旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

一酒一肴 想天坊×ズワイガニと菜花ポン酢

2025-02-12 | 津々浦々酒場探訪

行きつけとは云わないまでも、時折寄せていただく居心地の良い居酒屋。
ちょっと気になったひと皿が “ズワイガニと菜花ポン酢”、冬と春が出会う肴だね。
ズワイガニの甘みと菜の花のほろ苦さが一緒になって、そしてポン酢のジュレがいいね。

今月の地酒のラインナップを指で辿って日本海側の酒を探す。ズワイガニが獲れるところのね。
新潟県の河忠酒造の酒があった。30分も走れば出雲崎漁港がある辺りの蔵だ。

“想天坊” の純米しぼりたて生原酒は冬の酒、爽快な香りで芳醇な旨味のある酒ですね。
冬の芳醇な酒を酌みながら、冬の味覚ズワイガニを抓む。っで菜の花の苦みに春を想う。心地よい宵だ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
もっと接近しましょ / 石川秀美 1985


酒と肴と男と女 鳥昇@浦和

2024-11-13 | 津々浦々酒場探訪

今宵は雪国の酒で酔うと決めた。まずは “ゆきつばき”、山田錦で醸した純米吟醸は新潟らしい淡麗辛口だ。
そしてこの “肉どうふ” が絶品、モツ煮の鍋で煮込むのかな?豆腐の色が変わるほど煮込んであるね。

飛び込んだ駅近の老舗っぽい焼きとり屋は、木目調のカウンターの奥に二人掛けのテーブルが並ぶ。
乾杯は “ハートランド” って、ふたりが同じものを択ぶのって珍しいと、顔を見合わせて苦笑する。

とりあえずは “やきとり” を塩で、“つくね” は辛子明太子とチーズを1本ずつ焼いてもらう。
この注文が素人っぽくて良いでしょう。実際そうなんだけどね。

コップから升へ “ゆきつばき” が溢れたら、ネギ、ししとう、しいたけを焼いてもらう。
あと “タコのお刺身” ね。これっ箸休めにいいでしょう。

“なす焼き” は生姜で食べると美味しい。すでにここが焼きとり屋ということを忘れているかも。
酒は “住吉” の特別純米に代わっている。これまた雪深い置賜に蔵元がある。
ササニシキを醸したこの酒は、あえて濾過をしないそうで、薄い山吹色をしている。

一昨年の初秋、富山地方鉄道の呑み鉄旅で訪ねた黒部の “銀盤” を品書きに見つけた。こういう再会は嬉しい。
穏やかな香り、まろやかな口当たりの淡麗辛口が美味しい。
こいつをチビリチビリ飲みながら、〆の “おやこなべ” を突っつく。出汁玉子でとじた鶏で温まる。

コートの襟を立てる夜、温かい料理を並べて杯を重ねる幸せ。また日本酒、付き合わせちゃったね。

Piece Of My Wish  / 稲垣潤一&辛島美登里


津々浦々酒場探訪 炉端焼き居酒屋 浦しま@浦和

2024-11-06 | 津々浦々酒場探訪

炉端焼きのその店は、確か1年くらい前にこの交差点に暖簾を掛けたんだと思う。今宵は新規開拓にかかる。
生ビールは “黒ラベル” ね。名入れのジョッキーが誇らしい。星にならないと。
酒場を判断するのに “ポテサラ” は一つの物差し、しっとりしたポテトにいぶりがっこをのせてgood!

刺身が食べたいから日本酒に代えよう。“浦霞” は夏を越えて純米秋あがり、旨味と酸味を感じる良き食中酒。
いいところを切って貰って美味しいんだけれど “刺盛り”、量がちょっとね。
浦和は人気の居酒屋でも刺身はこんな感じの店が多い気がする。たった30キロだけど豊洲は遠いか。

目の前の囲炉裏がパチパチと音を立てて、ボクの “サバくん” が焼き上がった。
燻した香りを楽しみながら箸を入れる。酒は “春鹿” の超辛口、このコクは燻製にも負けない。
北へ行ったり、西へ足を延ばしたり、節操のないチョイスだけど、旨いからいいか。

