ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

シベリア物語

2015-04-13 23:11:04 | アート・文化
童話教室から帰ってくると、キッチンのテーブルの上に、不思議なお菓子が。聞けば、Yさんが持ってきてくださったのだそう。
包みを開いて見て「あっ、これは…」と言葉を飲みこんでしまいました。そう、知る人ぞ知るお菓子「シベリア」であります。
宮崎駿のジブリアニメ「風立ちぬ」で主人公の堀越次郎が、夜の駄菓子屋(いや、パン屋だったかな?)でふらりと買ったお菓子が、この「シベリア」。うんと昔の昭和の初め頃は、人気のお菓子だったという、シベリアがまだ売られていたら、食べてみたいというようなことを以前、このブログに書いたのを覚えてくださったのですね。 本当に嬉しいです。ありがとうございます。

さっそく、夕方のティータイムを楽しむことに。包装紙に「シベリアはスポンジの間にあんこの入ったケーキです」と説明書が。うん、それは見てもわかるのだけれど、この三角の形が何ともいえず面白い! あんことスポンジが層になっているのも、当時はハイカラな趣だったのでは? でも、どうして「シベリア」なんてバタくさい名前なんだろう?

紅茶を飲むながら、食す「シベリア」…懐かしい時代の味がします。「風立ちぬ」のシベリアが出てきたアセチレンの灯を思わす夜道の明かりや、次郎が駄菓子屋の店内をのぞくシーンも、思い起こしました。 私が、戦前とか大正とか、そんな時代の子供だったなら、小銭を握りしめて、駄菓子屋へ走り、「シベリア下さい!」なんて、わくわくしながら言っていたかも。

それにしても、今もこうして売られているなんて、隠れたファンがまだまだいるのでしょうね。 お菓子のロングセラーは「森永のキャラメル」だけではないのです。
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21世紀の空海

2015-04-13 22:54:37 | 本のレビュー
今日で、一年間新聞に連載されていた高村薫の「21世紀の空海」が終わった。といっても、熱心な読者などでは全然なかったのだけれど、単行本化されたら購入したいと思っている。
今までの記事の中に、高村薫がハンセン病の方と対談したり、その納骨堂に赴くなど、宗教や人生の根本を探りだす探索をしているのを見て、「何てすごいんだろう」と感嘆したのも、くっきり覚えている。

さて、今回は高野山の管長さんとの対談で、いわば番外編にあたるもの。ここで、彼女が「空海という人物像をとらえようとしても、今一つうまくいかなかった感が残る」と言っているのだが、現代の混迷する社会状況の中では平安仏教の教えが望まれているのは確かだろう。「過酷な現実を見ると、信心のない者でももはや言葉の論理で、太刀打ちできないのを感じます。理屈を超えて、体中で悲しむこと、共感すること、受け入れること、向き合うことができるのは、宗教だけです」と高村薫が言えば、管長は「いのちがつながっているという思想は宗教にしかない。今こそ自然と一緒に生きる「共生」という平安仏教の考えを生かす時代だと思います」と答える。

宗教といえば難しく考えがちかもしれないが、すべてのものが等しく生きているという認識が、今、私達に必要なものなのだろう。
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