旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

ご当地旨ラーメン事情 燕「杭州飯店」

2021-01-30 | 旅のアクセント

 煮干しなどの魚介類の出汁が効いたもちもちの極太麺、チャーシューをならべ、
玉ネギのみじん切りを散らして、背脂をたっぷりのせる。こってりしたスープが美味しい。
「背脂ラーメン」の聖地?杭州飯店、実ははじめましてなのだ。
隣の親父さんが食べているジャンボな餃子が気になって追加で注文、生ビールを呷り
ぎっしり具が詰まった餃子を頬張りながら、ラーメンを待つ時間が楽しい。

 信濃川或いは中ノ口川を挟んで向き合う燕と三条は町工場が並ぶものづくりの町。
高度経済成長を支えた職工さんの胃袋を満たすため、寒い冬でも冷めにくいように、
ラーメンが独自の進化を遂げています。三条は「カレーラーメン」が、
かたや燕は「背脂ラーメン」が其々約30軒、まるでB級グルメのような食べ比べを演出しています。
食べ歩きMAPを持って燕三条途中下車、楽しいですよ。ぜひお出かけください。
さて腹を満たした吞み人、越後一宮めざして弥彦線の旅、続きます。


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サンセット・メモリー / 杉村尚美 1981
     


旅先のひと皿 犬山「豆腐でんがく」

2021-01-28 | 旅のアクセント

 城下町の町割りがそのまま残る本町通りに浴衣姿が溶け込んでいい感じでしょう。
明治時代創業の老舗「松野屋」で、郷土料理の "豆腐でんがく" をいただきます。
地元犬山の "東洋自慢" のアテに、味噌が香ばしいふっくらした焼き上がりを堪能して、
後半は "菜めし" にのせて、ほんのり苦いご飯とでんがくの甘い味噌が絶妙です。

2020/01


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ご当地旨ラーメン事情 豊田「台湾ケンちゃん」

2021-01-26 | 旅のアクセント

 「台湾ラーメン」ってのは名古屋めしのひとつに数えられるらしい。
「味仙」という店が元祖で、このB級グルメの超人気店だと云うが、訪ねたことはない。
名鉄豊田線の旅を終えた梅坪駅、真っ暗な駅前で唯一煌々と明かりが点いていたのは、
「台湾ケンちゃん」のド派手な看板。でっ、ついふらふらと誘蛾されてしまったのだ。
豚ひき、ニラ、もやし、鷹の爪を炒め、醬油ベースの麺にたっぷりのせて、
煮玉子をトッピングしたら、刻みネギを散らす。見た目も鮮やかなピリ辛が美味しい。
飲んだ後に食べたくなるんだろうな、高カロリーで決して体に優しくないだろうけど。
思いがけず、またひとつ名古屋めしを体験することになった梅坪の午後9時過ぎなのだ。


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旅の途中の酒場探訪 新潟「こばちゃん」

2021-01-23 | 津々浦々酒場探訪

 年明け来の大雪のニュースを目にして、新潟の雪景色が見たくなったのだ。
居ても立っても居られなくなって万代橋を渡っている。新潟には2年暮らした。

幕末の五港を開港によって設置された運上所(旧新潟税関庁舎)周辺は、新潟市歴史
博物館として整備されている。その重厚な建物の向こうに冬の日が沈んでいった。

     

という訳で酒場の時間がやってきた。今宵、本町通8番町の「居酒屋こばちゃん」へ。
新潟時代は狂ったように仕事をしていたので、こうした趣きある酒場に縁は薄かった。
でっ、今になって訪ねるなんて。この店では10年ほど前、吉田類氏も杯を傾けている。

先ずは生ビールを呷る。3点盛りは真鯛、寒ブリ、それに甘エビ、冬の日本海を堪能する。
牛蒡を絡めネギを散らして "村上牛のしぐれ煮" が美味しい。
然らば酒も村上の "大洋盛" を択ぶ。ふくよかな香りのひやおろし生原酒がいいね。

