旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

みそ貝焼きと関乃井と本州最北端の駅 大湊線を完乗!

2021-02-27 | 呑み鉄放浪記

 雪に埋もれたここは野辺地駅、八戸から走ってきた<快速しもきた>で、はまなすベイラインを往く。

東北本線(現青い森鉄道)と分岐する野辺地が大湊線の起点、0キロポストはもちろん雪の中。
駅の西側に続くスギの連なりは日本最古の鉄道防雪林、今では貴重な土木遺産だと云う。

『走る 列車のリズムにあわせ 缶ビールが 揺れている ♪ 』って六角さんの歌を思わず口ずさむ。
有戸駅を通過すると車窓に陸奥湾が迫ってくる。っとバックから缶ビールを取り出してプルトップを引くのだ。

むつ市の玄関口下北駅は本州最北端の鉄道駅なのだけど、残念ながらここに旅情はない。
ロードサイドには量販店や外食店がならび、積もった雪を除けば首都圏郊外の風景となんら変わらない。

 駅から路線バスで10分ほど走ると昔ながらの商店街、田名部神社脇の老舗割烹で地酒を飲む。
ここ田名部にある下北半島唯一の酒 "関乃井"、家々では無口なオヤジが一升瓶を傍らに飲んでいるだろうか。

"いかソーメン" を啜っているうちに、溶き卵の中でウニやらホタテやらエビやらぐつぐつ音を鳴らしてきた。
地元の旬の食材をたっぷり抱え込んだ熱々の "みそ貝焼き" を肴に、最果ての無骨な酒が美味い。

ガタゴトと田名部川鉄橋を渡る。2両編成のディーゼルカーが西に向きを変えると正面に恐山が見えてきた。

大きく減速したディーゼルカーは運転席に警告音を鳴らしながら、雪に埋もれた車止めに行く手を塞がれる。
正面にガメラレーダーを載せた釜臥山(878m=恐山系の最高峰)を見て、はまなすベイラインの旅は終わる。
鈍く光る陸奥湾はこの真冬日にどこまでも穏やかだ。
大湊線(はまなすベイライン) 野辺地~大湊 58.4km 完乗

驛舎 / さだまさし 1981 
     


旅するどんぶり 男鹿「甘海老と紅ズワイガニの2色丼」

2021-02-25 | 旅のアクセント

 引退が迫るキハ40・48形気動車に揺られて男鹿半島までやってきた。
終点男鹿駅、船川港の向こうに秋田市街が見える。その背景の雄姿は鳥海山だろうか。
道の駅「なまはげの里オガーレ」にて、メニューに地酒がないのでプレミアムモルツ。
"男鹿産天然甘海老と紅ズワイガニの2色丼" が着丼、ちょっと贅沢な丼でしょう。
プチプチと、ぶりっこ(ハタハタの卵)の食感とともに冬の日本海の幸が美味しい。
雪がチラついてきた。なまはげに見送られた帰りのキハで "雪の茅舎" を開けようか。

2020/02

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一酒一肴 新潟・絶品きゃべつメンチと鶴の友

2021-02-23 | 津々浦々酒場探訪

キャベツの甘みと肉の旨味がぎっしり詰まって、ここの "きゃべつメンチ" は絶品。
そして芳醇で素朴な "鶴の友 純米酒" は揚げ物にも合う、冷やでよし燗でなおよしの旨酒。 
懐かしい店についつい酒が過ぎただろうか、すっかり「ほろ酔い」の出来上がり。
カウンターの姐さんが覚えていてくれたのには、ほっこり嬉しくなってしまった。
さてと、青い灯がゆれる「新潟駅」から、最終の1本前で東京へ帰ろうか。

2020/02

先日、新潟を訪ねたら鉄道高架化工事で万代口の駅ビルの解体が始まっていた。
時の流れとはいえ『青い灯がゆれる新潟駅』が見れなくなるのは寂しいな。


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大人のたしなみ 新改商店@青森

2021-02-20 | 大人のたしなみ

いわゆる「立ち飲み屋」はガード下や雑居ビルの片隅で営業している店が多い。
最近は女性ひとりでも格好良く立てるお洒落な店が増えたのも確かだけれど、
いずれにせよ大都市にある飲み方。地方都市では経済成長により「角打ち」が
廃れてからこっち「立ち飲み屋」は希少な存在だ。
おそらく青森市で唯一軒の立ち飲みであろう「新改商店」は乾物屋さんが経営している。
酒屋が酒とつまみ(乾き物や缶詰など)を売って、店の一角で飲食させる「角打ち」に対し
乾物屋が自社製品(つまみ)のアンテナショップ的に酒も提供してしまおうなんて、
おっお~っと「掟破りの逆ラリアット」みたいなアイディアに感心してしまう。
浮かび上がる看板には "想い出づくり海峡するめ" だって。なるほど納得なのだ。

