遠くひろがる湖面には
帆影に起る喜悦の波
払暁の町はかなたに
今花ひらき明るみかける
ヘルダーリン『帰郷』
人の住む生の世界が遠ざかり
葡萄の時の輝きもはるかになれば
夏の野はうつろに拡がり
森は黒々とかたちをあらわしている。
自然が季節のかたちを補完し
とどまり そして過ぎ去るのは
完全性の故なのだ、天の高みはひとに
輝く 木を花が囲み咲くように。
ヘルダーリン 『眺望』
Friedrich Hölderlin (1770–1843)
三島由紀夫の小説『絹と明察』の駒沢にとっての琵琶湖
は「日本的風雅」の本拠地として設定し、小説の駒沢に
とっての琵琶湖は「日本的風雅」の本拠地として設定し、
駒沢の破滅を画策する岡野にとっての琵琶湖は、ハイデ
ガーにしいて、"詩人の中の詩人"といわしめたヘルダー
リン(あるいはへルダリン)の「帰郷」という詩に歌わ
れているような、「西欧的澄明」の象徴に設定したこと
はよく知られている。
ことしで大阪から居を構えはや40年もの月日が流れた。
仕事や観光で海外に出て帰国しいつも感じることは、こ
の地の鈴鹿山系、琵琶湖、そして彦根城を背景とした風
光明媚さは世界一と言っても過言でないと思っている。
そこで、元彦根市長の故中島一氏の手になる『城と湖の
町彦根 歴史と伝統、そして』サンライズ印刷出版部(
2001.09.20)に即して、今一度、「湖と城郭そして田園
都市」の三位一体をテーマ(特定宗教と関係なく)に考
えてみたい。さんこうまでに、中島氏のこの著書の「は
じめ書き」には次のように掲載されている。
私ども日本人の創り出した都市・建築空間のなか
で、お城の風景は避けて通ることのできない重要な
ものの一つでしょう。
まちのどこからも見える丘の上の白い、あるいは
黒い外壁をもつ、天守の遠望は、多くの都市のなか
で殆ど唯一のランドマークとして生きてきました。
まち中のどこからもその姿が見え、それとの対応で
私どもの位置を判断し行動の基準とする。それがラ
ンド了‐‐クなのです。
近世の城下町、なかでも私どもの彦根の城下町は、
それだけではなく、まち並み全体が城攻めに備えて
デザインされたことから、この城は文字どおり近世
彦根という都市の核であり、現在も生き続けている
のです。
彦根といいますと国宝彦根城です。緑の小高い丘
に三層の白亜の天守を頂き、二重の濠に囲まれた城
郭がほぼ昔のままに残っています。歴史とロマンの
あふれる古城は、遠く江戸期へと誘ってくれます。
城と湖のまち「彦根」は静かな落ちついたいいま
ちです。そこには「彦根の良さ」があり、それを誇
りとしているものです。
私は、さきに「城と湖のまち彦根-歴史と伝統、
そして」と題した小著を出版させていただきました。
しかし、それだけでは、到底語り尽くせるものでは
ありませんでした。そこで、是非お話をしておかな
ければならないもののいくつかについて拾い上げ、
纏めあげ、『績』として刊行したものです。これが
「彦根のよ」をさらにご理解いただき、明日の彦根
に確かな希いをアプローチしていただけることを期
待いたします。
以上のごとく「是非お話をしておかな ければならない
もののいくつかについて拾い上げ 纏めあげ、『績』と
して刊行したものです」と述べられている通り、注意深
く読み進め感想なり、コメントなりを付記できればと考
える。勿論、個人的な思いや考えは適宜書き加えて行く
つもりである。
【エピソード】
はじめて、国鉄新幹線の米原東口(西口など形もなかっ
た)に降り立った時、地図のマークの大きさと真逆にビ
ックリ、気を取り直しタクシーで高宮町の大日本スクリ
ーンに向かうが国鉄彦根駅は当然、素通りし正門でボス
トンバック持ち降りてさらにビックリ。これが、カラー
テレビという最先端部品をつくるところなのかと。前に
歩きだそうにも後ろ向いて歩いているような錯覚――今
風に言うとムーンウォーク――を初めて経験した。当然、
横にあるブリジストンタイヤは敷地面積は広いがちっぽ
けな工場に見えた。これが彦根の第一印象であった。
【脚注及びリンク】
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- 中山道 高宮宿場町|彦根市
- 宿駅散策 近江中山道中絵巻:高宮宿
- 中山道 高宮宿 彦根観光協会
- 中山道 道中記 第64宿 高宮宿
- 中山道 高宮宿/高宮宿から愛知川宿
- 滋賀県彦根市 高宮宿 Japn Geographic
- 彦根市西葛町籠町~高宮宿-街道のんびり旅
- 高宮町~鳥居本宿-ひとり歩み-ひとり歩きの
中山道 2004.4.9 - 彦根文化遺産 中山道と宿場町 高宮宿高宮ま
つり・高宮布 - 日本写真紀行 鳥居本宿~64高宮宿
- 中山道高宮宿 馬場憲山宿
- 高宮宿 栗東歴史民族博物館民芸員の会のブログ
- 新高宮町史 自費出版デジタル
- 「城と湖のまち彦根-歴史と伝統、そして-」中島一
サンライズ印刷出版図 2002.9.20 - 中島一元彦根市長 Wikipedia
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