旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

古刹の枝垂桜とカニ味噌と会津中将と

2023-03-30 | 日記・エッセイ・コラム

 伊勢丹の北側を真っ直ぐ西へ延びる小路を「裏門通り」という。県庁の裏門へ通じるから地元ではそう呼ぶ。
タイルを敷いたその小路は昭和レトロなノスタルジーに溢れている。大きな通りと交差する度、小路は趣きを
変えるのだけれど、住宅に昔からの商店、呑み屋が混在してくる辺りにその寿司割烹は在る。

三杯目の “ゆらぎ想天坊” は長岡の平野と日本海を分つ山麓の蔵、多分だけど、初めましてかも知れない。
“いわし塩辛酒盗和え” を突っつきながら、やわらかな甘みとキレを持った春季限定の原酒が美味しい。

酒肴五品を味わったら、平皿におすすめ握りが五貫が並んで美しい。っで、四杯目は白山の “手取川” を択ぶ。
爽やかでフレッシュな “大吟醸あらばしり” が案外赤身にも違和感なく、美味しくいだだいた。

握りで〆のはずが、翌朝スマホをチェックしたら、さらに一酒一肴。記憶は曖昧なのだけれど、
確かに “会津中将” の濃醇な純米酒をいただいている。肴は “紅ずわいのカニ味噌和え” か。
やはり調子に乗って少々過ぎたようではある。そろそろ二度目の訪問を考えているのだけれど、ちょっと怖いなぁ。

Strasse / CASIOPEA 1983


異人館の街と蒸し鶏とエメラルドグリーンの電車と 北神線・西神山手線を完乗!

2023-03-25 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 留置線からエメラルドグリーンの6両編成が入線、新鋭の6000形電車は丸みを帯びた優しい表情をしている。
今日は「地下鉄1日乗車券」を握りしめて、港町神戸を巡りそして呑みたいと思っているのだ。

始発の谷上から所要7分、長大な北神トンネル(7,276m)を走り抜けると、最初の停車駅は新神戸だ。
山麓の道をぶらぶらと歩くとご存知の北野異人館街、「旧トーマス住宅」の風見鶏が港町を見渡している。

大正4年(1915年)に建てられた「ラインの館(旧ドレウェル邸)」は、木造二階建下見板張りの和洋折衷の建物。
トリコロールがはためく館は、神戸市が管理し一般公開している。入場無料なので訪ねてみると良い。

北野坂の高級家具インテリアショップに真っ赤なマスクのオブジェ、神戸らしい洗練されたショップだ。

二つ目の三宮駅でも途中下車、真っ直ぐ北野坂を下れば近いのだけど、それでは乗り潰しにならない。
神戸最大の繁華街・三ノ宮を歩くのは日が落ちてからにして、ここはまず「生田神社」を訪ねてみる。
天照大神の幼名とも妹とも和魂ともいわれる稚日女尊(わかひるめのみこと)を御祭神とした生田神社は、
縁結びの神様としても親しまれている。なるほどピンク色のハートの絵馬がすずなりに掛かっているね。

三つ目は県庁前でも電車を見送る。休日の官庁街は降りる人もまばら、地上に出ても時間はゆっくり流れている。

明治の香り漂う「兵庫県公館」は明治35年(1902)年に建てられた旧兵庫県本庁舎、今は兵庫の迎賓館だ。
国際会議やレセプションなど、ユニークベニューとして利用できたら良いだろうね。

11:30、元町のガード下に中華食堂の開店時間に合わせてやってきた。先ずは生ビールで昼呑みは始まる。
わざわざ南京町の雑踏に紛れ込まなくとも、ここの広東料理(四川料理も)の美味さと安さは間違いがない。

食べておきたい “蒸し鶏” は、鶏がらスープで茹で、紹興酒と山椒で寝かせた鶏もも肉が、しょうがソースに
塗れて口の中でほろっと崩れて絶品。肉汁たっぷりでもちもちの “やき餃子” とともに、ジョッキは二杯目だ。

