日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

短刀 兼友 Kanetomo Tanto

2016-06-16 | 短刀
短刀 兼友


短刀 兼友

 八寸半ほどの短刀。小板目肌の刃寄り板目流れとなった地鉄が特に綺麗な作。わずかに反りを付けた姿は、南北朝期の一尺三寸ほどの小脇差にもあるような、刺突と截断の両方に使えるようにしたもので、実用の武器という印象が強いのだが、頗る綺麗だ。このような小板目鍛えが、後の江戸時代の作刀に変化してゆくのである。刃文も綺麗な直刃。所々に小足が入り、刃境は盛んにほつれかかり、これが刃中に及んで淡い砂流しとなる。このようなところに美濃鍛冶の出が大和である名残が窺えよう。物打から先も健全であり、焼幅たっぷりと残されている。美濃鍛冶というと、実用一点張りの印象が強いことから一段低く見られがちだが、出来の良い作が意外にも多いのである。生半可の知識で、他人から聞いたことを鵜のみにして美濃刀を軽んじる人が多いのだが、よく鑑賞してみるといい。凄い作が残されている。