"のっぺい" が無い。代わりに "治部煮" をいただく。金沢のそれと比べて素朴なひと皿だ。
佐渡の "天領盃"、冬限定の純米吟醸しぼりたて生原酒はスッキリとして酸味が特徴、
味の濃い料理にも合う。我ながらよくできたチョイスと思わず悦に入る。単純なのだ。

さて背中の小上がりの半分がご常連さんで埋まった。そろそろ潮時か。
柾谷小路で銀バスに乗って駅へと引き返す。万代橋の下を滔々と流れる信濃川。
新潟は今宵も霧に更けゆくだろうか。

新潟ブルース / 美川憲一
     


一酒一肴 札幌・ニシン粕漬と新十津川と

2021-01-21 | 津々浦々酒場探訪

 時計台前の「酒肴日和アテニヨル」は創作和食を提供する洒落た日本酒バー。
ちょい飲み昼酌セットは、アテ五種盛り+ドリンク2杯で980円、かなりお得感がある。
一杯目は金滴酒造の特別純米酒 "新戸津川" を。空知産「吟風」で醸したちょい辛の酒。
五種盛りはニシン粕漬、ホッキ塩辛、北あかりポテサラ、イカ塩辛、わかさぎ南蛮漬
が盆にのる。器はどれも洒落ているし、アテは一品一品どれもレベルが高くて満足。
っていうか、これ一肴ではないね。さて二杯目は何を択ぼうか。
出張のミーティングを終え、自己都合で延泊、愉しい土曜日、札幌の昼飲みなのだ。

2020/01


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一酒一肴 函館・北海の魚貝と北海羆と

2021-01-19 | 津々浦々酒場探訪

 大衆居酒屋のちょうちんが赤々と、暖かいよ、寄ってけよと誘う。これは断れない。
函館市電を潰した日は横殴りの雪、暗くなったら早々に日本酒といきたい。
盛ってもらったのは、にしん、ほっけ、青つぶ、まぐろ。どう北の海の味満載でしょう。
地酒は北の誉の "北海羆" を択ぶ。道産米の純米酒だから北海道の肴に合わない訳はない。
冷たい風が引戸をかたかた鳴らしているけど、北の美味い酒肴にほっこりの函館の宵だ。

2020/01

 
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寄居七福神と晴雲と思いきりアメリカン 八高線を完乗!

2021-01-16 | 呑み鉄放浪記

 キハ110系の3両編成が冬枯れの背景の中、長瀞峡を抜けてきた荒川を渡る。
カタンカタンとガーダー橋を叩く音と警笛とが、山に谷に、遠く近く響いて、今回は八高線を往く。

オイルターミナルへの引き込み線を持つ倉賀野駅には、長いタキの編成を牽く青い電機が唸りを上げている。
八高線の気動車は倉賀野から八王子を目指すが、最初の北藤岡駅までほぼ高崎線の線路を走る。

朝日を浴びて3番線に2両編成のキハ110系が入ってきた。高校生が居ない休日の朝は乗る人も少ない。

 寄居町の札所5ヶ寺には巨大な七福神像が置かれ、武州寄居七福神として観光誘致に一役買ってる様だ。
用土駅を降りて雪の浅間山を見ながら蓮光寺を訪ねると、布袋尊と福禄寿のご利益を受けることができる。

一つ先の寄居駅から10分ほど歩くと、荒川橋りょうの袂、極楽寺で毘沙門天と弁財天が迎えてくださる。

寄居駅は八高線のほか秩父鉄道と東武東上本線が乗り入れる要衝だけど、相互の連絡は決してよくはない。

 キハ110が走り出すやプルトップを引く、ボックスシートの幅広になった窓際には缶ビールが置けて嬉しい。
おっと、寄居の町では訪ねることができなかった恵比須神がここにいらっしゃった。

350mlを飲み干す頃、キハ110は小川町駅に滑り込むと高崎行きの下り列車と顔をそろえる。
和紙のふるさと水清き小川町は酒どころでもある。この小さな町に晴雲、帝松(松岡酒造)、武蔵鶴の3蔵がある。