四川豆板醤で煮込んだ “麻婆豆腐” が土鍋でぐつぐつしている。最初の口当たりは甘めだけど、直ぐに辛さが
追いかけてくる。山椒を振りかけてなお美味しい。この辛さに、“ゆずハイボール” に救援を託すのだ。

満腹のお腹を抱えて再びの県庁前駅、暗闇の中から這い出たエメラルドは、偶然にも最初に乗った編成だ。

     

海岸線と連絡する新長田(鉄人28号前)駅を出ると、エメラルドグリーンの6両編成は北西へと90度向きを変える。
次の板宿を過ぎると地上区間になるのだが、山間部のためにトンネルが連続して、相変わらず電車は暗闇の中だ。

エメラルドグリーンの6両編成は、グイグイと勾配を登り須磨ニュータウンを経て西神ニュータウンを結ぶ。
西神中央駅は高層マンションを見上げるニュータウンの駅、車両基地へと線路が延びて終着駅の哀愁はない。

大きなアーケードの西神中央駅を正面に見てクワッドがスウィングしている。いや一人は吹いていないか?
陽だまりの中、どこか長閑なニュータウンの休日の情景に溶け込んで、
西神・山手線の旅は終わるのだ。

     神戸市交通局 北神線 谷上〜新神戸   7.5km 完乗
神戸市交通局 西神・山手線 新神戸〜西神中央 22.7km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
ボディスペシャルⅡ / サザンオールスターズ 1983


古刹の枝垂桜とあん肝と天の戸美稲と

2023-03-22 | 日記・エッセイ・コラム

 弘法大師の創建と伝わる真言宗の古刹・玉蔵院、地元では桜の名所としても名高い。
本堂横、樹齢100年を超える枝垂れ桜はピンクの花びらが舞いはじめて、今日あたりが最高の見頃だろうか。

いつまでも東京に通うわけではないから、何年か先を見越して、馴染みの小料理屋があったらいいと思う。
そう、人気TVドラマシリーズの「花の里」とか「こてまり」のような。

はじめてお邪魔したカウンターに8席のその店は、小料理屋と言うよりは寿司割烹だろうか。
板場には誠実そうな大将、寡黙に柳刃を入れるのは先代だろうか。森口瑤子似の女将のお酌は当てが外れた。

まずはご存知富山の “立山” を択ぶ。ほのかな芳香で旨味あり、軽快な飲み口の特別純米酒からはじめる。
お造りはレモンを絞って “たひら貝” に “タコ”、あとは “キンメ”、“しめさば”、“まぐろ” が並んだ。

二杯目は横手の “天の戸 美稲80”、味わい深い無濾過純米酒を愉しみながら、濃厚な “あん肝” を突っつく。

はじめましての店では「おまかせ」に限る。僭越だけれど、店の雰囲気と板場の腕を感じるには良いと思う。
なかなか素敵なお店に巡り会ったかな。ひとさら一皿が美しく美味しい。そして季節の旬を味わえた宵だ。

僕らは気に入ったお店だけど逆はどうだろう。実はこの後さらに三杯いただいている。ちょっと調子付いた。
まさか「出禁」の烙印は押されてないと思うけれど・・・。彼女の頬もほんのり桜色、枝垂れ満開の夜は更ける。

Long Term Memory / CASIOPEA 1983


田園風景とディーゼルカーと富久錦の蔵と 北条鉄道を完乗!

