ステージでピアノを弾いてきた。曲目はバッハの平均律第1巻第13番。人前での演奏の機会を求めていた矢先、ピアノ仲間に声をかけていただき、ゴルドベルク変奏曲を演奏されたりバッハの平均律のCDを出されたりしている髙橋望先生の教室の発表会に出演させていただくことになった。
出演できるということになり脳内選曲会議。真っ先にバッハが思い浮かんだので作曲家は即座に決定、その中で何にするかしばらく迷ったものの、少し背伸びでも今弾きたいと思える曲を選ぶほうが後悔しないと思い、バッハの平均律の好きな曲の中で練習すれば弾けそうな気がした曲に白羽の矢を。平均律第1巻第13番。フーガが難しいのでは、とか、その前にインヴェンションシンフォニアを完璧にするべきなのでは、という、脳内の厳しい言葉がさえぎりそうになったのだけど、そういう言葉に怖気づいているほど私の人生で残りのピアノに割ける期間は長くない、後悔ない選択をと思い選曲。私も平均律のステージでの演奏デビューをしてもよいのでは、と思えそうな雰囲気にもおおいに力づけられた。
譜読みに本格的に取り組んだのは今年になってから。譜読みだけに関してはプレリュードは楽にできたような気がした。フーガは大変だったけれども想定内。ワーグナーが福音の知らせと名付けた平均律第13番のフーガ、喜遊部の美しさに心惹かれ楽しく練習し続けられたらいいなと思った。しかしレッスンを受けているうちに、穏やかそうにおもえたこの曲の陰影と奥深さを実感。楽に弾けそうに思えていたプレリュードが自分の内部に入り込めない感じがあった中、通常レッスンの師匠がこの曲の素晴らしさをつぶさに解明していくのを目の当たりにし、細かいところに丁寧に目を向けひとつひとつ感動しながら演奏していきたいと思うようになった。フーガは技術的な難しさとしまりをつけるためのハードルを感じていたが、髙橋先生のレッスンでこの曲の解釈、めりはりをつけた演奏へのポイントを実践的に教えていただき、ちょっとした工夫でこんなにこの曲が近くに感じられるようになるのかと目から鱗が落ちる状態だった。
万全の準備をして臨もうと思っていたのだが準備期間に心そこにあらず状態になったりもした。そんな中でも本番というのは必ずやってくる。
自然豊かな会場にあるホール。どきどきしながらリハーサル、のびやかに演奏できそうなピアノだった。
本番、私ははじめのほうだった。プレリュード、細かいところを味わいながら演奏出来た気がする。フーガ、要所は押さえたけれどもちょっとせっかちになってしまった。どのような場でもテンポ感を守ることの大切さを実感した。しかし平均律の発表会デビュー、無事に出来たという確信は持てた。よかった~。
出演者の方たちの演奏、音楽愛に溢れた演奏ばかりで心洗われた。コメントの紹介欄を読み、そういう気持ちで取り組んでこられたのかというのも伝わってきて心温まる思いになった。髙橋氏によるベートーヴェン作曲皇帝第1楽章の二台ピアノ版も聴けて嬉しかった。髙橋氏とともにオケパートを演奏された方も素晴らしかった
演奏後のお話タイム、話題の豊富さとマニアックさに脱帽。。。楽しすぎました。
この発表会に声をかけてくれた友人、貴重な縁をつなげていただいたことに感謝するととともに、広い視野や前向きなチャレンジ精神、見習いたい。
リハーサル時に会場のピアノの近くで録音した演奏録音のYouTubeを貼り付けます。