日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

太刀 守次 Moritsugu-Aoe Tachi

2018-02-13 | 太刀
佐野美術館で上杉家伝来の名刀を鑑賞してきた。

太刀 守次(青江)

 刃長二尺八寸九分、反りが一寸三分。腰反り深く踏ん張りのある格好の良い大太刀。般若の太刀と呼ばれている。小鋒に結び、樋かが掻かれており、腰元の樋中に三鈷剣と梵字の肉彫があり、これも姿に緊張感を与えている。とにかく地鉄が綺麗だ。均質に詰んだ小板目肌に縮緬状の杢目板目が交じり、それが過ぎることなく綺麗に起っている。細かな地沸で全面が覆われ、区上辺りから乱れた地斑映りというべきであろうか、乱れと濃淡変化に富んだ映りが強く現れ、次第に穏やかになって上部へと向かい、物打辺りで丁子状の映りが顕著となり淡く地に溶け込んでいる。この地中の景色が素晴らしい。誰も真似ることのできない、創造を超越した景色であり、鎌倉期の鋼だけが持つ神秘としか言いようがない。穏やかな暗帯部を伴う焼刃は、小乱調に始まり、上部に行くに従って次第に穏やかな直刃小乱調となり、小足が入り、一部逆がかって頗る上品。帽子は小丸に返っている。鎌倉時代後期の青江守次である。佩裏は鑑賞してないのでわからないが、叢のない均質な地鉄で、映りも鯰肌と呼ばれるような斑状とはならないところが見どころ。

脇差 近江守忠綱 Tadatsuna Wakizashi

2018-02-13 | 脇差
脇差 近江守忠綱


脇差 近江守忠綱

二代目忠綱の、足が長く入る互の目に砂流金線沸筋が掛かった、激しい出来。忠綱というと互の目丁子が思い浮かぶ。その、間々みられる刃文構成に沸の激しさが加わった出来と考えればいい。これを、沸が崩れて備前伝らしからぬ出来だから良くないと批評した方がいるも、江戸時代の刀工が新たな作風を求めて創造した焼刃である。しかも強さが溢れていて面白い景色を展開していると見るべきであろう。