いろはにぴあの(Ver.3)

ピアノを趣味で弾いています。なかなか進歩しませんが少しでもうまくなりたいと思っています。ときどき小さな絵を描きます。

ピアノリサイタルを聴いてきました 三浦友理枝さん

2012年02月04日 | ピアノ・音楽

 横浜のゲーテ座というところで、三浦友理枝さんのリサイタルがあったので行ってきました。きっかけは地域のフリーペーパーに宣伝が載っていたから。名前や写真をときどき拝見し、気になっていたピアニストでもありましたが、ほとんど彼女についての予備知識はありませんでした。

 そして感想。衝撃的な演奏会でした。写真のとおり華奢で清純なイメージの方なのですが、非常に濃厚なピアノを弾かれていました。多くの役を演じることのできる役者、いや、多重人格者そのものではないか、と思えるぐらい、曲にあわせてキャラクターを見事に変えていました。曲目からして、ほっとするよりもはらはらどきどきを期待したような感じだったのですが、澄み切った美しい世界も、夜の雰囲気のどろどろしたちょっと毒もある世界も、しっかりと音で示してくれたような気がします。かなりの強い意志と表現力の持ち主だと感じました。

 曲目は以下の通りフランスもの濃い曲が並びました。

ドビュッシー作曲 ベルガマスク組曲より 第3曲 月の光

 

プーランク作曲 ナゼールの夜会 前奏曲

                    8つの変奏 分別の極み 手の上の心臓、磊落と慎重と 思索の続き 口車の魅力 自己満足 

                    不幸の味 老いの警告

                    カデンツァ

                    終曲


メシアン作曲 「鳥のカタログ」より 第6曲モリヒバリ


ラヴェル作曲 夜のガスパール 1.オンディーヌ、2.絞首台、3.スカルボ

 

アンコール サティ作曲 君がほしい

 

 月の光は細やかに丁寧に美しく演奏されていて光が美しく表現されていました。安心して聴ける演奏でした。

 プーランクのナゼールの夜会は、ナゼールというところで行われた夜会がテーマになっています。8つの変奏は、叔母が開いた夜会に出席した人々をその場で即興でプーランクが音楽で描写した「肖像」だということです。かなり皮肉なタイトルがならんでいるのですが、三浦さんが話すには、タイトルどおりに思える曲と、かけ離れたように思える曲とがあるように感じられたとか。途中でどの曲がどの曲なのか分からなくなってしまったので、それぞれの曲とタイトルとの共通性やギャップを感じることもできなかったのですが、とことん美しく優しい感じの曲、エネルギッシュでノリがよい曲、しっとりと落ち着いた曲まで多種多様な短い曲が並んでいました。まったく違う8つのキャラクターをがっちりとつかみ演じられていたのがすごかったです。タイトルを知らなかったら、個性豊かな素敵な曲が並んでいる、とだけ感じることができるのですが、こわいのはこれらの変奏のタイトルを知ること。メロディーが美しく、単独で取り出したとしてもきっと愛されるに違いない、と思える曲も中にあったから。本当のタイトルを知りたいような知りたくないような。しかしその曲が皮肉なタイトルになっていたとしても、プーランクがその人物に対して持った印象は、あの美しい旋律の通りだったのでは、という気がします。

 メシアンの曲は響きにどきりとさせられることが多い、という印象がありますが、今日演奏された鳥のカタログより「モリヒバリ」は、鳥を愛するメシアンが世界中の鳥の鳴き声を描写したという作品「鳥のカタログ」の中の比較的短めな一曲でした。夜の森の奥から聴こえる唸り声とモリヒバリの鳴き声とが人為を超越したような、不穏なおどろおどろしい感じ(あくまでも私の印象です)で掛け合っていました。響きはメシアンらしく、まったく心地よくなくてどきどきはらはらさせられるものでしたが、なんだかリアルな感じがしました。新しい響き、ということですが。本当にどのような和声で構成されているのだろう、と思いました。

 そして夜のガスパールで完全に夜は更け、不気味で魑魅魍魎の世界に。オンディーヌ、リズムを丁寧に刻まれていたのが印象的でした。左右に入り組む難しいアルペジオも見事に演奏されていました。消えてしまう純粋な水の精オンディーヌの様子が丁寧に描かれていたと思います。そして絞首台、スカルボ、行き着くところまで行きました。激しく不気味な旋律を吐き出しながら駆け巡るスカルボ。はげしくどろどろとした世界がここまでかここまでかという感じででてきました。三浦さん、そのときは悪魔にとりつかれていたようでした。おもわずあちらの世界に連れて行かれそうになりました。三浦さん、おそるべし。

 そして三浦さん本人が、邪悪な世界から明るい世界へと帰れるようにと話された後に弾かれたアンコール曲が、サティの「君がほしい」でした。さらりと弾かれ、ほっとして外に出ることができました。でもあのすごい演奏は忘れられません。

 比較的短い時間のリサイタルでしたが、あまりにも濃密な世界でしばらく呆然。。。私の意思ではあまり進んで聴きに行かなそうなプログラムだった上に、ピアニストの三浦友理枝さんも最近知った方だったのですが、反対にはまってしまいそう。ちょっと中毒になりそうなピアニスト、三浦友理枝さんの演奏に出会えて良かったです。

 最後に、また和音ですが。。。私は増3和音(具体例:ドミソ♯)を聴くとひやり、どきりとして落ち着かなくなりやすいです。増3和音は減3和音(具体例:ドミ♭ソ♭)よりも毒があるように思えます。(あくまでも私の感じた印象です)

 和音が聴けるありがたいサイトもあります。「楽典♪音楽理論の基礎」より、ありがたくリンクさせていただきます。

増3和音 

減3和音 

 


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