御託を並べるのはこれ位にして、男は渋くサッポロの "赤星" からはじめる。
アテは "ハムカツ" と "マカロニサラダ"、前者は冷凍ものだけど、後者は美味しかった。

隣のご常連さんのアテが気になって、気さくなママに "厚揚げ焼き" をお願いする。
カリカリの厚揚げにたっぷりの削り節、ネギ、生姜をのせ、ポン酢をかけて美味しい。 
地酒は西田酒造店(むしろ田酒が有名)の "喜久泉"、すっきりした吟醸造りを味わう。 

おでんは青森風?とたずねると「ごめんなさい、うちは関東風」とママさん。
いえいえ構いません。大根、厚揚げ、たまご、ロールキャベツと出汁が浸み込んでいる。
合わせる "稲村屋" は青森県産米「華吹雪」で醸した辛口で旨みのある特別純米酒だ。 
蔵元の鳴海酒造店(黒石市)へは、弘南鉄道を潰した2017年の夏に訪ねている。
そういえば1月30日のOAで六角精児さんも訪ねていた。
すっかり日が暮れて17:00、でもこのあとの "はやぶさ" に乗れば21時前には帰れる。
おっと、(自社製品の)乾き物やら生珍味は食べなかったな、ママさんごめんなさい。

<40年前に街で流れたPOPS >
Modern Girl / Sheena Easton 1981


人生のそばから 鷹巣「いな穂」

2021-02-18 | 旅のアクセント

 秋田県の米代川流域で食用として飼育されている品種が比内地鶏であるならば、
秋田内陸縦貫鉄道を抜けてきた鷹巣駅がある北秋田市は本場と云っていいだろう。
駅から南へ延びるシャッター街を左に折れ、手打そばと比内地鶏の「いな穂」を訪ねる。
大館の蔵・北鹿が復刻米で醸す純米吟醸原酒 "仙台坊主" を味わいながらそばを待つ。
鴨汁よりさらに濃厚なつけ汁 "比内地鶏そば" をズズっと啜る。甘い香りが鼻を突く。
美味いね。ここまで来た価値がある。芳醇な地酒と旨い蕎麦に辿りついて満足の旅だ。

2020/02

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一酒一肴 新潟・"のっぺい" と真野鶴と

2021-02-16 | 津々浦々酒場探訪

 萬代橋を渡り昭和初期には祇園、新橋と並んで日本三大花街に数えられた古町通り。
路地の濡れた石畳を踏みしめ、格子戸を開け、白い暖簾をくぐってカウンターに収まる。
二杯目に注がれた "真野鶴 辛口純米酒" 、爽やかな淡麗辛口が新潟の酒らしい。
アテの "のっぺい" は里芋でとろみをつけ、しょうゆ味の出汁で煮た新潟の家庭料理、
小料理屋や割烹、居酒屋で具材や味付けは様々、食べ比べるとなかなか奥が深いのだ。

2020/02

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はちのへ漫ろ歩記「漁師の漬け丼」

2021-02-13 | 旅行記

 マリンブルーのラインをひいた新鋭キハE130系気動車を見送るここは鮫。
北の海の幸と地酒を求めて、はちのへ漫ろ歩き、今回のターゲットは「漬け丼」だ。

漁港脇の市道を10分ほど歩いていくと、舟溜りの先に社をのせた蕪島が見えてくる。
でも何だか様子がおかしい、そう、八戸線を潰した一昨年の初夏、ヒッチコックの
映画のように島を埋め尽くしていたウミネコがいないのだ。

ウミネコは蕪島に繁殖のために集まる。その時期は節分過ぎだから少し早かったか。
5月に子育てが始まり、8月初旬には島を離れる。前回もぎりぎりだったんだね。
主祭神は市杵嶋姫命(弁財天)で財運・音楽・諸芸・交通航海・安産などご利益がある。