煉瓦造りの煙突も誇らしげな晴雲酒造は、小川町の米を使ったこだわりの日本酒造りを行っている。
併設する採れたての地元の野菜を使った人気の食事処「自然処 玉井屋」へは、開店の11時に飛び込む。

にんじん、からし菜、赤かぶの小鉢、それに特製の "飛竜頭(がんもどき)の旨だしがけ" とアテがならぶ。
ランチコースには食前酒のサービスが付いて、やや辛口の純米吟醸酒 "無為" をスッキリといただく。

主菜の "鮭の粕漬焼き" を箸でつつきながら "手造り晴雲" を味わう。県産好適米で醸すこれまたやや辛の酒だ。
ご飯には "とろろ" をたっぷりかけて、粕入り味噌汁といただいて、今回も満足なランチなのです。

 小川町を出ると約30分で高麗川に到着する。高崎から走ってきたキハ110系の仕事はここまで。
この先八王子までは電化されていて、運用上、川越線を走ってきた電車に仕事を奪われる哀しいお話し。

高麗川と云うからには半島と関係がある?続日本記には霊亀2年(716年)に「駿河・甲斐・相模・上房・下房
常陸・下野の高麗人千七百九十九人を以て、武蔵国に遷し、高麗郡を置く。」とある。

駅から20分、高麗神社は、高句麗からの渡来人 高麗王若光を主祭神として祀っている。
神社は初詣の分散参拝の呼びかけの効果か、この日も少なくない参拝者が訪れていた。

 なんだか夕張メロンを想像させるラインをひいた4両編成の電車が高麗川~八王子間を走る。
この間、幾つもの尾根を越え川を横切るので、意外に急な上り下りが連続するのである。

箱根ヶ崎から拝島までの15キロほどは車窓左手に横田基地が広がっている。東福生でちょっと途中下車。
駅を背にすると直ぐにR16、東側に歩道はなく高い壁になっている。5分も歩けば第二ゲート交差点だ。

ベースサイドストリート(R16)には、アンティークショップ、ライブハウス、雑貨、古着、アートギャラリー、
カフェ、アイスクリーム店が並び、ちょっとした異国情緒を味わえる街並みを楽しめる。

ちょっとだけアメリカを感じたら再び夕張メロンな4両編成で南へ向かう。
拝島で青梅線、五日市線、西武線と連絡し、夕陽に染まる多摩川の鉄橋を渡ると終点は近い。

4両編成が大きく左カーブを切ると、まずは中央本線、続けて横浜線が近づいてくる。
十分に速度を落とした電車は、何度かガタガタと分岐器に揺さぶられ、旅の終わりの1番線に滑り込む。
気動車と電車を乗り継いだ八高線の旅は、寄り道を重ねて8時間と少々、もう一軒立ち飲み行っちゃう?

八高線 倉賀野~八王子 92.0km 完乗

思いきりアメリカン / 杏里


大人のたしなみ おや!福幸@八王子

2021-01-14 | 大人のたしなみ

いい感じに暮れて今宵は八王子。座らずや「おや!福幸」へ、ウィットに富んでるね。
U字と壁際一文字のカウンター、ドラム缶のテーブル3卓、ざっと30人くらいは立てそう。

先ずはジョッキーに "黒ホッピー" を注いで人心地つける。
アテのメニューは黒板にチョークで書いてある。さほど種類はないが迷わないでいい。
っで "マグロ赤身" を抓む。壁掛けのテレビは今日の感染者を何時ものよう繰り返す。

ナカを追加したら、タマネギ、シイタケ、ウインナーを揚げてもらう。
なかなか丁寧な仕事ぶりの大将、串揚げはサクサクと美味しい。
飲み客はボクの他にはたった3組、このご時世だからね。
聞き耳を立ててる訳ではないけど、アラサー女子の恋バナが耳に入ってくる。

酒は定番 "沢の鶴" の他に一銘柄だけ用意がある。黒板に "一ノ蔵超辛口" とある。
爽やかな香りでドライな本醸造にアテは "肉どうふ"。薄口に仕上げた上品な味です。 
さて今宵は〆て2,000円と少々、やはり飲み過ぎか?
春が来るころ、カウンターは親不孝者で溢れるだろうか。駅に向かってふと思うのだ。

