目下私が最も練習している曲はバッハ作曲フランス組曲第5番。大好きな作曲家バッハだけれど、本当をいうとこの曲はバッハの曲の中で私が最も選ばなそうなタイプの曲なのだった。(弾けるかどうかは別として、短調のややこしそうな曲が大好き。半音階とかdiminishが入ったりする重々しいフーガなんか最高〜)そのような偏った好みであると自覚しているからこそ、中庸、そして温厚でありたいという願望があるのだった。メジャーでまろやかで温かみの感じられる音楽でありながらも本当は奥が果てしなく深いこの曲の魅力の根源を掴み取りたいと思い選曲。そしてその選曲は正しかったと思っているのだが、私にとっては試練の道のりになっている気がしている。その前に弾いていたバッハはイタリア協奏曲で練習も楽しかったのだが、こちらもなぜ私が選んだんだとちょっと思える曲ではあった。こちらも中庸さへの願望!?次のバッハはいよいよドン引き覚悟のメタル系ヘビーコースへと向かおうかな。
前置きはともかく、技術的なところで乗り越えたい壁。それは指の独立とタッチの精度。一音一音、責任を持って出しながらも、自然に聴こえるフレーズを形作り、他の声部との響き合いも納得できるものにしたいのだが、なかなか難しいのだった。スタッカートで一音一音の粒を揃えるだけでも指や音型によって弾きやすさが全然違う。下手な弾き方をして腕が痛くなりかけた時にはゆっくりと。困った挙句、スケールをスタッカートで弾いてみた。音、外さずに弾けるところと、外しがちなところがあった。お陰で苦手なあぶり出され、弾き方面での課題も見えてきたし、注意しながらゆっくり練習したらかなり力がつくような気がしてきた。クーラント、指をしっかり独立させ粒を揃えながらも、重々しくならないように、途中で走ったりしないように。踊りであることを忘れずに軽やかに、そして、腑に落ちる音楽に出来ますように。