2駅戻って陸奥湊で "イサバのカッチャ" に迎えられる。駅前には八戸市営魚菜小売市場。
朝10時までなら場内で買ったお刺身、焼魚、お惣菜で朝定食が食べられる。
すでに10:30を回っているから近くの「みなと食堂」へ。旅の趣旨から地酒も飲みたい。

一見地味なこの店は八戸の超人気店、吞み人は開店間もないタイミングで入れたけど、
帰り道に通ったら長蛇の列で、今回は実についています。
まずは地酒 "陸奥男山"、冷やでよし燗でなおよし、地元の親父たちの晩酌の酒を一杯。

     

一番人気は "平目漬け丼" らしいけど、ちょっと欲張って "漁師の漬け丼" を択ぶ。
「限定7食」に引っ張られて、意外とミーハー(旧い!)な一面を見せる。
カニ、ホタテ、イクラ、タコ、マグロ、甘エビ、つぶ貝、サーモン、カジキ、イカ、
あれっ、平目がないなぁ。でもホタテが肉厚ぷりぷりだから良しとしよう。
前半は酒のアテとして楽しんで、後半は玉子を溶いて(これいける)美味しくいただく。

新井田川沿いに歩くと見えてくる漆喰土蔵と赤レンガ蔵は "陸奥男山" の八戸酒造だ。
「男山」って銘柄は全国に33蔵あるそうだ、特に東北地方に多い。
そこで商標登録の際に「陸奥」と付けたと云う。もっとも最近は「八仙」という銘柄を
知る人が多いんじゃないだろうか。どちらも青森県産米だけを醸す正に地酒の蔵なのだ。

未明にダメ元で蔵見学の申し込みをメールしておいた。幸い快くお受けいただいた。
大きな酒林(杉玉)を吊るした切妻造、桟瓦葺の主屋に案内される。豪壮で威厳がある。
こんな時期だから映像を見ながらの説明をいただいて、そして唯ひとりの試飲タイム。
漁師さんの食中酒、イカやサバに合うという "陸奥八仙 ISARIBI 特別純米生原酒"、
芳醇で洋食やチーズに合いそうな "陸奥八仙 ピンクラベル 吟醸生酒" (何れも1月発売)、
それに定番 "陸奥男山 超辛純米" と3本求めて、なぜか達成感に満ちた漫ろ歩き。
さて、まだ日も高いようだから、青森まで足を延ばして「立ち飲み」といこうか。

街角トワイライト / 鈴木雅之 1981
     


ご当地旨ラーメン事情 大鰐「山崎食堂」

2021-02-11 | 旅のアクセント

 山を眺めながら鰐comeの大きな露天風呂に浸かって至福。
"大鰐温泉もやしラーメン" の元祖「山崎食堂」で火照ったからだをラガーで冷ます。
優しい醤油味、堅めのチャーシュー、昔ながらのラーメンに油揚げと炒めたもやし。
スープが絡む極細縮れ麺ともやしを啜って、ツルツル、シャキシャキと美味しい。
雪の岩木山を眺め、湯に浸かり、旨ラーメンを啜って、冬の津軽の旅を終えるのだ。

 
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荻窪の角ハイボールがお好きでしょ「魚正宗」

2021-02-09 | 津々浦々酒場探訪

 南口仲通りを左に折れると「魚正宗」のド派手な看板がタイトに浮かび上がる。
この店のせんべろセットは、刺し盛り(orアジフライorハムカツ)+小鉢+ドリンク3杯。
一見さんとしては、素直にこのシステムにのってみる。ただし日本酒はNGだ。
小雪がステアしてくれたと妄想して "角ハイボール"、レモンのちょいしぼは無い。
刺身は、ヒラメ、〆サバ、タコの三種、少量だけどいいところを切ってくれてる。

 

追加のアテは、とろけるチーズをのせて炙った "ぽてさらチーズ焼き" がいいね。
"赤エビを塩焼き" を剥きながら三杯目を愉しむ。
カウンターの兄さんは一寸つっけんどんだけど、丁寧な仕事ぶりでアテも美味しい。
こういう店はある程度通わないと愉しく飲ませてもらえないかな。いい経験になった。

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ウイスキーが、お好きでしょ / 桑田佳祐


越後國一之宮と新潟淡麗と開運の釜めしと 弥彦線を完乗!