<40年前に街で流れたPOPS >
Moody (My Love) / Sheena Easton 1981 


握りまでたどりつかない鮨処で「〆張鶴 純」

2021-01-12 | 日記・エッセイ・コラム

 久しぶりに握りまでたどりつかない鮨処。正月料理にも飽きたから美味い刺身がいい。
こんな時期だから、ここは早めに訪ねてサクッと吞みたい。

お任せの造りは、中とろ、真鯛、寒ぶり、赤貝、〆さばが盛られた。
酒は品書きを見て、赴任したことのある新潟と栃木の酒を択んでみた。
先ずは "〆張鶴 純"、まろやかな味わいで後味スッキリの純米吟醸酒、白身に合う。

"蒸しだこ柚子風味" は絶品のアテ、"厳選辛口 吉乃川" は人肌燗につけてもらう。
子がたっぷりはいって脂がのった "ししゃも" が美味しい。燗酒にぴったりだ。

ふんわり柔らかな "ふぐ天ぷら" はレモンを絞って藻塩でいただく。
合わせるのは "生酛仕込 惣誉"、山田錦を醸したコクのある特別純米酒だ。
燗酒は二合徳利でいっちゃったから、ちょっと過ぎたかな。
ちょうど巻物の包みができたからこれで〆にしよう。小指にひっかけて帰りますか。 

Woman / John Lennon 1981.01
     


木曽川と御代櫻と鶏ちゃん焼きと 太多線を完乗!

2021-01-09 | 呑み鉄放浪記

 冬の澄んだ空気をガタンガタンと震わせて、オレンジのラインをひいた気動車が木曽川橋りょうを渡る。
この辺りの木曽川は今渡ダム湖になっていて、鏡のような水面に逆さまになったもう1編成が走っていく。

中山道の難所太田の渡しを控え、飛騨街道と郡上街道の分岐点でもあった太田宿は賑わったという。
今でも脇本陣林家住宅や本陣門を残し、旧街道沿いは宿並の面影を見ることができる。
吞み人はと云えば、宿並の中に白壁黒塀の御代櫻醸造を訪ね、今日の車中酒に純米吟醸酒を仕込むのだ。

 鉄路が十字に交わる美濃太田駅、時代が変わっても太田は交通の要衝であることに違いはない。
飛騨街道は高山本線が、郡上街道は長良川鉄道(旧越美南線)が、そして中山道に沿うのは太多線(たいたせん)だ。

4番線にJR東海特有のオレンジのラインをひいた2両編成が入ってきた。
この時間帯の太多線は大抵高山本線を岐阜から走ってくる。県都岐阜と東濃地方を直結する訳だ。

美濃太田13:24発、3630Cが走り出すと、太多線はまもなく高山本線と左右に分かれ往く。

ひとつめの美濃川合駅を出発すると、2両編成の気道車はガタンガタンとガーダー橋を鳴らして木曽川を渡る。

太多線は30分ほどの短い旅だから、早速 "純米吟醸あさひの夢" のスクリューキャップを切る。
清流のごとき淡麗な酒だ。田園風景が長閑な駅は「姫」、女の子の七五三のスナップ写真によさそうだね。

300mlを飲み切らないうちに、右手は名古屋から延びてきた中央本線と合流し、太多線の旅はあっけなく終わる。

 さて多治見駅前の「ロマンス食堂」には午後2時からご同輩が集まってくる。
先ずはこの店の名物という凍ったレモンがゴロゴロ入った "エクストラコールドレモンサワー" から始める。
アテには "温玉ポテトサラダ" を。これ、たこ焼きソース?がかかって意外と美味しい。

そして岐阜ケンミンのソールフード "鶏ちゃん焼き"、こだわりの味噌をベースにニンニクが効いて美味い。
地酒は瑞浪の "小左衛門"、信州産の美山錦を醸した特別純米のなめらかな味わいとキレの良さを愉しむ。

