2の「みちのく」は、東北6県の郷土料理と地酒を味わえる店だ。
東京メトロの冊子 MetroWalker に紹介されていた "いも煮" に魅せられ訪ねてみた。
生ビールで喉を潤したら、二杯目は酒田・菊勇酒造の "三十六人衆" を択んだ。
穏やかな吟醸香のスッキリとした辛口の純米酒が美味いね。
アテは、青森の銘柄鶏 "桜姫 柚子こしょう焼き"、ジューシーな鶏がピリッと美味しい。
思いがけず東北の味に舌鼓した有楽町の夜、MetroWalker 侮りがたしなのだ。

2019/11

 
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Flash / Queen 1980
     


銚子漁港とサンマ刺しと梅一輪と 総武本線を完乗!

2020-11-14 | 呑み鉄放浪記

 甲高い音を立てて、カナリア色のラインをひいた中央・総武緩行線の電車が墨田川橋りょうを渡ってきた。
総武本線を呑み潰す旅に、お茶の水~錦糸町間の支線を忘れずに乗っておかないといけない。

 ようやく昇った朝日が赤レンガの丸の内駅舎を染める。休日、早朝の東京駅は未だ静けさの中にある。

東京06:52発、530Sで先ずは千葉へ向かう。
地下3番ホームでの乗務員交代はさながら女子会の様相、こうした風景は当たり前のようになった。

総武本線と外房・内房線が二又になった線路の間に地上6階の駅ビル、さらにその上にモノレールが走る。
千葉駅は90万都市の玄関口に相応しい洗練された雰囲気を見せている。

二番手は千葉08:39発の333M、シルバーの車体に青と黄のラインをひいた8両編成に乗車する。
太平洋の「青」と菜の花の「黄」ってところか、陽光溢れる房総の雰囲気に合ったカラーリングだと思う。

 成東駅近くには朱塗りの欄干・回廊をめぐらせた懸崖造りの浪切不動院が緑に映えている。

古来より遭難しそうになった船が不動院の常夜灯の灯りによって救われたという逸話がある。
現在、海岸線は後退し、総武本線が九十九里に沿うとは云っても8kmほど内陸に敷かれている。

 後続の337Mに乗車して一つ先の松尾駅で途中下車、海岸にむかって3キロほどの寒菊名醸を訪ねた。
以前地元の鮨処で飲んだ "OCEANオーシャン99凪" って純米吟醸生酒が美味しかった記憶がある。

が、このご時世、直売所は閑散として利き酒もやっていない。ちょっと残念な酒蔵訪問となった。
駆け足で松尾駅に戻って341M、仕込んできた "OCEAN FRUITS Ale 南房総レモン" の冠を抜く。
ほのかなレモンの香りと酸味で爽快感、レモンがビキニトップスになったパッケージがお洒落だね。

 松尾から小一時間、車窓に東総台地の風力発電が見えてくると終着の銚子駅は近い。
大きな醬油樽が迎えてくれる銚子、降りたホームをそのまま前方へ進むと銚子電鉄の乗り場になる。

「ようこそ銚子へ」のゲートを潜って800mで河岸公園、三国山脈から322km、利根川の旅の終わりでもある。
右手に折れると日本一の水揚げ量を誇る銚子漁港が広がる。でっ今日は「魚料理みうら」に肴を求める。

本当はいわしづくしを楽しみに来たのだけれど、今朝は揚がっていないとのこと、代わりに "サンマ刺し" で一杯。
地酒はやはり九十九里山武の "梅一輪"、スッキリとした切れ味と旨味が調和した酒を「冷や」で飲む。 
わさび醤油を垂らして、 "トロいくら丼" の半分は肴に、半分はあったかご飯と一緒に美味しくいただいた。

     

 "特急しおさい" で2時間の銚子、鈍行で寄り道しながら飲みながらの5時間も愉しい。
今なら「サンキュー♡千葉フリーパス」が私鉄も含めて二日間3,970円、千葉の再発見にお得!
漁港を舞い飛ぶカモメを眺めて、総武本線の旅を終えるのだ。

総武本線 東京~銚子 120.5km
     お茶の水~錦糸町 4.3km 完乗

Mr.ブルー / 八神純子 1980
     


人生のそばから 甲斐大和「砥草庵」

2020-11-12 | 旅のアクセント

 R20の景徳院入口から大菩薩峠にむかって日川渓谷を上って行く。
っと、ほどなく古民家風の蕎麦処「蕎麦街道 砥草庵」が見えてくる。
一日20食限定の "特せいろそば(十割そば)" は信州辰野産、11月の声を聞いて新そばだね。
香り高く甘い蕎麦をずずっと啜って、今日も「人生のそばから」なのだ。

