日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 兼常 Kanetsune Katana

2016-06-06 | 
刀 兼常


刀 兼常

 一寸強の磨り上げで現在は二尺ちょうどの頗る扱いやすい寸法。元幅一寸弱、鎬が立っておりしかも樋が掻かれている。元来が片手打ちであったものを、さらに短くして扱い易さを突き詰めている。刀の、自らの身体化に他ならない。刀は生ぶ茎でなければだめだなどというのは、時代背景を考えていない、刀を美術品としてしか見ていない者の言葉であろう。刀の美しさは、「実用」を経て実感する。例えば、奉納を目的として製作された異様に身幅の広い刀は、なんと非実用的な姿格好であろうか。この作は、地鉄は板目肌が小板目肌状に詰んでいるも細かな地景が入って板目が綺麗に立って見える。これに映りが加わり、関物らしい凄みが感じられる。刃文は直刃に湾れ、所々に小互の目を交えた、締まった刃文構成。小沸が明るくさえ、湯走り、ほつれ、喰い違い、小形の金線が刃に沿って流れ掛かる。