〆はさらに南へ延ばして、なぜか “ソーキそば” がある。
コーレーグースを適量振ってズズっと啜る。ちょいピリ辛だけどさっぱりと美味しく締める。

次回はも少し炉端メニューで攻めますか。料理は美味しいし明るく爽やかなスタッフに好感度上々の店なのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
六本木心中 / アン・ルイス 1984


津々浦々酒場探訪 旬菜料理でんご@浦和

2024-10-30 | 津々浦々酒場探訪

立ち飲み「ひとりあじ」から、REDSファンの集まる「力」に、吉田類も運んだ「弁慶」と、
裏門通りには点々と個性的な居酒屋がある。がっ呑み人のお勧めは、少し落ち着いて「でんご」かな。

今宵はめずらしく生ビールをパスして、白神山地の蔵 “山本 サンセットオレンジ” からはじめる。
日本海の沈むオレンジ色の夕陽をイメージした純米吟醸は、美山錦と6号酵母で醸した穏やかで爽やかな香りだ。

おすすめ一品から “カニ玉 田中農場さんの宝玉” を択ぶ。
サンセットオレンジに負けないくらいの橙と濃厚な味が、とろぉりカニ肉を包んで美味しい。

白河の “楽器政宗” に代わって、紫のラベルは雄町で仕込んだ純米吟醸、甘やかな香りで濃醇な旨味の酒だ。
アテに択んだ “さつま芋天ぷら” は、上品に甘やかで 、これは案外いいマリアージュ。

ここの店でお気に入りのアテは “ねぎ豚ポン酢”、豚バラ肉の唐揚げを青ネギとポン酢でさっぱりと美味しい。
“仙禽 あかとんぼ無ろ過原酒” は氏家の酒、甘酸っぱい香りで芳醇な味わいの食中酒、秋のひやおろしだ。

かつて東北本線・奥羽本線を経由した寝台列車が上野から青森まで走った。
秋田、福島、栃木と居酒屋のカウンターで擬似的に呑み鉄して、浦和を通過するのは明朝06:00頃かな。
ご馳走さまでした。

<40年前に街で流れたJ-POP>
泣かないで / 舘ひろし 1984


津々浦々酒場探訪 大衆割烹 八べゑ@名古屋 太閤通口

2024-10-23 | 津々浦々酒場探訪

屹立する3棟のタワーが圧倒的な存在感で、太閤通口に居ても覆い被さってくるような感覚がある。
そんな名駅に背を向けて1本入ると、ビジネスホテルと大衆酒場が混在した、出張者の巣のような一角がある。
立ち呑みの有名店を袖にして、今宵はとあるホテルの地下にある大衆割烹への階段を降りる。

 

厨房を囲むカウンターに席を占めて、先ずは “SUPER DRY” の生中を。お通しの “辛子明太子” がいいね。
アテの “大人のポテサラ” は、トッピングの半熟卵天を割るところから始まる。マイルドで美味しい。

三河湾に揚がった新鮮な魚を “お刺身五貫盛り合わせ”、なぜ貫と云うのか分からないけど、
解凍ものではないことは分かる。ほんと新鮮なのを一口ずつ、美味しくいただく。

続いて “天ぷら5種盛り”、なにを揚げてもらうか迷うよりお任せでいい。
「天ぷらにはこちらがgood!」と推しているから、“甘くないレモンハイ” で継なぐ。
凍らしたレモンがぎっしり詰まっているから、ナカをたのんで二杯目も楽しむ。

昨晩も飲み過ぎたから、今宵は蒸留酒で継ないでで4杯目もジョッキーで “ハイボール” を。
アテは “のどぐろ出汁の湯豆腐”、寒いから最後は美味しく温まりたい。なかなか旨い出汁で感心しきり。

カウンターに座って、料理人の包丁さばきを眺めながら呑めば、お一人様だって楽しい。
さてとしっぽりと呑んだら納屋橋のホテルに戻りますか。きしめんでも啜ってね。

<40年前に街で流れたJ-POP>
君が嘘をついた / オフコース 1984


津々浦々酒場探訪 小料理バル ドメ@名古屋 柳橋

2024-10-12 | 津々浦々酒場探訪

甘味と酸味が調和した “蓬莱泉 和” は設楽郡の酒、藤色のレベルがいいね。
そしてアテの小鉢は “こはだ 卯の花和え”、渋いでしょう。こはだの酢〆をおからに絡めて美味しい。

