譜読み、私にとってはピアノの練習で最も楽しい時期。念願の曲を音にできる瞬間のわくわく感は何物にも代えがたい。そして、早く弾けるようになりたいと思うのだが、急げば急ぐほど、間違った譜読みをしたり、弾くのに都合の悪い癖がついたりしやすい。ついつい指使いもいい加減な状態、ごまかした状態で最後まで通し、後で振り返って訂正するという二度手間状態。本当はそういうときほど、焦らずに丁寧にすることが大切。演奏活動をされているある先生が、急げば全体をざっと把握し、あとは一つ一つの要素を自分の頭と体が"把握"するまで進まないのが大切と書かれていた。確かにそれは厳しいし、時間がかかるけれどそうしたほうが確実に弾けるようになるだろうと思った。
そこで、モーツァルトの新曲、その先生が書かれていたのを実行すべく、楽曲を把握するために楽譜に調性、音型の反復、和音など気になる所を蛍光ペンで書いてみた。調性や反復個所はわかるけど、和音は難しい。終止の形や、あの独特なうっとり感の源と思える倚音だなと思えるところは何となく分かったけれど和音記号はなかなかつかめなくて。しかし、なにしろ、慣れていない作業で、あっという間に時間が経過。そういうことをしていたら、時間がなくなる。早く弾きたい、弾く時間がなくなったらさみしいから。そこでその作業は途中までやって残りは次の日以降に延期。それにしても、この曲音が飛ぶ場所、結構多いし、飛んだ後の着地、しりもちつきそうなところが多いな。飛ぶ直前にがたつくのもなんとかしたい。がたつかずに弾ける速さから慣れるしかないのかな。シンプルそうな譜面の背後にあるハードル、乗り越えたい。それにしても、この曲、分からないなりにも、音数が少ない箇所でも、こんな音の組み合わせをよく思いついたと感嘆出来るところがいくつもあって、それこそ天才なるが故なのだと感嘆しているのだった。