十割そばが茹るまでは、ニンニクたっぷりに "馬刺し" を味わって待つ。
地酒の一杯も愉しみたいところをグッと堪える。
勝沼ワイナリーフェスティバルを訪ねた今日、ボクはハンドルを仰せ付かっている。
いつも独り遊びを大目に見てもらっているから、たまには奉仕しないといけないね。


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Linda / アン・ルイス 1980
     


一酒一肴 高崎・赤城鶏ポン酢焼と群馬泉と

2020-11-10 | 津々浦々酒場探訪

 アテは "赤城鶏のあっさりポン酢焼き"、熱々ジューシーな地鶏がアッサリと美味しい。
さすれば二杯目は赤城山麓の、さらに旨味と酸味がある酒が良いだろうか?
っで "群馬泉 山廃酛純米" を受け皿まで零してもらう。兄さんのアドバイスどんピシャ。合うね。
「群馬の旬を片手に、地酒で『クイっ』と流し込む、そんな群馬のアツイ夜」 ってのが、
店のキャッチフレーズになっている。看板に偽りなしの宵を愉しんで、ご機嫌な週末なのだ。

2019/10


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Super Trouper / Abba 1980
     


風を感じて! "野山の錦" 三峯神社へ

2020-11-07 | 単車でGO!

 KAWASAKI の火の玉カラーがもみじの「朱」とコラボレーションして、なかなかいい絵になっている。

里では気配もなかったけれど、三峯神社(標高1,100m)はまさに "野山の錦" って感じなのだ。

皆野寄居有料道路から続くR140バイパス、水冷4気筒はエキゾーストサウンドを響かせてグイグイ高度を稼ぐ。

 まるで『信心無き者は去れ』とばかりに睨みつける随身門の「狼」に導かれて本殿に詣でる。
三峯神社の神の使いは「狼」、獅子でも狛犬でも狐でもなく、参道の至る所に「狼」が鎮座しているのだ。

東征途上の日本武尊がこの地を通った際、三峯(雲取山・白岩山・妙法嶽)が美しく連なる景色に感動し、
伊弉諾尊(いざなぎのみこと)・伊弉册尊(いざなみのみこと)の国造りを偲んで二神を祀ったのが神社の起源だ。

日本武尊が三峯を越えたのは、こんな "野山の錦" の頃だったのだろうか。

 遅いランチは "豚みそ丼" を狙ったのだが、この日はすでに営業終了の看板が掛かっていた。
然らば手打ちの十割蕎麦の人気店「みやび庵」へ、お待ちかねの「新そば」の幟がはためいている。

三番粉を挽きこんだ香り高く野趣に富んだ "いなか蕎麦きり" をいただく。
蕎麦つゆをつけずに一本を啜る。香りは高くそしてなんとも甘い、これはなかなか美味い蕎麦に巡り合った。

 エメラルド色に流れる長瀞峡の荒川、この辺りが錦に染まるまであと数日かかるでしょう。
それにしても、思いのほかグラマラスな Z900RS のボディーラインに終始クラクラなボクなのです。
この娘本命なんだけれど、この秋冬シーズンは様々試そうと思っている。"吞まない旅" 続きます。

<40年前に街で流れたJ-POP>
シャドー・シティ / 寺尾聰 1980


旅するどんぶり 鴻巣「川幅うどん」

2020-11-05 | 旅のアクセント

 鴻巣に途中下車して「手打うどん長木屋」を訪ねる。先ずはお約束の生ビールを呷る。
この町のご当地B級グルメは "川幅うどん"、めんの幅の広さを川幅にかけている。
市内を流れる荒川の川幅2,537mは、国土交通省の「日本一」お墨付きだからね。

手打のうどんと天然ダシ、たっぷり花かつおに大根おろし、香り豊かな一杯が美味しい。
「麺はツルっと喉越し良く」と言いたいけど、幅8cmだから、箸で切って出汁を絡める。 
鴻巣はもともと小麦の産地でうどん文化も根付いている、実力派の味は試す価値がある。

2019/10


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旅先のひと皿 豊川稲荷「味噌カツ」

2020-11-03 | 旅のアクセント

 この町を訪れたのは二度目、この前は飯田線で、こんどは豊川線に揺られて来た。
豊川稲荷の門前、創業120年の老舗みそかつ屋「豊盛軒」の店外にはキツネの面が並ぶ。
柔らかな肉をカラッと揚げた "味噌カツ"、たっぷり味噌ダレに洋からしをつけて美味い。
半分を純米吟醸のアテに、半分はご飯と赤だしで堪能して、とても満足な旅先のひと皿。

2019/10


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