旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

Biz-Lunch 恩田@大塚「ぶっかけげそ天うどん」

2024-08-28 | Biz-Lunch60分1本勝負

こんな暑い日には、ついつい冷たい麺類に手が出る。
空蝉通り北交差点近くの「恩田」も、そんな時に訪ねたいカードの一枚だ。
この日注文したのは “冷ぶっかけげそ天うどん”、ランチにはミニ丼が付く。ボクは “とろろめし” を択ぶ。
十分にコシを楽しめる手打ちの讃岐、サッパリとしたつゆにレモンと刻みネギでさわやかに美味しい。
目の前で揚げている天ぷらはなかなかのクオリティー。
先ずはカラッと揚がった “げそ” を食し、〆につゆが沁みてしっとりしたのを味わう。旨いぞ。
ちょっと親父さんが気難しいのが玉に瑕だけど、この味わいに再訪したくなる店なのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
晴れ、ときどき殺人 / 渡辺典子 1984


温泉街の蒸留所でクラフトジンを愉しむ

2024-08-21 | 旅行記

オーク樽をテーブルにして、外国人のカップルがジンを楽しんでいる。
投宿した旅館から下駄を鳴らして温泉街を漫ろ歩く夕方、野沢温泉蒸留所を訪ねることにした。

銅板のサインボードを手がかりに、民宿が並ぶ細い道を登っていく。
えっ、こんなところにあるのと訝しみながら進むと、突然に洒落たテラスが現れた。

ガラス張りの建屋は2階の高さまで吹き抜けて、無骨な木枠の棚には真新しいオーク樽が天井まで積み上がる。
樽たちにはシングルモルトが寝かされて、琥珀たちはやがて訪れる出番を夢見て、熟成の時間を待っている。

2022年12月に開業した野沢温泉蒸留所だから、未だウイスキーをリリースしていない。
その代わり、50年の時を隔てて湧き出た雪解け水、地元産のボタニカルで抽出したクラフトジンが味わえる。

ブルーラベルの “NOZAWA” は、爽やかな味わいのシグネチャードライジン。すぎの香りがするね。
和風のテイストのボタニカルクラフトジンは、ブラックラベルの “CLASSIC DRY”、山椒が効いているね。

“IWAI” は、レモン、スモモ、桜の葉が効いている。春の味わい、新緑と祝いの季節を表現したグリーンラベルだ。
これまた春を感じる爽やかなテイストは “SHISO”、アップルウッド、赤紫蘇、青紫蘇の風味だそうだ。

ガラスの向こう、胴が鈍く光る蒸留釜を眺めながら、深い眠りにつくシングルモルトの樽に語りかけながら、
ゆっくりと食前酒のボタニカルジンとの時間を愉しんで、夏の終わりの陽は傾いていく。

さてと、旅館に戻っての宴は、水尾に北光正宗に、北信濃の酒肴を思う存分味わおう。

<40年前に街で流れたJ-POP>
夢伝説 / スターダストレビュー 1984 


外湯と鮎岩塩焼と北光政宗と 野沢グランドホテル@信州・野沢温泉

2024-08-17 | そうだ温泉にいこう!

野沢温泉のシンボルは大湯、温泉街の中心に、江戸時代の趣ある湯屋建築の美しい姿を見せている。
カランコロンと下駄を鳴らして13ある外湯を巡るのが、この北信濃の温泉地の大きな魅力だ。

ガラガラと引き戸を開ける。奇跡的に誰も居ない。タイミングかな。
湯気が高い天井までゆらゆらと上がっていく様子は、見ていて案外癒しになるなぁ。

湯船は二つ、ぬる湯とあつ湯があるけれど、そもそも50℃を超えているから、何がぬる湯?
真鍮の蛇口を全開にして加水、恐る恐る浸かる。身動きがとれない。

10秒も使っただろうか、堪らずに湯船から逃げ出す。全身は真っ赤なのだ。
っと、戸を引く音がしたので、慌てて蛇口を閉める。地元のお父さんに叱られるからね。

温泉街を見下ろす高台で、真湯と麻釜、2つの源泉をかけ流している野沢グランドホテルに投宿。
久しぶりにふるさと信州を訪ねて、北信濃のお湯と地酒と「おごっつぉ」を楽しみたい。

木耳辛子和え、菊花なます、高原花豆の甘煮、紅鱒イクラ、わらび甘酢漬と八寸を並べて生ビール。
クリーミーな泡を口ひげにして、キンキンに冷えたやつを呷る。風呂上がりには堪らない。

信州サーモンとするめいかの向付、高野豆腐と夏野菜の冷し鉢が追っかけてきて、膳が華やぐ。
甥っ子を含めて20代の男が4人、酒が飲める年ごろになって頼もしい。今回はちょっと賑やかな宴だ。

平皿に鮎が泳いだら、城下町飯山の酒 “水尾” を開けて、年長の義弟と差しつ差されつ。
「金紋錦」を醸した “小吟” は華やかな香りの純米吟醸、コクの深い味わいがいい。

野沢菜の “おやき” を味わっているうちに、信州牛にいい感じで焼き色が付いてきた。
地酒は戸狩の “北光政宗” に代わる。“雪明かり” は「ひとごこち」を醸したやわらかい口当たりの純米吟醸。
あっ、酒の順番は逆の方が良かったかなぁ。いやご馳走さまでした。

