日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 兼房 Kanefusa Wakizashi

2016-06-04 | 脇差
脇差 兼房


脇差 兼房

 使い手が替わってもなお、実戦の場で頼りとされたものであろう、一尺五寸強、三度も磨り上げられており、元来は一尺八寸ほどの片手打ちの刀であった。現状でも反りが強く、使い勝手が良さそうだ。地鉄は肌立ち調子の板目肌だが、肌目は大模様にならず、小刻みに揺れて、所々に杢目が交じって斬れ味は良さそうだ。全面に映りが立って凄みがある。刃文は互の目が尖り調子となり、左右に突き出た様子は耳形、矢筈形などで、ここにも相州伝の影響が残る。焼刃の調子は匂口が閉まっており、刃縁に小沸が付いて砂流状に沸が流れている。帽子は浅く乱れこんで先が掃き掛けて返り、乱刃ながら地蔵風にはなっていない。総体に凄みのある出来である。