▲夏ドラマ雑感 NHK・朝ドラ「らんまん」
夏ドラマが終わり、秋ドラマがぽつぽつ始まりました。
ということで、夏ドラマの雑感です。
まずは「夏ドラマ」というくくりではありませんが、4月から半年間に亘って朝の一時を楽しい時間にしてくれた、NHK・朝ドラ「らんまん」の雑感です。
御存知の通り、主人公・槙野万太郎は日本の植物分類学の父とされる、牧野富太郎がモデルです。
ドラマ開始前、植物学者・牧野富太郎の名前こそ知ってはいましたが、氏の生い立ちや業績など全く知らず、植物学者というイメージから、地味すぎてドラマとして果たして成立するのだろうか、とさえ思っていました。
しかしながら、一本ぴんと筋の通った素敵なドラマとなり、「ちむどんどん」、「舞いあがれ!」と不作朝ドラを連発してしまったNHKにとって「カムカムエヴリバディ」以来のクリーンヒットとなりました。
これはひとえに脚本家である長田育恵氏のお手柄と、自信を持って言えます。
ドラマ最終週では「語り」を務めた宮崎あおいが、藤平紀子として登場し、槙野万太郎の没後、残された膨大な植物標本を整理するため、槙野万太郎の行動を調べる事から始める、ということが明かされました。
そして藤平紀子が調べた、槙野万太郎の生涯がドラマとして語られているのだ、ということが最終週に分かるという、なかなか凝った構成になっていました。
これは「カムカムエヴリバディ」の語りがなぜ城田優であったかが最後に分かるという、秀逸なアイディを拝借したのかもしれません。
主人公を務めた神木隆之介も、ひたすら前を見て進む明るい万太郎によく合っていました。
ヒロインを務めた浜辺美波も、多分これが代表作の一作と、きっと後世に語られるような名演でした。
浜辺美波といえば、浜辺演じる寿恵子が最後の2週くらい、体の調子が悪そうで、ひょっとすると最終回前に死んでしまう? かのような雰囲気を漂わせていましたが、死の床で寿恵子が息を引き取り、万太郎が号泣する、というような愁嘆場はなく、とても爽やかに最終回まで視聴することができました。
これは大変良かったと思います。
同様に、当ドラマでは大東亜戦争についてはほぼノータッチで、「一代記」朝ドラではお約束の「暗い時代」がなく、これも爽やかに最終回まで視聴することができた一因かと思います。
何はともあれ、半年間に亘る(実際には1年くらい?)長丁場を無事乗り切ったキャストとスタッフの皆様に、最上級の謝意を申し上げたい。