2023-03-18 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 地方鉄道の運転士氏は忙しい。折り返しの発車までは7分、少ないとはいえ降車客の精算を行い、
運転台を切り替え、お年寄りに乗換案内をしていたら、時間はあっという間に過ぎてしまうのだ。
それでもたった1両の627列車は定刻の15:09、身震いひとつ北条町に向けて粟生駅を出発する。

法華口という駅名に釣られて途中下車、駅名は「法華山一乗寺」から来たもので、三重塔は国宝になっている。
とはいえ駅から5km、この旅で往復2時間は捻出できない。駅で借りれるはずのレンタサイクルはお休み、
国道端のバス停まで行ったけど、気まぐれな旅人に都合良いダイヤでは走っている訳もない。こりゃ無理だ。
「紫電改」を展示した旧⽇本海軍練習航空隊の鶉野⾶⾏場の資料館は第1・3日曜日のみ開館。これも残念。

そこで片道30分をトコトコと富久錦の蔵をめざす。こちらは「ふく蔵」というcafeが開いているはずだ。
田園地帯の真ん中に重厚な蔵が煙突も誇らしげに建っている。地元の米だけでまさに地酒を醸す酒蔵なのだ。

カフェタイムは甘味だけかと思ったら、つまみ付き飲み比べセットがあった。瑞福、純青、播州古式を試す。
愛山を醸した “純青” は、ほのかな甘い香りをまとった生酛純米吟醸酒、美味いねこれ。土産は決まりだ。

雨上がりの空は暗くなるのが早い。前照灯も煌々と631列車が入ってきた。旅の後半は彼に委ねる。

北条鉄道は際立った勾配や山越えはない平坦なローカル線、長閑な田圃の風景を車体を揺らして気動車が行く。

呑み人が訪ねた翌日は、JR五能線からやってきたキハ40系のイベント列車が走って、大いに盛り上がった
様子がTVニュースで紹介されていた。平日の今日は少ない乗客を乗せて終点へと直走る情景がそこにある。

只4人を乗せた631列車は、沿線唯一と言える住宅密集地を、慎重に速度を落として終着駅に進入する。
僅かに13キロ、所要20分、たとえ廃線になっても大きな影響がなさそうなミニ路線だけど、地元自治体は
誇りにかけて経営を維持して、こうして1両のディーゼルカーがゴトゴトと走っている。

日没を迎えて灯ったばかりの街灯は、やがて時計台の尖り屋根を浮かび上がらせることだろう。
北条鉄道の旅を終えた呑み人、終着駅の町の渋い酒場に魅かれながらも、早めに三宮に戻ることにした。
所要70分で高速バスが走る三宮へ、北条鉄道と神戸電鉄を乗継ぎ2時間かけて戻る。やはり鉄道が好きだから。

北条鉄道 粟生〜北条町 13.6km 完乗

グッドバイからはじめよう / 佐野元春 1983


風を感じて! 秩父神社とZと豚みそ丼と

2023-03-15 | 単車でGO!

 暖かい週末でしたね。ほぼ4か月ぶりにZのシートを脱がして、そろそろ呑まない旅も始めようか。

春霞に朧な武甲山と町並み、R299のワインディングを駆けて秩父までやってきた。

秩父の町並みを見下ろすミューズパークの梅園に600本が咲き誇って梅の香に包まれる。

高台に旧い酒蔵の建物を移築した風情ある「ちんばた」がある。秩父まで走ったら “豚みそ丼” が食べたい。
自家製合わせ味噌に漬けた豚肉をじっくり炭火で焼き上げて、香ばしく旨みたっぷり柔らかい豚肉が美味しい。

知知夫国の総鎮守「秩父神社」を訪ねる。御本殿は天正20年、徳川家康公の寄進により建造されたと伝えられる。

御本殿の四方を飾る、子宝子育ての虎、お元気三猿、北辰の梟、つなぎの龍、極彩色の彫刻が美しい。

復路はR140、岩畳・秩父赤壁・虎岩など岩間を緩やかな流れる長瀞渓谷を眺めてZは荒川を下る。
何かと気忙しい年度末の日常からEscape、風とひとつになれる季節がやってくる。

<40年前に街で流れたJ-POP>
エスケイプ / 稲垣潤 1983


50‰の急勾配と三木合戦と葵鶴の蔵と 粟生線を完乗!

