旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

ときに週末は特急電車で 八州亭@川越

2024-06-22 | 日記・エッセイ・コラム

観光後進県と言われる埼玉県だけど、単車や鉄道で訪ねる秩父や長瀞それに川越はいつも賑やかだ。
B級グルメやアニメの聖地、乏しい観光資源を補うように、地域や行政が尖って頑張っているからだろうか。
ところが東京との交通利便性が良いばかりに、宿泊は東京で取ったり、そもそも日帰り客が多かったり、
落ちるお金で観光の優劣を測ったら、やはり埼玉は厳しいだろうか。

たまには特急もいいかなっと、高田馬場から乗ったレッドアローでわずかに45分。
小江戸川越はやはり近すぎる。呑み人にとっても昼呑みのディスティネーションなのだ。
レトロな町並みの漫ろ歩きもそこそこに、明治8年(1875年)に創業した旧鏡山酒造の蔵でちょっと一杯。

“海鮮サラダ” を肴に “鏡山” の純米吟醸は玉栄を醸した華やかな香を楽しめる酒だ。
ところで蔵元の小江戸鏡山酒造は、閉じてしまった鏡山酒造を復刻させた若い蔵。
やはり城下町にして酒蔵の一つも無いのは寂しいからね。

濃厚な川越三元豚の “豚角煮” には、やはり濃厚な味わいの純米酒で対抗する。
箸を入れるとほろほろ崩れるほどふんわり煮込んだ角煮を肴に、コクのあるそして酸味を感じる純米酒が旨い。
続いて登場したのが “天麩羅” だから、この純米をもう一合。ちょい呑みのつもりが腰が落ち着いていく。

粋な蕎麦前とは言えないくらい酒は頂いたけど、やはりせいろの一枚も手繰りたい。
択んだのは “とろろ蕎麦”、オクラを浮かべて夏っぽい。二八にたっぷり絡めてズズッと啜る。美味しい。

浴衣姿の男女もちらほら、歩道から溢れる観光客は思い思いにレトロな町並みやスイーツを楽しんで歩く。
呑みにきただけのボクは駅へと戻るだけ。まだ陽は高いけど、今日はこれでお終いだね。ご馳走様でした。

<40年前に街で流れたJ-POP>
If you / 角松敏生