このところ、ずっと「アデンアラビア」という言葉が、頭から離れない。もちろん、ポール・二ザンの書いた素晴らしき名作の名前ではあるのだけれど、
アデンというエキゾチックな語感。それがアラビアという砂漠や香料、椰子の茂る土地と組み合わされると、何ともうっとりさせられるイメージを運んでくれるのだ。
そんなことをつらつら思っていたら、広い日本には「アデンアラビア」をそのまま店名としたカフェもあることを、ネットで知った。そのお店は、岐阜県は多治見市というところにあるらしい。
上が、そのお店の写真なのだが、やっぱりカフェというより、昔なつかしき「喫茶店」を彷彿させるウッディーなムード。でも、行って見たいなあ……このコロナ禍がおさまったら、ふらりと立ち寄ってみたい。
とりたてて、アラビアを連想させる内装ではない――しかし、イエーメンの都市「アデン」を冠した名前をつけられたお店。ここから、わたしの妄想が始まるのだが、きっと若かりし頃、二ザンの「アデン、アラビア」を読んで深く感動した初老の店主が、この名をつけたのではないだろうか?
しっとりしたサンドイッチやステーキ、甘いケチャップのからむナポリタンスパゲッティが作られてゆく厨房。そのカウンターにはひっそりと「アデン、アラビア」の本が置かれているのかもしれないな。
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