2023-03-11 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 冷たい雨がそぼ降る鈴蘭台駅、4番線には粟生行きの普通電車が入ってきた。ホームの中ほどに0kmポスト。
粟生線はここ鈴蘭台で有馬線から分岐して、藍那の山並みを越えて播磨平野へ下りて行くローカル線だ。

駅舎は北区役所と商業施設が入居する駅ビル・ベルスト鈴蘭台になっていて、駅前には案外人通りがある。
13:09、出発早々いきなりの急カーブ急勾配に突っ込む。粟生線もジェットコースターのような山岳路線なのだ。

粟生線は都市型郊外路線にもかかわらず廃線の噂が絶えない。輸送人員は1992年の1,420万人をピークから半減。
三宮行きの直通バスに押されて、年間輸送人員推移のグラフもジェットコースターのような下りっぷりなのだ。

行程の半ばを過ぎると神戸のベッドタウン三木市、ニュータウンが広がる志染を過ぎると旧市街に入る。
市中心の三木駅の一つ手前、三木上の丸駅で途中下車するのは、駅南側の小高い丘、三木城跡を訪ねるためだ。

天下統一へと突き進む織田氏の毛利攻めにおいて、織田方に離反した別所長治に対して天正6年(1578年)、
羽柴軍が三木城を包囲して三木合戦が開戦する。2年にわたる籠城戦は数千人の餓死者を出して凄惨を極めた。

ところで三木市は酒米の王様と言われる「山田錦」の特A地区でもある。当然に旨酒を醸す蔵があるはずだ。
っで、湯の山街道の旧い町並みに稲見酒造を訪ねる。「↑奥の酒蔵でお酒の試飲販売を致しております。」
って青い暖簾の下には嬉しい貼り紙。上品な奥様の説明を受けながら、数種類の山田錦を楽しく試すのだ。

後日の家呑み、4本の戦利品から最初に開けたのは “葵鶴 山田錦しずく” 、華やかな果実香が広がる純米酒だ。

旅の後半を付き合ってくれるのは初老の1000系3両編成、いつの間にか雨が上がってワイパーが止まっている。

田圃と住宅が混在する長閑な郊外の風景を眺めるうちに、電車は加古川に架かる背の低いトラス橋を渡る。
電車が鳴らす鉄橋の音に一群の水鳥が飛び立った。雨上がりの空は未だどんよりと重たげなままだ。

加古川を渡って3両編成が右90°の旧カーブを切ると、車止めで行く手を塞がれた4番ホームに落ち着く。
各車両に疎に乗っていた高校生を降ろすと、電車は「新開地」へと方向幕を回している。

小さな田舎駅だけど、JR加古川線、粟生線、北条鉄道がX字に交わる要衝といえば要衝の終点粟生駅。
3線のダイヤは連絡の利便性が高く、三方向への乗り継ぎは10分以内に可能になっている。これって凄い。
最大50‰の急勾配の登り下りを繰り返し、まるでジェットコースターのような所要51分の粟生線の旅だ。

神戸電鉄 粟生線 鈴蘭台〜粟生 29.2km 完乗

Sing a Song / 松山千春 1983


駅そば日記 新田毎@秋葉原「春菊天そば」

2023-03-08 | 旅のアクセント

 手のひらのような大ぶりな “春菊天” が、丼から青々とした葉を広げるように飛び出している。
ちょっとやそっとじゃ箸が通らないくらいカリカリっと揚がっているいるね。少し放っておくのが良い。
そばを大掴みにしてズズッと啜る。美味しい。つゆを吸って春菊天の腰が折れてきたら、ひと口齧ってみる。
口の中に芳醇な苦味が広がる。甘じょっぱいコクのあるつゆと春菊の苦味が絶妙だね。

久しぶりに総武線ホームの新田毎までやって来た。
前回は “ステーキカレー” に目移りしてしまったから、今度こそはと名物の “春菊天そば” のボタンを押した。
噂に違わずというか、期待を裏切らずというか、ほんと美味しい一杯でした。ごちそうさまです。
寒の戻りの冷たい風に、コートの襟を立てる。マスクの中にはつゆの甘みと春菊の苦味が残っている。

秋葉原駅3階 6番ホーム「新田毎」: 春菊天そば 500円


file-023

<40年前に街で流れたJ-POP>
ストロー・タッチの恋 / 河合奈保子 1983


有馬に恋さん 有馬線・三田線・公園都市線を完乗!