小一時間で酒場を辞したら、暮れかかる多治見駅から名古屋行きの快速に飛び乗る。
青春18きっぷの旅だから、東京駅に辿りつくのは日付が変わるころ。これから先が長いのだ。

太多線 美濃太田~多治見 17.8km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
スローなブギにしてくれ / 南 佳孝 1981
     


大人のたしなみ お志づ@静岡

2021-01-07 | 大人のたしなみ

 大阪出張の帰路は敢えて "ひかり" に乗車して、降りてしまいました静岡で。
北口を出て安倍川方面へ歩きだすと、東海道本線の高架下に大衆酒場「お志づ」がある。

 静岡を降りたらとりあえず駿府城に向かう。旅と酒吞みの先達にご挨拶しないと。
そう、巽櫓と中堀を挟んで弥次喜多がおどけている。ついでに鷹狩好きの親父さんにも。

さて「お志づ」は2階に50席くらいあるらしいけど、私は1階のスタンディングへ。
板場と向き合うように立ち飲み席がある、カウンターは白いタイル張りのレトロモダン。

 まずは茶どころに敬意を表して "静岡割り" をいただく。
冷えたタンブラーには3~4杯分の緑茶、だからついついナカをおかわりしてしまう。
アテは "肉味噌もやし炒め" を。とっても濃ぉい味付けなので、緑茶割りに合うのです。

 そろそろ地酒をと択んだ "英君" は由比の酒、すっきりと爽やかな辛口純米酒。
おっと受皿までなみなみと注がれて、これはお迎えに行かないといけない。
二品目のアテは "茄子のバルサミコマリネ"、この酒には違和感ないね。箸休めにいい。 

分厚く網で炙った "焼がんも" にたっぷりおろしと生姜、さっとポン酢をかけて美味い。
焼津の酒は "磯自慢"、すっきりした本醸造は海の男たちの晩酌の酒だろうか。
愉しい寄り道帰り道、暫しの立ち飲みを経て新幹線、きっと東京まで目は覚めない。

<40年前に街で流れたJ-POP>
ツッパリHigh School Rock'n Roll / 横浜銀蝿 1981 


人生のそばから 野沢温泉「大茂ん」

2021-01-05 | 旅のアクセント

 麻釜(あさがま)湯に浸かって、じわじわ汗が滲み出る。
飯山駅まで戻るリムジンバスまで40分、生ビールの一杯を飲もうと温泉街の蕎麦処へ。
最近お気に入りの酒 "水尾" があったので予定変更、辛口吟醸を枡に零してもらう。

英語併記のメニューから "とろろそば" を択ぶ、辛口純米を舐めながら待つのも楽しい。
温泉街の蕎麦屋だからといって侮ってはいけない。香り高く、コシがあって美味い。
地産のとろろをたっぷり絡めてズズっ、後半は温泉卵を絡めてマイルドにズズっと
手打の二八を堪能して満足。寄り道を終え駅に戻れば、飯山線の旅は続くのだ。


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恋=Do! / 田原俊彦 1981
     


快速おいこっとで往く千曲川旅情 飯山線を完乗!

2021-01-02 | 呑み鉄放浪記

 日本海側の地方に大雪が降る前、師走のある日、快速おいこっとで千曲川旅情と地酒を愉しむ旅に出た。
“兎追いし かの山 小鮒釣りし かの川…”、車内放送で唱歌「故郷(ふるさと)」が流れる。
里山、田畑、茅葺き民家、千曲川沿いの田園風景は、この唱歌が作詞された「ふるさと」そのものだ。

2両編成のディーゼルカーが豊野から飯山線に入ると、車窓には「ふるさと」の情景が展開する。
車内ではアテンダントから "野沢菜漬け" が振る舞われる。すかさず缶ビールのプルトップを開けるのだ。
なんだか温かい沿線案内は、日本昔ばなしの常田富士男さん、陽射しと相乗効果でとても心地よい。

 ホームに鐘楼がある情緒たっぷりの飯山駅は、北陸新幹線の延伸開業で近代的な駅に生まれ変わった。
新駅は内装に地産のスギ材をふんだんに用いて暖かみのある雰囲気を演出している。
1階のいいやま観光局は日本版DMO(地域観光づくり法人)の優等生で、魅力あるコンテンツを提供している。

