いろはにぴあの(Ver.4)

音楽、ピアノ、自然大好き!

ショパン200年の肖像 

2020-06-10 | ピアノ、音楽

 先日練馬区立美術館で「ショパン200年の肖像」という企画展が開催されたので行ってきた。新型コロナウイルス感染症のために開始時期が遅れたものの無事に開催されたとの報を知り、これは行かねばとばかり電車で出かけてきた。

 会場に向かう途中にこのような旗が。

 到着。テンションがあがります。

入り口では樹で出来た熊さんも迎えてくれた!(幻想美術動物園とあり、他にもいろいろな動物のオブジェがあった)

 日本とポーランドとの国交樹立100年を記念して開催された本企画。想像のはるか斜め上を行った素晴らしい企画だった。病弱で繊細というイメージを持たれがちな作曲家ショパンに対するイメージが展示を見ることで変わるかもしれないという内容の解説があったが、まさにそのような内容と思える、盛りだくさんの展示内容に圧倒され、心打たれ、幸せな思いに浸ることが出来た。エチュードOp.10-8とポロネーズOp.71-3の自筆譜、初めて印刷されたショパンの楽譜のところでは、会場で流れている演奏に合わせてなどるように閲覧した。訂正の跡もあり、作曲時におけるショパンの試行錯誤の過程が手に取るように伝わってきた。ショパンのショパンの楽曲を通してポーランドを表現した版画やプレリュードOp.24各曲から連想して描いた絵画、ショパンコンクールのポスターなどショパンの作品を聴いた人たちから見たショパンの楽曲のイメージを美術作品にしたものも興味深かった。楽曲のイメージから描かれた絵を見て、絵を描いた画家たちに共感したとともに、楽曲の新発見もできそうな気がした。(ただ、タイトルが「作品〇〇 〇調」となっているので、原曲の作品番号を頭に入れて作品を見たほうが、より楽しめると思った。)同時代を生きた画家たちおよび後世の画家たちによるショパンの肖像画、生活ぶりが伝わってくる絵画も面白かった。ドラクロワによるサンドと一緒に描かれた作品、アリ・シェフェールによって描かれた晩年のショパンの肖像画のように有名なものもあれば、後世の画家たちが描いた具体的な、もしくは抽象的なショパンの肖像画から彼がいかに人々に親しまれてきたかというのが伝わってきた。ショパンの楽曲の日本におけるショパンの受容史も興味深かった。日本人によるショパン作品の最初の演奏は明治18年に行われ、楽譜の輸入も明治時代に始まっていたとのこと。そして日本最初のショパン弾きは澤田柳吉氏だということも知った。なじみが深く知っていることが多いと思っていたショパンについていかに知らなかったかということを感じたとともに、もっとショパンの音楽を知りたいと思うようになった。

 会場、入館と同時に消毒液で手を消毒、受付にはビニールカーテンが施されており、案内の方たちはフェイスシールドを付けていた。私は音声ガイドも借りたのだが、機器やイヤホンは消毒され、イヤホンは使い捨てになっていた。音声ガイドの内容も素晴らしかったのでお勧めしたい。会場でかかっていたショパンの演奏もよかった。フォルテピアノによる演奏ももっと聴きたいと思うようになった。

 東京練馬での会期は6月28日(日)18時まで 練馬区立美術館

 その次は静岡開催予定 8月1日(土)~9月22日 (火・祝) 静岡市美術館

購入した図録を読んでじっくり内容を消化したい思いである。そしてショパンの曲ももっと演奏できるようになりたい。そういえばつい最近エチュードを練習しようと決めたばかりなのだった、頑張ろう。ショパン様、弾くのは大変手ごわい作曲家なのだが末永く仲良くできますように。。。


渡邊智道氏 池之端ライヴ

2020-06-10 | ピアノ、音楽

 続けてCDの紹介を!

 スタジオでのライヴでピアノ演奏を毎月披露されていた渡邊智道氏、コロナウイルス感染症の影響でスタジオでのライヴが出来なくなった今、なんとかして音楽を届けたいという想いのもと、毎月ライヴCDを制作し届けるという試みを行っている。昨年7月に出演された演奏会を聴きに行って以来演奏がすっかり気に入り応援し続けているし、私のピアノにも大きな影響を与えてくれている。渡邊氏のピアノには派手なパフォーマンスがまったくなくむしろさりげなそうなたたずまいなのだが、そこから広がる濃やかさ、密度、深遠さが無限。曲の魅力を発見するとともに音楽への愛おしさが深まるような思いになるのだった。

 5月に届いたCDはこちら。

 メンデルスゾーンの無言歌の出だしを聴いたとたんあらゆるよどみと疲れが奥底からやわらぎ溶けるような状態になった。選曲も、演奏も、究極的に優しくて、こまやか。何時間でも、何度でも、じっくり聴きたくなるのだった。有名なブラームス作曲Op.118-2の美しさは言うまでもないし、ここでしか聴けない本人の編曲による歌曲も白眉。イギリスの作曲家クィルターの歌曲やブラームス作曲Op.106-4私の歌は必聴だと思う。

 ちなみに六等星という冊子には小説、エッセイが入っていて、文筆家としての一面も。5月号は「命のゆく果て、風の歌声」という短編だった。

 百聞は一見に如かずという諺があるが、百見、百読は一聴に如かずでもある。渡邊氏の音楽を聴くたびに私はそのように思うのだった。

 5月号、動画がアップさいるれてので貼り付ける。最初の曲、メンデルスゾーン作曲「ことばのない歌曲こと無言歌よりOp.19-4」。オープニングはライヴCDの序奏と思われる。

 4月号はバッハ作曲ブゾーニ編曲「救い主よ、我汝に呼ばわる」。 音響のよいところで、ぜひ!