2023-03-04 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 早朝の新開地駅、旧国鉄の特急を思わせるベージュとレッドに塗り分けた1000系電車が待っていた。
有馬・三田方面の運用はほとんどが三田行きではあるが、早朝の何本かは有馬温泉に直通しているのだ。
06:47発、昭和生まれの1000系電車に乗って、神戸電鉄呑み潰しの旅をスタートする。

本来、神戸電鉄の起点は湊川駅、昭和40年代に相互に連絡したい阪急・阪神・山陽・神戸の4電鉄と
神戸市の思案で設立された神戸高速鉄道によって、神戸電鉄も新開地始発となり他3社と連絡している。
かつてのターミナル湊川駅の白亜の駅舎は、湊川公園に半分埋まるようにして現存している。

湊川から地上に姿を現したツートンカラーの1000系電車は、市街地を抜けぬうちから50‰の急坂に挑む。
源義経が平家の軍勢を奇襲した “鵯越の逆落とし” の山を越えるのだから、想像を超える急勾配なのだ。
振り返ると高層ビル越しの神戸港が遥か下界に見える。余談だが神戸電鉄は全国登山鉄道‰会に参加している。

山道をグイグイ登って40分、初老の1000系は有馬口までやって来た。有馬線と三田線はここで分岐する。
三田発、有馬温泉発の上り電車が同時着すると、出発信号は青に変わり、この電車はポイントを右に進む。

半径の小さい鉄路を鉄輪がキーンキーンと鳴らして最後の急坂を登る。旧7号トンネルを仕上げると終点だ。
頭端式2面2線のホームの柱が灯籠のように柔らかい明かりを灯して、雅やかな雰囲気を醸し出している。

 1300年の歴史を誇り太閤秀吉が愛した関西の奥座敷・有馬温泉、儒学者林羅山は「天下の三名泉」と記した。
駅から温泉街に向かって、先ずは有馬川に架かる太閤橋、上流にねね橋、二人の像が向かい合う格好で立つ。

そぼ降る冷たい雨の中、有馬温泉の中心に鎮座する「湯泉(とうせん)神社」に詣でた。
大己貴命・少彦名命・熊野久須美命を祀る神社は温泉守護神であり、また子宝子授けの神社としても有名だ。

湯泉神社の長い石段を降りて来たころが、ちょうど「金の湯」の開館の時間だ。
鉄分が酸化して赤茶色に濁った、これぞ有馬とも云うべき “金泉” には、是非とも浸かっておきたい。

汗が噴き出した湯上がりには冷たいビールを呷るのが常だけど、ここは意表を突いてフランス菓子のcafe。
「カフェ・ド・ボウ」で、炭火焙煎コーヒーの香りに包まれて、しっとりと “塩焼ショコラ” が美味しい。

有馬口駅まで戻ったら今度は三田をめざす。程なく1番線に急坂を登って5000系の4両編成が入ってきた。

冷たい雨を突いて5000系は三田への勾配を降る。運転席ではゆるキャラの「しんちゃん」が安全運転を見守る。

有馬口からは20分と少々、武庫川橋梁を渡って右手からJR福知山線が近づいてくると終点の三田だ。

三田駅の改札を抜けたのは10:40、どこかに大衆食堂を探して、今日の最初の一杯といきたい。

暖簾が掛かったばかりの「御食事処さんかく」で “牛すじどて焼き” を肴に生ビールを呷る。美味い。
トロトロに煮込んだ牛すじが良い味を出している。夜は人気の一品に違いない。昼間っから申し訳ない。