名古屋駅の近くに柳橋中央市場ってのが在って、場内やその周辺には気の利いた酒場が点在している。
奥行きのある木のカウンターで、地の食材を使った一品料理と地酒を味わう。ご機嫌なお店でした。

一番搾りを馴染ませながら、黒板の「おすすめの一品」を択ぶ。これが楽しい。
お通しはちょっと贅沢に “鯛の押し寿司”、昆布締めにした鯛の旨味がいい。

“ポテトサラダ” をレンゲで崩すと、中に薫製たまごが入っている。トッピングしたいくらが彩を添える。
ポテサラの下には、千切りにしたポテトのフライが敷いてあって、二通りにも三通りにも楽しめる逸品だ。

知多半島の天然塩でいただくのは “厚切り三元豚の天然塩炭火焼き”、旨みと甘みが強調されるね。
代わって “長珍” は津島の酒、爽やかな口当たりでキレある辛口、洒落た錫の酒器で注げばなお旨い。

〆に “名古屋コーチンときの子の土鍋ご飯” をいただく。土鍋って開けた瞬間に広がる香りといいですね。

この週は名古屋オフィスで勤務、さすがに3日目の晩ともなると誰も構ってくれない。
っと云うことで、お楽しみの酒場探訪となる訳です。
当たりをつけておいた店が、文字通り「当たり」で、自分を褒めてあげたい今宵なのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
君のハートはマリンブルー / 杉山清貴&オメガトライブ 1984


津々浦々酒場探訪 庵 浮雨(un peu)@浦和

2024-09-14 | 津々浦々酒場探訪

ゴールドの泡が煌めく “スパークリング” と、大衆酒場の雄 “赤星” の共演で今宵の宴が始まる。
お通しは、なんともクリーミーな “おぼろ豆腐”、岩塩で食すかオリーブオイルで食すか、選択を迫られる。

十割蕎麦が食べられるビストロ?、蕎麦前にタパスを楽しむそば処?
記事のカテゴリーは、酒場探訪か、人生のそばからか、男と女か、迷うところたくさんの夜なのだ。

“ゴボウの青唐みそマヨネーズあえ”、“長ねぎのマリネ”、“木の子のマリネ” を並べて赤星を呷る。
とりあえずはメニューの上から3つを頼んでみた。どれもご機嫌なアテなのである。

選りすぐりの日本酒は純米系のボトルを、あたかもワインのようにラインナップしている。
今度は “半熟うずら玉子のスモーク” はトリュフ塩で、それに “鶏ササミの洋風とりわさ” で脇を固めておいて、
注ぐ “醸す森” は津南の苗場酒造の酒、ほのかに柑橘系が香るのど越し爽やかな生酒なのだ。

このモダンな酒を差しつ差されつ、“ホタテのムース洋風板わさ” と “だし巻き風オムレツ” を突っつく。
これもまた美味いねぇ。ほら、段々と蕎麦処っぽいアテになって来たでしょう。

〆の十割蕎麦は クルミオイルをたっぷり使った “くるみ汁せいろ” が陶器に盛られてやってきた。
コシのある十割を、ほんのり甘いくるみ汁で、なめらかに啜って美味しい。
こんな隠れ家的な蕎麦処はふたりでゆるりと楽しみたい。

<40年前に街で流れたJ-POP>
シャボン / 長山洋子 1984


津々浦々酒場探訪 夜行列車@上野

2024-08-03 | 津々浦々酒場探訪

上野駅ほど夜行列車が似合う駅は無いと思う。
ボクがそう思うのは、物心ついた時分すでに新幹線が博多開業し、
東京駅を発つ夜行列車といえば、華やかなブルートレインが主役で、出張とか旅行をイメージさせた。

一方の上野駅は、燻んだ青に塗られた急行列車が、頭端式の地上ホームから次々と北へと出発し、
A寝台B寝台にグリーン車、普通車、荷物車、郵便車などで混成した不揃いの客車列車は、
帰省とか旅とか、言い換えると「郷愁」とか「哀愁」を漂わせていたからかも知れない。