 CDを聴いてみたいと思われた方はこちらからよろしくお願いします。


髙橋望氏 平均律クラヴィーア曲集第一巻

2020-06-10 | ピアノ、音楽

 新型コロナウイルスの感染症の影響で演奏会ができなくなった音楽家たち、ネットによる配信等様々な方法で音楽を私たちに届けてくれている。そのおかげで私も沢山の音楽を楽しむことが出来ていて感謝している。その一方、今となってはちょっとレトロなのかもしれないCDのかけがえのなさを感じるようになっているこのごろなのだった。

 本ブログでは、今の私にとって、かけがえのなさを感じるようになっているCDを紹介したい。

 髙橋望氏による、「J.S.バッハ 平均律クラヴィーァ曲集第1巻」。友人の紹介で知った髙橋氏、バッハ作曲のゴールドベルク変奏曲をライフワークにされている。ゴールドベルク変奏曲、長すぎるのもあり今の私にはちょっと近づきがたい印象があるのだが、バッハの音楽は大好き!そんな大好きなバッハのピアノ演奏で定評があるピアニストさんだということで、ラジオを聴いたり講座を受けたりしてみたら、親しみやすさと懐かしさ、そして広がり、挙句の果ては音律、数学、哲学、人生観にまでいたるような深い内容にまで行き届く、しかも時々登場するピアノ演奏がとても美しい、そういうわけですっかり気に入ってしまったのだった。こうなったら演奏を聴くしかない!しかし生演奏は今は聴けない、というわけでこちらのCD購入。

 J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集第一巻 ピアノ 髙橋望氏

 なんというのでしょうか、一曲一曲を、そしてピアノという楽器を慈しみ、曲のきらめきを大切に掬い取られているのが演奏全体から伝わってきて、バッハっていいな、音楽っていいなと、理屈抜きで感じることができた。帯に書かれている「色とりどりに響き合う、森羅万象のハーモニー」という言葉をしっかり音で体現していた。曲集の原題、Das Wohltemperierte は 「ほどよく調律、調節された」という意味、その「ほどよく」という世界の心地よさがじんわり感じられて心温まる想いになった。出逢えて、本当に良かった!

 CDやご本人についての情報はこちらからお願いします。


オンラインイベント第2弾

2020-06-10 | 私のピアノ演奏

 前回の投稿から1ヶ月が経過。実はスタジオフェルゼンが主催のオンラインイベントに今回も出演したのだった。イベントのタイトルは「ハッピーバースデー!エドヴァル」作曲家エドヴァルド・グリーグの6月15日の誕生日を祝うべく、グリーグの曲のみを演奏するという楽しい企画。ラッキーなことに、3月中止になったイベントで弾こうとしていた曲があったのを思い出しこちらで披露することにした。抒情小曲集 (小品集とも呼ばれているのですね)第3集Op.43から5番目の曲、愛の詩。

 この曲を弾き始めたのは約1年前、東京に引っ越してきたばかりのころだった。なんとなく抒情小曲集が弾きたくなり、Op.43から弾きたい曲を数曲抜粋、その時に出逢い、短いながらもなんて密度の濃い曲なのだろうと感動したのを覚えている。これぞ音楽の悦びを体現している世界だと。

 しかし本番にあげるとなるとなぜかその曲に専念という状態にはならず。。。前回の幻想即興曲のように幸い技術的な面での克服要素が満載という状態ではなかったものの、それでも心そこにあらず状態になってはいけないという教訓のもと、本番に近い日にレッスンを入れてベストを尽くそうという心構えで向き合った。こちらに演奏の動画を貼り付けます。 

 演奏はいろいろやらかしていますが、本当に、素晴らしい曲です。グリーグ、いい作曲家だ!

 そう書いているうちに、昨年の夏に、某大学のグリーグの音楽講座にも出かけていたのを思い出した。自然を愛し愛妻家でしかも情熱的、本当に素敵な作曲家だったと感じたのも思い出した。

 他の参加者の方たち、さまざまな抒情小曲集の他に、自作の歌曲によるピアノ曲、劇付随音楽ペールギュントのピアノ編曲、ひいてはピアノソナタOp.7やピアノ協奏曲のような大曲の演奏も登場、熱演が続いた。聴きごたえたっぷりグリーグの魅力再発見の素敵なイベントだった。