前回最後の投稿を見たらしばらくブログからご無沙汰すると書いていたがその後結局2ヶ月以上経っていた。負担にならないように、書いていきたい。
その後いくつかの演奏会に行くことが出来た。抜粋&手短ですが。。。
東京音楽コンクール本選 その前に開催されていたPTNAコンペティション決勝でのピアノ協奏曲の演奏に心打たれ、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を演奏された谷昂登氏の生演奏を目当てに聴きに行く。4名の出演者、3名の方がベートーヴェン続き、渾身の思いで準備されたベートーヴェンのピアノ協奏曲をあんなに生で聴けたのも幸せだったし、目当てにしていた谷氏のラフマニノフのピアノ協奏曲第3番の演奏から伝わってくるオーラ、大きかった。4階席にも十分に伝わってきた。表彰式の時のコバケンさんの順位をつけるのが辛かった、今後の演奏活動を応援したいというコメントも印象的だった。
務川慧悟氏ピアノリサイタル 昨年開催されたロン・ティボー国際コンクールで2位を受賞された時の演奏から注目。日本での本格的なソロリサイタルは初めてだということでこれは行かねばと。予想通りとても緻密でよく練られた心揺さぶる演奏だった。曲の構造をしっかり捉えて納得されながら演奏されている感じがしてそういうところも好きだと感じた。コロナ禍で当初からプログラムも変えたとのこと。ショスタコーヴィッチの24の前奏曲とフーガとラフマニノフのコレルリの主題による変奏曲にはぞくぞくしっぱなしだった。
藤田真央氏ピアノリサイタル 今を時めく藤田真央氏、ドイツ留学前のソロリサイタル、聴けるときに聴いておかねばと2回とも聴きに行く。(両日ともA席でしたが)9月17日はシューベルト作曲のさすらい人幻想曲が素晴らしくて終了数時間頭の中を駆け巡っていた。アンコールのパガニーニのジャズバージョンにもびっくり。敏捷性も優れていてのびやかそうにすごいことをやりのけるところがさすがで。9月19日はラヴェルの亡き王女のパヴァーヌの心のひだにはいりこむような演奏に泣かされっぱなし。ラ・ヴァルス、そしてアンコールのショパン作曲ノクターン10番という流れ、バレエ音楽レ・シルフィードに使われた音楽がアンコール、舞踏で締めくくる。アルカンのイソップの饗宴で彼の層の深さを感じたし、チャイコフスキーのロマンスも余韻の残る演奏だった。音楽の神様に愛された演奏家だというの、実感できた2日間だった。
成田達輝氏ヴァイオリンリサイタル 友人のお声掛けのおかげで成田氏の生演奏を。最初はバルトークで斬新に。ハンガリー民謡に特徴的な音程や和声だったとのこと。そしてバッハの無伴奏でちょっとほっとした感じが。確か初演だと言われていたファニーホウという作曲家のシャコンヌ風間奏曲がすごかった。ヴァイオリンという楽器の限界にまで挑んだと思われるような音楽で、複雑で非常に高度な技巧というの大納得。ヴィターリのシャコンヌの美しく華麗な演奏で幕を閉じる。それにしても成田氏、演奏の時の真剣さとトークの気さくさのギャップにもびっくり。懐の深さを感じた。
渡邊智道氏迎賓館赤坂離宮エラールピアノ演奏会 コロナ前には毎月スタジオに生演奏を聴きに行くのを楽しみにしていた渡邊氏のピアノ、いよいよコロナ後の生演奏の解禁へと。華麗さと素朴さとが調和されたエラールピアノの美しい音色のシャワーを浴びながらいつのまにか永遠の世界に連れていかれそうになっていた。じわじわとイメージも広がるし。ショパンのマズルカの次、イギリスの作曲家ロジャー・クィルターの歌曲の編曲版の前にさらりとダニー・ボーイが入ったのも粋だったな。最後に演奏されたフォーレの塔の中の王妃の演奏者による編曲版の純度の高い演奏は忘れられない。
園田高弘メモリアルシリーズロマン派選集Ⅱ 若きピアニストの成長と活躍を願い園田高弘氏が立ち上げたピアニストシリーズを受け継ぎ、春子夫人がメモリアルシリーズとしてスタートした企画。今回は6名のピアニストによるシューマン、ブラームス、フランク、シューベルト、ショパン、リストの演奏だった。実力派ぞろいの方たちによる生演奏で曲の魅力がダイレクトに伝わってきた気がする。この時は演奏者の背中側が見える席。迫力をダイレクトに感じた。本当に体の動きが激しく濃やかで、ピアニストの仕事はまさに職人芸だと感じた次第。
東京都庭園美術館コンサート2020 伊藤悠貴氏チェロリサイタル(共演渡邊智道氏) エルガー、アイアランド、リル、ブリッジというイギリス印象派の音楽を採り上げたプログラム。ここ数ヶ月でイギリス印象派なるものを知った私(二人のファンでなかったら永遠に知らないまでいたかもしれない)、ちゃんと知っている曲はエルガーの愛の挨拶と朝の歌という状態で臨んだのだが難解ながらもロマンチックな魅惑の世界の極致にいったようですっかり興奮、ノックアウト状態に。かめばかむほど味わいが感じられるジャンルに思えてきたイギリス印象派。これらの曲の演奏をまた聴けると思うと楽しみでならない。
亀井聖矢氏ピアノリサイタル 昨年PTNAコンペティションで優勝して以来知ることになった亀井氏、色彩感と豊かな歌心が感じられる演奏に惹かれていたが、こちらのリサイタルで生演奏を聴いてさらに実感、それプラス、底なしのエネルギーと技術の高さ、可能性が感じられたひとときだった。バッハの半音階的幻想曲とフーガで祈るような気持になったあとブラームスのパガニーニの主題による変奏曲。ドラマチックだった。奥深さ、音色の美しさ、表現力の豊かさに心打たれたとともに、この曲のすばらしさも実感することができた。そしてリストの超絶技巧練習曲より3曲。難しい曲からも歌心が感じられ音楽のすばらしさを感じることができた。音楽へのひたむきでまっすぐな姿勢にも好感が持てた。
ガルバフェスタ2020トリオコンサート ユーフォニアム佐藤采香氏、チューバ芝広輔氏、ピアノ渡邊智道氏 大学時代の同級生からなるトリオ。コロナ禍後や東日本大震災後にエールを込めて作られた曲からスタート、美しくイメージが広がる音楽で聴き手や世界の人々に向けての熱き想いと愛情が伝わってきた。春の呼ぶ声を聞くという曲、今は遠い春がここにおいでと呼び掛けている、と解説にあったとおりの、前を向いて歩いていきたいとひしひしと感じる音楽に思えた。金管二人によるDevil’s Waltzのかっこよさにもしびれたし、加羽沢美濃のやさしい風のほっとするやさしさにもほっこり、彼女がユーフォニアム、チューバ、ピアノの編成の曲を作っていたということにも心打たれた。ピアソラ二曲からどんどん盛り上がり、最後のA.ファラによるジプシー・イアリングという曲の即興演奏も入った躍動感あふれる演奏で盛大な拍手。