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しなの鉄道、えちごトキめき鉄道の結節点・妙高高原駅に国鉄時代の近郊型電車115系が到着する。
レッドとガンメタの化粧を施したしなの鉄道の115系はとても精悍な顔つきをしていると思う。
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憧れの東京に向かう鉄路、懐かしいふるさとへと還る鉄路、数え切れないほど乗った信越本線を往く。
信越本線は1997年の長野新幹線開業、2015年の北陸新幹線延伸開業で細切れになってしまった哀しい幹線だ。
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上野発の始発に乗車して高崎に到着、高気圧が日本列島を覆った朝は放射冷却でひんやりとしている。
旅のトップランナーは東京駅では見ることがなくなった221系、4両編成で碓氷の関・横川をめざす。
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4両編成はオールロングシートで旅情の演出はない。バックの中の缶ビールは出番を失ってしまった。
221系の旅はわずかに30分、碓氷峠区間の廃止により横川駅の1番線は車止めで行く手を塞がれている。
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山間の小さな横川駅だが、かつては峠越えの補助機関車の連結に往復40本の特急列車が停車していた。
3分停車で特急の乗客が殺到したのが "峠の釜めし" の立ち売り、最盛期には25,000個/日を売り上げたと云う。
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峠の釜めし本舗おぎのや本店を横目に駐車場へ急ぐ、つばめマークも誇らしげにJR関東バスが待っている。
吾妻はやとし日本武 嘆き給いし碓氷山 穿つトンネル二十六 夢にもこゆる汽車の道 ♪
今では7往復のバスが細々と横川と軽井沢を結んでいる。この08:10発が峠を登る初便なのだ。
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JR軽井沢駅の隣接地に明治43年(1910年)建築当時の旧軽井沢駅舎が記念館として復元された。
皇族や要人が利用した2階の貴賓室は、当時の雰囲気そのまま観光列車「ろくもん」のラウンジになっている。
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10:05、1番線に「ろくもん」が入線する。となりに並ぶのは「峠のシェルパ」EF63型機関車。
2番手ランナーの「ろくもん」は、軽井沢から長野まで、浅間山と千曲川の雄大な景色を眺めながら
美食を堪能するレストランカーを備えた、水戸岡鋭治氏デザインの人気の観光列車なのだ。
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明日はいずこか 浮雲に 煙たなびく 浅間山 ♪
信濃追分~御代田間で、車窓をいっぱいに埋めつくす浅間山、その標高は2,568mを誇る。
日本でも有数の活火山が大きく裾野を広げて聳え立つ姿は壮観だ。
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青空が広がる缶に満開の桜、春らしい爽快な喉越しと切れ味のTHE軽井沢ビール "桜花爛漫プレミアム" を呷る。
鶏肉、ささがき牛蒡、椎茸、筍がビールのアテにちょうど良い。"峠の釜めし" は軽井沢駅で買えるのだ。
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「ろくもん」は途中駅の上田で長めの停車、ここ上田市の真田町は真田一族発祥の地。
駅前では、赤い六文銭の馬印と真田幸村騎馬像が迎えてくれる。真田幸村は、赤い甲冑を身にまとった
部隊を率いて大坂夏の陣に挑んだ。その「赤備え」をイメージしたのがこの濃赤色の車体だ。
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大庇を12本の列柱が支える長野駅の門前回廊を春の柔らかな陽が照らしているね。
この時期に友人と会うのも憚られるから、帰省の記しにせめて善光寺だけは詣でておこうとバスに飛び乗る。
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「遠くとも 一度は参れ 善光寺」と謳われ、一生に一度お参りするだけで極楽往生が叶うと云うから有難い。
境内入口から山門まで7,777枚の石畳が敷き詰められていると云われる参道を歩いて本堂の前に立つ。
っと自然とあらたかになった気になるから不思議なのだ。
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信濃美術館・東山魁夷館がある城山公園から善光寺本堂方面を望む。
平年は月の中ごろにようやく咲き誇る信州の桜も、今春は4月の声を聴くや満開を迎えて華やかなのだ。
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御影石を敷きつめた善光寺表参道に老舗「門前そば 藤木庵」がある。文政十年(1827年)の創業と云う。
"斬九郎 特別純米生" は伊那の "信濃錦" の蔵元(宮島酒店)の酒、一合猪口になみなみと注がれ嬉しい。
そば焼き味噌、おやき、野沢菜の "蕎麦前三味" をアテにスパッときれの良い芳醇辛口を堪能するのだ。
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〆は黒姫の霧下そばを手打ちした "十割そば" をとろろ汁(松代は長芋が名産)でズズっと啜る。
噛むとしっかり広がる蕎麦の香りを愉しみながら粘り気あるとろろ汁に絡めて美味しい。ふるさとだなぁ。
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長野から先は 北しなの線(しなの鉄道)を往く、信州の爽やかな風を表現したロイヤルブルーは新鋭のSR1系。
サイドの緑と水色のラインは、沿線の山並みと清流を表現していると云う。なかなか良いデザインだと思う。
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有料快速にも運用されるSR1系は窓枠も広くドリンクホルダーも備えて、心置きなく吞み鉄の旅を愉しめる。
古間駅を過ぎると車窓に黒姫山(2,053m)、プシュッと "善光寺浪漫BEER" はケルシュタイプの地ビールだ。
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妙高高原駅では僅かな乗り換え時間で 妙高はねうまライン(えちごトキめき鉄道)に連絡する。
沿線の中心駅・高田では「高田城百万人観桜会」を開催中、よってこの日は堂々の6両編成で運用なのだ。
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標高510mの妙高高原から38kmで直江津まで下るから、妙高はねうまラインは結構な急勾配になっている。
車窓には路線名になっている妙高山(2,454m)が残雪を抱いて存在感が半端ではない。
その急勾配ゆえに2つめの二本木駅はスイッチバックになっている。(以前は関山駅もスイッチバックだった)
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妙高山の裾野を駆け下った6両編成は、約50分の旅を港町・直江津駅で終える。
信越本線と北陸本線(日本海ひすいライン)が分岐する直江津は鉄道の要衝、6線のホームと多くの側線を持つ。
さて、まだ陽は高いのだけれど、ここ直江津で一度はばきを脱ごう。今宵高田城公園の夜桜を眺めて、
妙高の地酒で日本海の幸を堪能したい。そして明日は「越乃shu*kura」で新潟方面をめざすのだ。
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コットン気分 / 杏里 1981