こんな冷たい雨が降る日には、ピリ辛の “煮込みチャンポン” をいただく。今度は頭頂から汗が噴くようだ。

さて、三田から二つ戻った横山駅から、フラワータウン、ウッディタウンを繋ぐ支線が分岐している。
全ての電車は三田始発で、3両編成の車両がニュータウンの需要をJR福知山線(宝塚線)に繋いでいるのだ。

やはりゆるキャラの「しんちゃん」を添乗させて、踏切ひとつない高架上の線路を急ぐ。
一部トンネルを除いて、複線化できる用地が確保されているけれど、実現はされないのではないだろうか。

朝夕は通勤通学客で満員?であろうニュータウンの路線も、昼間は数えるほどの乗客を終着駅まで運ぶ。
それでも律儀に15分毎に発着する鉄道は頼もしいとつくづく思うのだ。午後は山田錦の産地を粟生線で往く。

神戸電鉄 神戸高速線 新開地〜湊川   0.4km 完乗
      有馬線 湊川〜有馬温泉 22.5km 完乗
       三田線 有馬口〜三田 12.0km 完乗
 公園都市線 横山〜 ウッディタウン中央   5.5km 完乗

短編映画「有馬に恋さん」


SUSHI × Bourgogne

2023-03-01 | 日記・エッセイ・コラム

エントリーは “葡萄海老” の握り、「幻の海老」と呼ばれて高級すし店でもなかなかお目にかかれない。
なるほど、風味は濃厚で甘みがあって美味しい。

グラスに煌めくゴールドは “シャンパーニュ・ダヴィド・フェーヴル”、酸味と果実味が絶妙な味わいは
確かに白身の魚に相性がいい。以前家呑みしたことがあるな、珍しく覚えているぞ。

今宵、五反田で「寿司とブルゴーニュ」のイベントを愉しんでいる。無論ボクの趣味ではない。お供なのだ。
だいいちワインのことはさっぱり分からない。かと言って日本酒のことが分かる訳ではないのだけれど、
美味しいものを美味しくいただく素直で謙虚な味覚は持っている。そして今 “温野菜” の甘味と旨味を感じてる。

“イカ” それに “アジ” と握りが出てきた。赤酢で握ったシャリがなかなか良い。
注がれた辛口の白は “シャブリ2020”、んっと Tasting List に載っていない。ちょっとしたアトラクションか?
出てくるボトルのエチケットは皆同じデザインで、とサインがあるから、
今回はこの醸造家(作り手)さんのワインを楽しむ趣向らしい。きっと呆れられるから、今更連れには聞けない。

天麩羅は “ナメタカレイ” と “ふきのとう”、春の苦味が口の中にふわぁっと広がるね。焼き物は “桜鱒” だって。

 5杯目からは赤に代わって “ショレ・レ・ボーヌ” は、果実の旨みが溢れるピノノワール。
握りは “金目”、“サヨリ”、“赤貝” と続いて、すでに寿司とブルゴーニュワインはボクの中ではマリアージュ。

“鰤大根” は日本酒に味醂ではなくて、もちろんワインで煮ている。葡萄色にしみた “ブリ” の甘みが絶品。
隣でレシピを聞いているから、そのうち食卓に載るだろうか。

さて、握りの方は “毛蟹”、“赤身”、“中トロ”、“穴子” と好みのネタがラインナップされて至福。
最後の8杯目は “ボーヌ(ヴィエイユ・ヴィーニュ)2019”、果実の甘さと酸味がバランス良いピノノワール。

ここまで来ると呑み人的には思考の整理がつかない。美味しいか、まあまあか、好みか、今一つか、って位だ。
「このピノノワール、出汁をしっかりとった和食に合うんですよ」とインポーターの彼女が囁く。
そう言われるとそうかなぁ、いや絶対に合うなこれ。なんて、たまにはこんな席に着いてみるのも愉しいのだ。

<40年前に街で流れたfusion>
Dazzling / CASIOPEA 1983