日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

短刀 越中守正俊 Masatoshi Tanto

2016-06-29 | 短刀
短刀 越中守正俊


短刀 越中守正俊

 正俊は金道の弟の一人。ともに京に移りすみ、江戸初期を活躍期とし、後の刀剣の世界に影響を与えた一人でもある。刃長九寸半、元幅が九分強、重ねが三分半もある、がっしりとした造り込み。鎧通しといってもいいだろうが、さらに身幅が広い点が異なり、迫力がある。この時代の特徴的な造り込みと言えるだろう。板目の流れた地鉄は、緊密に詰んで地沸が付き、鍛え目に沿って明瞭に地景が現れ、ここも迫力がある。刃文は不定形に乱れた湾刃で、物打から先が沸筋強く働いて、やはりここも力強い。造り込みはこの刀工の創案と思われるが、地刃の出来は相州伝、沸を意識した作である。肌目に伴うほつれ、喰違、金線、砂流、殊に物打から帽子にかけての折り重なるような沸筋は圧巻。焼刃を超えて地中にまで沸筋が流れ込む。彫り物が火炎不動に剣巻龍だから、見事に風合いが合致している。