旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

呑み鉄放浪記「車止めのある風景」2024.

2024-12-31 | 日記・エッセイ・コラム

終点の引込線もないどん詰りの無人駅、錆びた線路は100mほど延びて車止めに塞がれる。
気動車の低いエンジンは虫の音と調和し、その排気は蜃気楼の様に秋の空を揺らしている。
鄙びた駅舎、つがいで飛ぶ赤とんぼ、お国ことば
車止めのある風景が好きだ。思えば遠くへ来たもんだ的なね。呑み鉄の旅のクライマックスでもある。

2024年の旅は、首都圏の私鉄の焼き直しが多かったから、
たくさんの車止めを写真に収めたけれど、この郷愁とは無縁の風景だった。
臺鐡の菁桐車站も内湾車站も賑わいのある観光地の駅だったからね。

さて来たる年は、カップ酒かウイスキーのポケット瓶を忍ばせて、文庫本片手に
未だ呑み潰していないJR四国、JR九州、地方私鉄を旅できたらなぁと思う。
どんな車止めのある風景に出会えるか、今から楽しみなのだ。

それでは皆さま、酔いお年をお迎えください。

ウイスキーが、お好きでしょ / 南佳孝


紅葉の名残と天狗様とダイヤモンド富士と 京王高尾線を完乗!

2024-12-28 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

都心から電車で僅か45分、四季折々の大自然を求めて、たくさんの人が高尾山を目指す。
世界有数の登山客数を誇るこの山への主要なアクセスは京王高尾線、この休日は高尾山で呑む。

本線の京王線はこの先ひと駅で終点となるのに対して、高尾線は北野駅で分岐すると約9キロの山登り。
築堤と切り通しをを繋いで、8000系はS字を描きながら、最大35‰の勾配をグイグイと登る。

高尾駅を出ると2つのトンネルを潜って14分、あっという間と言ってしまえばそれまでの高尾線の旅。
単線から別れた2本の線路は、高尾山の中腹に行手を遮られて、もうこれ以上登れそうにない。

とろろ蕎麦で一杯の誘惑を断ち切って、情緒のある商店街を抜けると、正面に清滝駅が見えてくる。
ここからは高尾登山電鉄のケーブルカーが、標高472mの山上駅までわずか6分で運んでくれる。

迎えに来てくれたのは黄色のボディーに若葉の帯を巻いた「あおば号」だ。

高尾山ケーブルカーの最急勾配は608‰、日本の鉄道の中において最大なのだそうだ。
そり返るように勾配がきつくなっていくから、トンネルの向こうに山麓駅(清滝駅)は見えない。

淡い冬の陽光を浴びて、まだ残っていた紅葉がキラキラと煌めく。
入れ違いに山を下りていく「もみじ号」が纏う橙の帯が風景に溶け込んでいくようだ。

ここまで来たからには高尾山薬王院に詣でる。
浄心門から男坂の階段を上って山門、っと御本尊・飯縄大権現の随身 天狗様2体が睨みを利かしている。

御護摩祈祷が聞こえる御本堂の脇からさらに登ると、朱に彩られた御本社が美しい。

もう少し標高を欲張ると、やがて標高599m、高尾山頂に辿り着く。遠く聳える高層ビル群は横浜になる。
今日は「ダイヤモンド富士」が見れるから、多くのハイカーが山頂で粘っている。

あらっ空は青空なのにパラパラと冷たい雨があたってきた。これだから山は侮れない。
さてっと人混みを抜け出して、ケーブルカー駅近くまで戻ったボクは一軒の茶屋に入る。

寒いんだけど薄っすらと汗をかいた身体に、キリンラガー633の苦味が沁みる。
“みそおでん” の甘い味噌ダレと案外合うから面白い。

もう一皿は、わらび、蕗のとう、竹の子を並べて “山菜盛り合わせ”、これは本格的で日本酒を誘う。

さて下地はできた。この後、高尾山口でとろろ蕎麦で一杯やろうか、新宿で酒場の暖簾をくぐろうか、
大いに思案しながら下りの「もみじ号」に乗車するのだ。

京王高尾線 北野~高尾山口 8.6km 完乗
高尾登山電鉄 清滝~高尾山 1.0km 完乗

京王高尾線 北野~高尾山口 8.6km 完乗
高尾登山電鉄 清滝~高尾山 1.0km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
LA VIE EN ROSE / 吉川晃司 1984


