ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

東京って不思議

2015-08-20 23:33:17 | ある日の日記
来週、用事で東京へ行くので、準備。いつもの定宿に、一泊の予約をしたり、持っていかねばならないものに目を通したり…。

そして、こないだ書店で、東京のガイドブックも買ってきた。まるで、おのぼりさんのようであるが、ここ何年も、この街をじっくり歩いてないので、ちょっと浦島太郎状態になっているのであります。昔、行き慣れた西武新宿線の新宿駅から、伊勢丹方面に行こうとしても、街の風景ががらりと変わってしまい、とまどったのも記憶に新しいです。

それにしても、東京とはなかなか不思議な街。電車に乗って、西、東、へ向かうだけで、風景は一変するし、新宿、銀座、渋谷、代官山、表参道など、違う駅に降りたったとたん、街の匂いや雰囲気までがらりと変わるのだから、さまざまな表情を持つ女優のような都市ではありませんか!

超高層ビルが林立する新宿から、中央線、西武線などに乗って、郊外へ1時間も走ってゆけば、奥多摩の深い山々が見えてきたりします。昔、学生時代、ふらりと思いつきで、奥多摩へ行った際、どーんとひなびた駅に降りたち、あたりは山に囲まれた僻地(?)だったのを、「これが同じ東京か?」とびっくらこいたのを思い出します。おまけに、駅のプラットホームのベンチには、幼馴染そっくりの少年(注:幼馴染というのは、もちろん女性です)が座っていて、その横顔の鼻筋やら目元まで「えっ、○○ちゃん、どうして、ここにいるの?」と声をかけてしまいそうな、瓜二つぶりだったのが、おかしなことでした。

そして、観光所のそばには、「熊がでます」と立て看板があったり、「山へ入ったきり、行方不明」の方の写真が何枚も貼ってあったり――何だか、遠いところへ来てしまったようでありました。

他に、電車に乗って、郊外へ向かうと、無機質な高層マンションや、同じく無機質な駅前通りが並ぶ、コロニーのような風景が広がったりして、それも面白かった。個人的には、つるつるとした人間の匂いがあまりしない場所も結構好きなのであります。

年をくったせいか、都会といっても、華やかなファッションが並ぶ街でなく、普通の人が住む郊外の住宅地にひかれるようになりました。駅前の、ちょっとした商店街や線路を越えたところにある、住宅地や図書館、郵便局、スーパー、銀行といったありふれた町。でも、どこかちょっと文化的な香りがし、風変わりな景色もちょこっと見られると
いいうような…。

こう書いていると、昔何度も訪れた、練馬の「いわさきちひろ美術館」やら、電車の窓から見た夕暮れの中の白い家やその庭にいた黒い猟犬のシルエットまで、懐かしく思い出してしまったりしますね。