手元に色褪せた時刻表がある。1967年10月、大きなダイヤ改正があった時のものだ。
この古い時刻表をなぞってみる。23:30発の「第4十和田」は仙台で朝を迎える。
車窓には今頃は色づき始めた稲が、遥か遠くの山裾まで大崎平野の田園風景が広がっているはずだ。
ここで醸された “一ノ蔵” をグラスに注いでもらう。ほどよい酸味、キレ味の辛口純米だ。

広小路口から横断歩道を渡ってガード沿を2ブロック、日本酒BAR「夜行列車」がある。
間口の狭いの店には12席のカウンター、日本酒メニューの木札には東北・北陸信越の地酒がラインナップ。
お盆を迎えるご同輩は、夜行列車のきっぷを懐に、この店で一足早く故郷の酒を呑んだだろうか。

時代は降って、この手のお店で女子3人が昼から呑んでたりして、ガード下の風景も変わったんだろうなぁ。

上野を21:00に発つ「羽黒」は羽越線経由の秋田ゆき、朝日に輝く出羽三山を遠望して06:40酒田に着く。
酒田の酒 “上喜元” の純米吟醸は清涼感とキレがある酒だ。アテは本マグロ、赤貝、甘エビで盛り合わせ。
北前船で栄えた湊町酒田に旅したら、酒田舞娘の艶やかな踊りを観ながら、日本海の幸でこの酒を呑みたい。

帰宅ラッシュの19:30に13番線を出発した「越前」は、未明の長野、早朝の富山・金沢を経て、福井は07:11着。
今では北陸新幹線で3時間を切る東京〜福井も、当時の夜行列車は12時間もかけて走ったんだね。

越前大野の “花垣” はボクの好きな酒、純米吟醸 “米しずく” は濃厚なうまみがある。
アテはへしこの代わりになるかと “鯖の燻製”、わさびをチョイとつけて、これは旨い。

お盆の帰省ラッシュを眺めながら、夜行列車と古い時刻表と日本酒で、居ながらに旅する呑み人なのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
前略、道の上より / 一世風靡セピア 1984


津々浦々酒場探訪 山男(Yamasan)@台北

2024-07-10 | 津々浦々酒場探訪

すっかり乗り慣れたレッドラインで信義安和にやって来た。台北101が紫紺に輝いている。
賑やかな信義路から南へ下ると、ぽつりぽつり洒落た店を見つけることができる。
コンクリート打ちっ放しに丸窓を穿って、山男(Yamasan)もそんな店のひとつだ。

毛だらけの足にハイソックス(たぶんブリーフ姿)男の股の間から夏の太陽が覗いている。
このシュールなエチケットは “恋夏365”、グアバのテイストのみずみずしいクラフトビールで始める。
カルパッチョは、サワラ?とトマトにミントを散らして、なかなかいいね。

鮑の蒸し物、オクラとクリームチーズの小鉢を並べて突っいてみる。
スパイシーでジューシーな鶏肉、パリッと焼けた皮、わさびのソースをつけて美味しい。

少ないリストから “ラ・ヴァレンティーナ” ってイタリアの白を択ぶ。タコのマリネサラダといい感じだ。
なす、つくね、トマトのベーコン巻き、適当に串物を焼いてもらって、ゆるりとワインを楽しむ夜なのだ。

お洒落だけどちょっと明るすぎ、お客さんもスタッフも、どこか意識高い系の若者が多い。
旧き善き酒場を愛する呑み人は択ばないタイプの店かな。お酒も押しが強いせいかラインナップは少なめだ。

でもね、料理はどれも(かなりのレベルで)美味しい。それこそオープンキッチンにでもしたら良いかも。
さほどお酒にこだわらない方、2〜3度目のデートの店を探している方、には良い選択かも。
台北を訪れて、そろそろ台湾料理にも飽きてきたら、そんな山男(Yamasan)を訪ねたらいかがだろう。

<40年前に街で流れたJ-POP>
バージンブルー / Sally 1984


津々浦々酒場探訪 酒蔵 力@浦和

2023-09-13 | 津々浦々酒場探訪

赤い灯が揺れる酒蔵・力、夕餉の時間ともなると “焼き鳥” を求める長い列ができる。
水曜日あるいは土曜日、大きなモニターにはREDSの試合が映し出され、大きな歓声が上がる。

