日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

太刀 兼光 Kanemitsu Tachi

2018-02-23 | 太刀
上杉家伝来の名刀から

太刀 兼光

 大町甚右衛門尉が磨り上げたことから大町兼光と呼ばれている作。元先の身幅広く、大鋒に結んだ、南北朝時代の典型的造り込み。現状で二尺三寸七分。ゆったりと反りが付き、磨り上げながら元姿が想像される。小板目肌が良く詰んだ地鉄に映りが立ち、地景が交じって網目のような地相。刃文は匂口の締まった細直刃調の浅い湾れ刃で、小足が穏やか入り、飛焼が入る。浅く乱れ込んだ帽子は尖って返る。南北朝時代には相州伝の焼き入れ方法が流行しているため、沸の強い大乱が多いのだが、その中でこのような穏やかな刃文構成はむしろ凄みが感じられる。父景光の時代から低い焼に片落互の目の刃文が焼かれるようになっており、このような刃文は同時代の他工にも間々みられるところである。大磨上だから、遺されている銘文は兼光のものではなく、大町右衛門尉の手になるかと思われる。

刀 南紀重國 Shigekuni Katana

2018-02-23 | 
刀 南紀重國


刀 南紀重國

 南紀重國の、本国大和伝の特徴が強く現れた刀。重國の作の多くが磨り上げられて生ぶ茎が少ない。本作は茎尻まで生ぶの健全体躯。身幅しっかりとして反りを控えた江戸最初期の姿格好。地鉄が柾目を交えた板目鍛えで、地景によって肌目が強く立ち、流れるような肌目の間を良く詰んだ小板目肌が埋め尽し、ここに、細直刃を焼いている。鍛え肌と焼刃によって刀身と平行に流れるような景色が生み出されている。この濃密な働きこそ大和物古作に紛れる重國の真髄。相州伝も上手で、時代から相州伝も多く遺しているのだが、このような本来の大和伝に大きな魅力がある。□