2021-02-06 | 呑み鉄放浪記

日本一の米どころ越後平野が一面の雪原になって、疾走するE127系のグリーンのラインが眩しい。

信越本線と接続する東三条が弥彦線の起点と思いきや、どうやら弥彦駅の方に0キロポストがあるらしい。
今回、燕三条で上越新幹線と連絡し、吉田で越後線と交差して弥彦まで走る17キロの路線を呑み潰す。

09:57発の228Mは数少ない東三条から弥彦まで走り通す1本、日中の僅かな乗客を乗せて0番ホームを発つ。
朝夕の通勤通学時間帯をのぞくと、この稲の色のようなグリーンラインの2両編成がワンマン運転している。

弥彦線と越後線が交差する吉田駅は3面5線のホームを有し、ローカルながら多彩な顔触れで賑わっている。
両線は私鉄の越後鉄道として開通しているが、昭和2年(1927年)そろって国鉄に買収されている。

弥彦駅の駅舎は彌彦神社の本殿を模した木造寺社造り、門柱や梁などが鮮やかな朱色に塗られている。
まさか駅舎を拝んで折り返しに乗る人はいないだろうけど、柏手を打ってしまいそうな有難い雰囲気なのだ。

越後國一之宮彌彦神社は駅から徒歩10分ほど、溶けはじめた道の雪をシャリシャリ踏んで緩やかな坂を上る。
飲食店や土産物屋が並ぶ温泉街を抜けると朱に塗られた一の鳥居が見えて来た。

彌彦神社は弥彦山(634m)神体山として祀り、その山麓に天香山命を御祭神として鎮座している。
参道が直角に左に折れ、ニの鳥居、拝殿、神体山を一直線に正面にすると不思議に気が引き締まる。

参詣を終えたら小さな割烹で、御神酒代わりの一杯を愉しむ。なぜか弥彦は釜めしを売りにした飲食店が多い。
新潟淡麗の代表のような "八海山" をいただく。吟醸酒並みに酒米を磨いた酒はキレのある辛口だ。
船形の器に盛られたお通しは見た目も華やかで丁寧に作り込んでいる。夜の一品メニューに期待ができそう。

ちょっと欲張って "開運特上釜めし" を択ぶ。コシヒカリと新潟の海の幸がたっぷりの一釜が炊きあがる。 
これ以上ないアテに、八海山の二合目を思わず注文したりして、日の高いうちからほろ酔いの日曜日。
幸せな気分で駅に戻る。たった1面の終着駅に乗ってきたE127系が待っていてくれる。さあ一緒に帰ろうか。

弥彦線 東三条~弥彦 17.4km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
春咲小紅 / 矢野顕子 1981


ご当地旨ラーメン事情 阿仁合「高田食堂」

2021-02-04 | 旅のアクセント

 金、銀、銅が採掘された阿仁鉱山が1978年に閉山して以来ひっそりした町を歩く。
霙降る雪道を10分歩くと昔ながらの「高田食堂」がある。創業45年だと云う。
豚バラ、ブロッコリー、カボチャ、煮タマゴが入った "カレーラーメン" が美味しい。
力仕事の労働者で栄えた町には、こんな高カロリーな名物メニューがある。
今は横殴りの雪降る駅への帰り道だけど、身体はぽかぽかと温かいね。


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一酒一肴 仙台・鶏唐ポン酢と栗駒山と

2021-02-02 | 津々浦々酒場探訪

 「酒は男の子守歌」って泣かせるキャッチフレーズの駅前酒場丸昌は仙台の人気店。
看板には「もつやき専門」の文字、もつもレバーもNGな私、暖簾の下で一瞬躊躇するも、
店内の活気と「今なら1名様お入りいただけまぁす」の声に惹かれて一歩踏み込むのだ。
 宮城全蔵の地酒が飲めるのもこの店の売り、コップ酒一杯330円と財布に優しい。
一杯目は千田酒造の "栗駒山" 、ササニシキで醸したまろやかな口当たりの酒を愉しむ。
アテに "鶏唐ポン酢"、これも150円也、カラりと上品に揚がって美味しい。侮れない。
青葉通りに街灯が点るまで小一時間、ほろ酔い気分で〆て1,800円、勤め帰りのご同輩が
引きも切らないのが頷ける丸昌なのだ。

2020/01

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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