今宵、奥信濃の酒肴を堪能した湯宿、あとは早暁、露天風呂を独り占めしたいものだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
そして、僕は途方に暮れる / 大沢誉志幸 1984


ご当地旨ラーメン事情 一心ラーメン@荒木町

2024-08-14 | 旅のアクセント

芸者衆が行き交った粋な花街・荒木町、外苑東通に面して赤く浮かび上がってるのが「一心ラーメン」だ。
どんぶりの周りをのりでしきつめた別名 “エリマキらーめん” (エリマキトカゲに似ている?)をいただく。
かなりの細麺、硬め、大ぶりなチャーシュー、玉ねぎみじん切り、メンマ、ナルト、ネギを散らして
昔ながらの濃いめの醤油味が、呑んだ後の胃袋に沁みて美味しい。(きっと身体には良くない)
後半、スープを吸ったエリマキたちを絡めて啜る細麺で二度美味しい。
大人の街で呑んだ後に、こんな旨い〆があることを今宵初めて知った。
女店主が一人で切り盛りするこの店に、また次回も訪ねたいと思うのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
コントロール / 河合奈保子 1984


水曜日は家呑み派「葵鶴 純米吟醸 純」

2024-08-07 | 日記・エッセイ・コラム

小さなセラーの隅っこから、深いブルーのボトルが出てきた。これ、兵庫県三木の “葵鶴”。
神戸電鉄粟生線で呑んだ時に仕込んだ酒だから、1年以上寝かせてしまった。ワインじゃあるまいし大丈夫?
羽柴軍が別所長治を包囲した三木合戦の舞台となったこの辺りは、山田錦の日本一の生産地だ。

豚バラの良いところが冷蔵庫にあったから、豆腐としめじと水菜で “豚バラ鍋” にしてもらった。
夏とは言え、鍋ものは手軽でヘルシーで尚且つ日本酒に相性がいい。
もう一回り小さい土鍋では “とうもろこしご飯” が出来上がっていた。
バターを入れずに塩胡椒だけで仕上げると、これもなかなか酒にあう一品になる。

柔らかな香りでさらりとした呑み口の純米吟醸は、特A地区の山田錦100%で醸した「GIはりま認定酒」。
淡麗な酒を差しつ差されつ、鍋をつつきながら、ふたりだけの家呑みもなかなか良いものだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
愛情物語 / 原田知世  1984


津々浦々酒場探訪 夜行列車@上野

2024-08-03 | 津々浦々酒場探訪

上野駅ほど夜行列車が似合う駅は無いと思う。
ボクがそう思うのは、物心ついた時分すでに新幹線が博多開業し、
東京駅を発つ夜行列車といえば、華やかなブルートレインが主役で、出張とか旅行をイメージさせた。

一方の上野駅は、燻んだ青に塗られた急行列車が、頭端式の地上ホームから次々と北へと出発し、
A寝台B寝台にグリーン車、普通車、荷物車、郵便車などで混成した不揃いの客車列車は、
帰省とか旅とか、言い換えると「郷愁」とか「哀愁」を漂わせていたからかも知れない。

手元に色褪せた時刻表がある。1967年10月、大きなダイヤ改正があった時のものだ。
この古い時刻表をなぞってみる。23:30発の「第4十和田」は仙台で朝を迎える。
車窓には今頃は色づき始めた稲が、遥か遠くの山裾まで大崎平野の田園風景が広がっているはずだ。
ここで醸された “一ノ蔵” をグラスに注いでもらう。ほどよい酸味、キレ味の辛口純米だ。

広小路口から横断歩道を渡ってガード沿を2ブロック、日本酒BAR「夜行列車」がある。
間口の狭いの店には12席のカウンター、日本酒メニューの木札には東北・北陸信越の地酒がラインナップ。
お盆を迎えるご同輩は、夜行列車のきっぷを懐に、この店で一足早く故郷の酒を呑んだだろうか。

時代は降って、この手のお店で女子3人が昼から呑んでたりして、ガード下の風景も変わったんだろうなぁ。

上野を21:00に発つ「羽黒」は羽越線経由の秋田ゆき、朝日に輝く出羽三山を遠望して06:40酒田に着く。
酒田の酒 “上喜元” の純米吟醸は清涼感とキレがある酒だ。アテは本マグロ、赤貝、甘エビで盛り合わせ。
北前船で栄えた湊町酒田に旅したら、酒田舞娘の艶やかな踊りを観ながら、日本海の幸でこの酒を呑みたい。

帰宅ラッシュの19:30に13番線を出発した「越前」は、未明の長野、早朝の富山・金沢を経て、福井は07:11着。
今では北陸新幹線で3時間を切る東京〜福井も、当時の夜行列車は12時間もかけて走ったんだね。

越前大野の “花垣” はボクの好きな酒、純米吟醸 “米しずく” は濃厚なうまみがある。
アテはへしこの代わりになるかと “鯖の燻製”、わさびをチョイとつけて、これは旨い。

お盆の帰省ラッシュを眺めながら、夜行列車と古い時刻表と日本酒で、居ながらに旅する呑み人なのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
前略、道の上より / 一世風靡セピア 1984