気の置けない仲間どうしで呑む店だから、カウンターはわずかに6席と小さい。
「力」の赤い文字が強々しいジョッキで冷たい生ビール、REDSにあやかって “まぐろブツ” が肴だ。

“豚カルビ” を焼いてもらって辛子味噌で美味しい。ジョッキはホッピーに代わっている。
お手頃な酒場では定番の “ポテサラ” を。ボクはこれがすきだ。ここのはなんだか艶かしい。

ご飯がわりに〆の “焼きそば” をいただく。ハフハフしながら、これホッピーに合うよね。
これで2,000円と少々、賑やかな店は仕事の余韻を振り払うのに丁度いい感じなのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
禁区 / 中森明菜 1983


津々浦々酒場探訪 第三モッキリセンター@札幌

2022-12-28 | 津々浦々酒場探訪

札幌出張の日は大雪警報に見舞われた。確か去年もそうだった。時計台にも横殴りの雪が容赦ない。
支社のメンバーとは昨晩会食したから、今宵はひとりバスターミナル裏の「第三モッキリセンター」を訪ねる。

ガラッと引戸が思いがけず大きな音を立てる。先客の視線が一斉にこちらを射る。えっ、これ不味い雰囲気か?
身体は凍えても先ずは “生ビール”、アテに “厚揚げ焼き” ではじめる。生姜醤油でカリカリと美味しい。

赤ら顔のご常連達は最早一介の余所者には関心を寄せていない。さっきの悪い予感は杞憂に過ぎなかったのか。
横に長いコの字カウンターの中、エプロン姿の昔のお嬢さん達はこんなボクにも優しく世話を焼いてくれる。

コップ一杯の焼酎と古いアイスペールが運ばれて、ホッピーを楽しむのにかなり自由度が高い。
小さな土鍋がグツグツと “とん鍋” が登場、優しい味噌味に芯から温まる。むせたのは振りすぎた七味のせいだ。

アテは “にしんきりこみ”、これには目が無いんだよね。唯一の道産の酒 “千歳鶴” の生酒のキャップを開ける。
今日は “鮭のいずし” があるよとお姐さん。こういうお奨めには乗ったほうが良い。
沿岸部の郷土料理は、米の甘みと乳酸の酸っぱさのバランスが絶妙で、これってなかなか美味い酒の肴だ。
最後の一杯に合わせて “ザンギ”。醤油ベースの甘辛いタレに漬けこんだ鶏唐は日本酒のアテに申し分ない。

大きな荷物を抱えた親父さんがオーバーコートの襟を合わせて出ていった。夜行バスで故郷へ帰るのだろうか。
さてっボクもそろそろ。堪能した昭和な大衆酒場を出る。固まる雪を踏み締めてぶるっとくる呑み人なのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
北酒場 / テレサ・テン 1982


一酒一肴 松本•今錦×馬肉たたき

2022-10-12 | 津々浦々酒場探訪

  城下町を漫ろ歩いて、今宵は駅近の酒場で地酒と郷土料理を堪能したい。
場所柄、地元の若者、観光客、出張のサラリーマン風など、ちょっと混沌とした雰囲気になってる。

酒は東に西にアルプスを見上げる天竜川沿い中川村の "今錦おたまじゃくし"、特別純米酒ひやおろしを択ぶ。
もみじを散らしたラベルには工夫があって、酒の成長をおたまじゃくしで表しているそうだ。
冬に出荷する生酒は手足なし、春の特別純米では足が出て、1年を経たひやおろしは手も生えてってね。

アテには "辛味大根おろしと馬肉たたき"、炙った赤味馬刺しに信州の辛味大根をたっぷりおろして、
ポン酢でさっぱりと美味しい。 ふくよかながらもキレのある “ひやおろし” とともにご機嫌な宵なのだ。

 
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<40年前に街で流れたJ-POP>
時代は僕らに雨を降らしてる / 長渕 剛 1982


一酒一肴 名駅•半田郷×名古屋牛かつ

2022-10-05 | 津々浦々酒場探訪

 おすすめの "名古屋牛かつ" はちょいレア、おろしポン酢でよし、たっぷりわさびでもよし、美味しい。
こんなアテに合わせる食中酒は純米系がいいね。純米吟醸 "半田郷" はしっかりした味わいで濃い料理にも合う。

