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金陀美具足の甲冑を描いたラッピングトレインが勾配を駆け上がってきた。
金色に輝く1000系2両編成は大河ドラマの放映を機会として走り出した。
狐ヶ崎から御門台の間は背景に富士を仰ぐはずなのだが、残念ながら霊峰がご機嫌が斜めらしい。
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乗る前にちょっと呑む。JR清水駅を降りたら、ペデストリアンデッキを歩いて清水漁港に寄る。
2階建ての漁港市場はどの店も空席待ちの家族連れやグループで溢れている。
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愛山を醸した “正雪 純米吟醸” がグラスから溢れる。思いがず限定生酒と鉢合わせ。
正雪はその名から分かるとおり由比の酒、東海道を歩いたときに伺った覚えがある。
そしてこの店の名物的な “鮪かま揚げ”、皮はパリパリ、身はフワフワが甘辛ダレに塗れて絶品です。
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正雪を半分ほど残したころ、氷を敷きつめて、真打ち “まぐろトロ三昧” の桶が登場する。
“本マグロ” に “ビンチョウ” に、口の中で蕩けて、キレのよい純米酒とともに美味しい。
〆はあったかご飯に “すき身” をのせ、わさび醤油を慎重に垂らして〆の旨丼を愉しむのだ。
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新型A3000系電車が巴川鉄橋を鳴らして走り出す。
電車は shizuoka rainbow trains と呼ばれて編成ごとに塗り分けられているそうだ。
プリティピンク色は “桜エビ” をモチーフにしているらしいが、今の呑み人には “まぐろトロ” にしか見えない。
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さて、ようやく静岡鉄道の短い旅を新清水から始める。
静岡清水線は政令指定都市の2拠点を結ぶ全線複線、6〜7分間隔の高頻度ダイヤの都会的な路線だ。
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巴川を渡ったプリティピンクは、暫し東海道本線と複々線状態で並走する。
狐ヶ崎で両線は離れてそれぞれ草薙をめざす。
御門台辺りですれ違った “エレガントブルー” は駿河湾の深い青を表している。
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東海道本線を跨いで、長沼駅には電車庫が併設されている。
shizuoka rainbow trains のほかに、1000系電車やラッピング車両が並んで華やかだ。
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この辺りで並走する道路は旧東海道、息子と歩いた日を懐かしく車窓を眺める。
名産のイチゴをモチーフにした “パッションレッド” が終点の新静岡に満員の乗客を吐き出す。
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この日は「静岡まつり」に遭遇、駿府で徳川家康公が花見をした故事に倣った市民のお祭りらしい。
おそらくは「大御所花見行列」を観覧した後の人波に逆らって駿府城公園をめざす。
ちなみにこの日の大御所役は、ココリコの田中直樹さんとのこと。
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駿府城まで出向いたのは「呑む旅」の大先輩である弥次喜多に仁義を通すため。
パンパンと柏手を二つ。「きょうも美味しいお酒が呑めますように」あっもう呑んでいるね。
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春の陽が西の山に隠れたころに「青葉おでん街」を訪ねた。
青い看板と赤い提灯が点ると、横丁はいっそう昭和レトロな雰囲気を醸していく。
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まだ早い時間にも関わらず、何軒かは常連さんに幾らかの観光客を交えて満席。
呑み人は「照代」の桜色の暖簾を潜る。たった6席の店だから、初めましては少し緊張感を伴う。
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まだ席は埋まってないから、カウンターにゆったりと肘を立てて、女将が注いでくれた一番搾りを呷る。
アテは生姜醤油で “かつお刺身” を抓む。料理屋から持って来させたものだけど器に盛ったらいいのに。
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黒はんぺん、たまご、じゃがいも、大根を盛ってもたったら、“だし粉” をたっぷり振りかけて静岡おでん。
濃厚な味にさっぱり “静岡茶割り” が合うね。たっぷり和がらしにツンときたらお茶割りで流す。美味しい。
引き戸から見上げる空がとっぷりと暮れて、いつしか小さなカウンターが埋まっている。
ようやく女将さんとの会話も馴染んできたけれど、二杯目のお茶割りを飲み干したら潮時だろうか。
たった23分の乗車だけれど、昼に宵に静岡の酒肴を味わって至福の静岡鉄道の旅なのだ。
静岡鉄道 新清水〜静岡 11.0km 完乗
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<40年前に街で流れたJ-POP>
め組のひと / ラッツ&スター 1983