Biz-Lunch 何駄感駄@東池袋「チキンカレー」

2024-12-25 | Biz-Lunch60分1本勝負

中層のオフィスビルにちょっと派手目なオレンジの看板「何駄感駄」ナンダカンダ?
コツコツと階段を降りていく、っと50席ほどの明るい雰囲気のダイニングバー。
このご時世、ターミナルで40年続いている(愛されている)お店って、たいしたものですね。
近くの首都高下で先代が営んでいた居酒屋の頃からの常連さんも、今でも通っているそうです。

池袋オフィスの主のような先輩社員にお連れいただいて、ボクもコツコツと階段を降りる。
この日の日替わりランチは “チキンカレー”。
からっと揚がったチキンにトロッとしたスパイシーなカレーがかかって美味しい。
X'masメニューのお裾分けらしいタルタルソースたっぷりの “つくね” が同乗して、今日はちょっとおトク。

池袋 Biz-Lunch のカードになりそうなナンダカンダ。いずれ夜の帳が下りてから訪ねてみたい。

<40年前に街で流れたJ-POP>
ヤマトナデシコ七変化 / 小泉 今日子 1984


Biz-Lunch BAROSSA@東池袋「野菜カレー」

2024-12-11 | Biz-Lunch60分1本勝負

ウッディーな店の庇には、サンタクロースが載っていたり、トナカイが駆けていたり、
きっとディナータイムにはキレイに彩られるだろうなっと思う東池袋の BAROSSA だ。
この本格派洋風料理とオーストラリアンワインの店、ランチタイムの主役はスープカレーなのだ。

グツグツと土鍋が音を立て、いろいろ野菜と半熟卵が入った “野菜カレー” が登場する。
深いブイヨンスプーンで、陶器のライスにスープカレーをかける度、スパイシーな香りが辺りに広がる。
赤々としたスープは心地よいピリ辛で、ナス、玉ねぎ、じゃがいも、オクラ、マッシュルームと賑やかだ。
ひと口ひと口スプーンを運ぶごとに、この旨味と香りに引き込まれていく。美味しい。

冷え冷えとしたこんな日は、スパイスの効いた BAROSSA のスープカレーは如何だろうか。

<40年前に街で流れたJ-POP>
星屑のステージ / チェッカーズ 1984


大人のたしなみ 肴喰人@大阪 本町

2024-12-04 | 大人のたしなみ

母と娘で切り盛りしていると云う立ち呑みが丼池筋にある。最寄りの駅は本町か堺筋本町か。
ここはホテルと大阪オフィスを行き来して見つけた店、今宵はこの店のカウンターに立ってみたい。

娘さんがサーバーのレバーを引いて “Premium Malts”、いい感じの泡がグラスを飾る。
本日の魚は 真鯛、マダコ、しめ鯖、この厚切りが嬉しいね。はやく日本酒に代えないと。

日本酒のライナップを拝見して、大阪駅から寝台列車に乗るつもりで西へと旅に出たいと思う。
先ずは岩国に途中下車して “雁木” をいただく。ノ壱はしっかりとした味の無濾過純米生原酒、山田錦だね。
アテは抹茶塩で “わかさぎ天ぷら”、季節を感じてこの苦味が美味しい。純米酒によく合う。

岩国から岩徳線のディーゼルカーに乗って周防高森、ご存知 “獺祭” の蔵元がある。
スタンダードの純米大吟醸45、これも山田錦、香り華やかで甘味がある酒ですね。
寒くなってきたからこの頃だから “鶏×水菜×豆フ” が嬉しい。出汁がきいて旨い。温まるね。

なかなか美味しい、居心地の良い店ですね。大阪出張の際のカードが一枚増えて、収穫の多い夜になりました。

<40年前に街で流れたJ-POP>
恋人達のペイヴメント / THE ALFEE  1984