名古屋圏を呑み潰した夏、青春18きっぷだから、東京に帰るには17:00の新快速に乗らないといけない。
15:00に赤ちょうちんが灯るちょいのみ酒場「せんて」を探し当てて、まだ日の高い名駅での一杯なのだ。


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<40年前に街で流れたJ-POP>
待ちぼうけ / 堀ちえみ 1982


一酒一肴 津•るみ子の酒×松坂牛レアステーキ

2022-09-21 | 津々浦々酒場探訪

 伊勢鉄道の短い旅を終えて、県庁所在地にしては良く云えば落ち着いた雰囲気の津駅前。
ほど近い懐石料理店の暖簾をくぐる。伊勢志摩の贅沢を楽しむ店にリーズナブルなランチメニューがあった。

"るみ子の酒" は、伊賀は森喜酒造の酒、注ぐ特別純米生原酒がリーデルグラスを曇らしていく。
紅が鮮やかな肉に青い刻みネギを散らして “松坂牛レアステーキ” が美しい。サッと青柚子を絞って準備万端。
松坂牛の旨みに青柚子の酸味がちょっぴりきいて美味しい。追いかける純米酒のすっきりした味わいが合う。

さて、腹ごなしに2キロほど南へ彷徨うと津城跡、丑寅櫓が復元されている。
馬上の甲冑姿は藤堂高虎公、主家を転々とした後徳川に与し、伊予今治から入城して伊勢藩主となった。
伊勢の酒肴と歴史にちょっぴり齧って、夏の終わりの伊勢鉄道の旅なのだ。


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<40年前に街で流れたJ-POP>
すみれ September Love / 一風堂 1982


津々浦々酒場探訪 すりみ屋@上越高田

2022-05-04 | 津々浦々酒場探訪

約4,000本の桜が咲く誇る高田城址公園、ぼんぼりの灯に浮かび上がるソメイヨシノが美しい。

実は直江津で一軒、高田で二軒、当たりをつけていた店に席はなかった。
予約で一杯か、この時期一見さんは警戒されるのか、ちょっと寂しい。っと仲町通りに見慣れぬ店を発見。
「すりみ屋」は老舗蒲鉾店が手掛けるおでん屋さん、この店あったかなぁ、覚えがない。

地酒を飲みたいけど先ずは生ビール、キンキンに冷やしたジョッキーにきめ細かな泡。好感度高まるね。
品書きで気になった “帆立貝浅漬け”、マリネでは食べるけど浅漬けもいいね。箸休めに抜群だと思う。

一杯目は柿崎の “吟田川(ちびたがわ)”、籠から好きな猪口を択んで、けっこう濃厚なコクがある特別純米だ。
こんな酒は揚げ物に合うかなっと “メギスフライ”、そう上越ではフライで食べる。結構な名物になっている。
サクサクで中ふわふわ、レモンを絞って濃厚なソースをかけて美味しい、この酒との相性もいい。

ところでこの店、外観も店内も縁日みたいで楽しそう。客層もオヤジの一人呑みから、サラリーマン連れ
カップルもいちゃつけば、女子飲みも居て、細長いコの字カウンターは賑やかなのだ。

そろそろ店の主役おでんに切り替えて、最初の皿には厚揚げ、コンニャク、ジャガイモ、大根が盛られた。
短冊の “6点盛り” がお得でお奨め。二杯目は高田の酒 “スキー正宗 入魂”、なめらかな飲み口の特別本醸造、
上越(上越後の意味)の酒は、いわゆる新潟淡麗とは趣が違い、少々甘めの酒が多い。

器も凝っているふた皿目、イワシつみれ、ホタテのすり身団子に味しみ玉子、おまけでシャウエッセン。
海岸に近い大潟の酒は “かたふね” の特別本醸造、IWCのトロフィー賞を受賞しているね。
やはりやや甘口の軽快な喉越しの酒、冷でよし燗でなおよしの晩酌酒がおでんに合わない筈はない。

もう少し食べたい肴もあったけど、明日は出勤だからそろそろ勘定を。はくたかに乗れば東京までは2時間、
上越新幹線に加えて北陸新幹線が延伸して、にいがたの酒肴を味わうのも訳がない大人の休日なのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
誘惑 / 中島みゆき 1982