ちょっと寄り道、駅前から野沢温泉ライナーってリムジンバスで30分、北信濃の湯に浸かろう。
ところが野沢温泉のシンボル、雰囲気ある「大湯」は清掃中だって、ついていない。

温泉街を漫ろ歩いて麻釜(おがま)、野沢温泉に30ほどある源泉の1つで100度近い熱湯が湧き出している。
村の方々はここで野沢菜を洗ったり、卵をゆでたり笹団子を蒸したりする。部外者は立ち入りできない。

麻釜から100mほど坂を下ると外湯「麻釜(あさがま)湯」が開いていた。
大湯と比べるとずいぶん小さいけれど、地元の親父さんと背中をならべて源泉に浸かる。至福なのだ。

 飯山線の旅は続く。旅の供は "水尾小吟"、地元の金紋錦を醸した華やかでコクのある香りの純米吟醸酒だ。 
駅で求めた "笹寿し" は川中島に出陣する上杉謙信に、村人が献上した勝利を願った兵糧が始まりと云われる。 
故に飯山では冠婚葬祭や晴れの日のおもてなし料理として親しまれている。

おいこっとは信越県境にほど近い森宮野原駅で長めの停車をする。
この駅は日本最高積雪地点、昭和20年の豪雪の際に7.85mを記録している。その標柱の高さが凄い。

 車窓に迫る千曲川は新潟県に入ると信濃川と名を変えて日本海に注ぐ、甲武信ヶ岳からの367kmは日本最長だ。

クリームと臙脂で描かれているのは、田舎の「おばあちゃんの家」を連想する茅葺き屋根の民家、
その襖や障子などをイメージしたデザインだそうだ。おいこっとは2時間半をかけて十日町に到着する。

隣の3番線には、乗り継ぎの越後川口行き単行ディーゼルカーが、エンジンを震わせて待っている。
この12:55発は見送って途中下車、いつもの店だけどご当地の "へぎそば" は食べておきたい。

 駅を背に歩いて6~7分、雪除けのアーケードを備えたR117沿いに小嶋屋本店がある。
地酒 "松乃井" を枡に零してもらう。冷やでよし燗でなおよし、やや辛口、地元親父の晩酌の酒ってところか。
アテは "鴨の黒胡椒焼き" を択ぶ。さっとレモンを絞って、ジューシーな鴨肉が美味しい。

     

そして "へぎそば" を一枚、天然布海苔をつなぎにした滑らかな食感の十割をズズっと啜る。美味い。
ちなみに「へぎ」とは、木を剥いだ板を折敷にしたこの器のこと。布海苔そばを指すのではない。

 久しぶりの "へぎそば" を堪能して十日町駅、13:38発、131Dに乗ったら終点までは所要30分。
車窓に米どころ魚沼の田圃風景を眺めていると、やがて右手から上越線の複線が近寄ってくる。
信濃川が魚野川を抱き込む越後川口で、飯山線は信濃川(千曲川)に寄り添った100キロの旅を終える。

飯山線 豊野~越後川口 96.7km 完乗

チェリーブラッサム / 松田聖子 1981
     

“快速おいこっと” で往く千曲川旅情
     

 

 


2021. 明けましておめでとうございます!

2021-01-01 | 日記・エッセイ・コラム

 明けましておめでとうございます。
今年も旅情と酒肴を味わいながら、津々浦々での出来事を綴りたいと思います。
本年もどうぞよろしくお付き合いください。

 柔らかな陽射しに誘われた初詣の神社、分散参拝の呼びかけの効果か列も短めでした。
この神社では神様の使いは兎とされていて、丑年であっても兎の方が目立っています。

 洒落た陶器のお重を見つけたので、今年はおせちは求めず、家庭で詰めてみました。
吞み始めは "作 鷹羽"、作の蔵元とワイナリー Ch.igai Takaha がコラボレーションした
山田錦 純米吟醸、爽やかなのどごし、みずみずしくフルーティな1本です。