鍵盤楽器でたくさんの時間を使ったあと、西洋の楽器とアフリカの楽器を見ました。特に興味深く感じた楽器について書きます。こちらの楽器については本当に詳しくないので間違ったことを書いているかもしれません。もし気づかれたことがあったらご指摘いただけたらうれしいです。
弦楽器でもヴァイオリンの仲間は弦を弓のつるでこする擦弦楽器と言われていますが、ヨーロッパの擦弦楽器で最古のものが、下の写真の左側にあるトランペット・マリーンという楽器で、中世から使われていたそうです。弦が一本で大きいのからもなんだか古そうな気がしました。弦が振動するとびりびりというノイズがでることからそのような名前が付いたそうです。右側にある楽器はクルースと言って中世からケルト人に使われたそうです。
その後ヴィオール族が登場します。ヴィオール族の仲間はヴァイオリンのようにf字の穴ではなくてC字の穴があいているとのことです。
ヴァイオリンもこのような風貌をしていました。フィドルとして民族音楽を演奏するのにも良く使われていました。
またヴァイオリンのように演奏する楽器でもこのように胴体が細い楽器もありました。左二台はキットという弦楽器で、携帯用のヴァイオリンとして17、18世紀に使われていたそうです。一番右の楽器の所にはヴァイオリンと書かれています。働きとしてはヴァイオリンと一緒なのでしょう。演奏動画もありました。一瞬現代のエレクトリックヴァイオリンを連想しましたが。。。
そして現代のエレクトリックヴァイオリンの裏をかいたように思えるヴァイオリンもありました。ヴァイオリンにホーンをつけて音を拡大し、録音用に使っていたストロー・ヴァイオリンです。演奏録音もあったのですが普通のヴァイオリンと一緒の美しい音色でした。本当にいろいろなことを考える人がいるのですね。。。
そして弦をはじく撥弦楽器もありました。代表選手としては最初はこの楽器でしょうか。ハープです。左がアイリッシュ・ハープ、右が色々なハープの仲間です。
ちなみにエオリアン・ハープもありました。ショパンの練習曲Op.25-1にそのような題名がついていますが、自然に吹く風によって音を鳴らすそうです。このようなシンプルな形をしていたのですね!
撥弦楽器といえばハープと共にギターを思い浮かべますが、ハープとギターの間をいったようなハープギターという楽器もありました。なんだか両方の良いとこどりをしたように思えました。
ヨハン・シュトラウス二世の「ウィーンの森の物語」や映画「第三の男」のテーマ音楽にも使われる、チターもありました。こんな愛嬌のある形だったのですね!
それからベルのように鳴らす楽器もありました。左がハンドベル、右がミュージカル・グラス、またはグラス・ハーモニカと言います。モーツァルトがグラス・ハーモニカの為にアダージョを作っており、音源をヘッドフォンで聴くことが出来ました。短いながらも優しさに溢れた美しい曲でした!
管楽器に移ります。こんなに愉快な形をした金管楽器の祖先たちがたくさん展示してありました。左の写真の右下の大きく輪を描いた楽器は狩猟ホルンといい狩猟の時に使われました。右の写真の楽器はウィーンのポスト・ホルンで郵便の出発到着に使われていました。
蛇のようにくねくねした形の金管楽器もありました。セルパンという楽器です。穴のつき方がどことなく木管楽器のようです。演奏もものすごく難しそうに見えます。
youtubeにセルパンによるハピー・バースデーの演奏がありました。
またファゴットとサックスとチューバを足して3で割ったような、オフィクレイドという楽器も面白かったです。ベルリオーズの「幻想交響曲」やメンデルスゾーンの「真夏の世の夢」に使われています。「幻想交響曲」の一部が聴けたのですがくぐもったような低音が幻想的な雰囲気を醸し出していました。
ユーフォニウムにもこのようにラッパが複数集まったものもあって面白かったです。この楽器はダブルベル・ユーフォニウムといい、とてもまろやかで優しい音色でした。ラッパが複数あるので和音も一度に吹けそうに見えるのですが、そうではないとのことです。
他にリコーダー、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットの祖先が展示してあって見ごたえがありました。
最後に中南米やアフリカの楽器を見たのですが、音色の美しさに心惹かれた楽器がありました。マダガスカル島の竹でできたヴァリハという楽器です。素朴そうな見てくれなのですが心洗われそうな音色でした。
ヴァリハの演奏が紹介された動画がありました。47秒から演奏が始まっています。竹の琴のようですね!
アフリカのケニアにあるリトゥングという楽器も印象的でした。優しい音色だったのです。
初心者のためのレッスン動画があったのですが、音程が西洋の楽器とほとんど同じである上に構えからか和音も演奏しやすいような気がして演奏面でもとっつきやすく魅力的な楽器に思えました。
それから写真を撮り忘れたのですがタンザニアのンゴマという打楽器を一斉に揃えて演奏したときの音楽の躍動感も素晴らしかったです。
アフリカにはどことなくピアノに似たような楽器もありました。ジンバブエのムビラという楽器です、親指ではじいて演奏します。祭礼や儀式の時に先祖の霊やスピリットとの交信に使われる楽器らしく、水滴がおちるような神秘的な音色で神と対話しているような印象です。外に出して演奏することもありますがこのような入れ物の中によく入れて演奏します。
ムビラの演奏です。神秘的な魅力に溢れた音色&演奏だと思いました。
以上、浜松市楽器博物館で見た興味惹かれた楽器について書きました。思い出すたびに世界中にはこんなに面白い楽器があるのだと感じたとともに、どの国の楽器にも共通するルーツがあるように思えました。まだまだ未知の楽器がたくさんあると思います。博物館では限られた時間でしたが本当に楽しいひとときを過ごすことが出来ました。とても良心的で魅力に溢れた博物館です。ここでいくつか写真や動画を紹介したものの、浜松に実際に足を運んだらもっと楽しいひとときが過ごせると思います。私もしばらくは行けないと分かっていながらもまた行きたくなってしまいました。本当に素敵で貴重な施設でした。