佐倉発07:04、427M、これを逃すと暫く成田線を乗り通す列車は無い。かなり早起きをしてやってきた。
成田線の起点佐倉駅、成田線は利根川沿いを、総武本線は九十九里を走ってそれぞれ銚子をめざす。
幕府の重臣土井氏が築城し十万石の城下町を形成した佐倉、武家屋敷、旧藩主邸、蘭医学塾が残る。
往時の面影を感じさせる町の朝は凛とした雰囲気の中にある。
太平洋の青と菜の花の黄を象徴するかの様なラインの6両編成を見送る。小江戸・佐原までは1時間の旅。
利根川の水運を利用して栄えた町並み、小野川沿いに土蔵造りの商家や千本格子の町家が並んで情緒あふれる。
伊能忠敬旧宅前に架かる桶橋は農業用水を流す一種の水道橋を兼ねている。
通称ジャージャー橋は毎時0分と30分、滝のようにその水を小野川に落とす様子を見せてくれる。
並ぶ町家のひとつ小堀屋本店は天明2年(1789年)に創業した老舗そば屋、その褪せた暖簾をくぐる。
開店の11:00に飛び込んだから、わずか6卓の小上がりに席を占める。
突出しの枝豆を抓みに、すっきりした "糀善" の生酒を味わううちにそばが運ばれる。
名物の "黒切りそば" は昆布の粉を練りこんだ真っ黒な麺、独特な香りと歯ごたえが楽しい。
旅の続きは佐原発12:13、2445M、単線区間を往く6両編成は何度かの交換待ちを繰り返して銚子をめざす。
佐原から40分、車窓に東総台地の風車が並ぶと右手から九十九里を走ってきた単線が寄り添ってくる。
銚子まであとひと駅を残した松岸駅、成田線は再び総武本線と合流してその旅を終えるのだ。
駅から15分ほど歩くと利根川にぶつかる。河口近くの大きな流れの先に銚子大橋が見える。
三国山脈から322km、日本一の大河・坂東太郎の旅もまもなく終わる。太平洋は目の前だ。
成田線 佐倉~松岸 75.4km
<40年前に街で流れたJ-POP>
ペガサスの朝 / 五十嵐浩晃 1980