長い間市役所に勤めていた割には、税金のことがよくわからない。
税務に関する職場を経験していないこともあり、税制度に疎い。
だから、確定申告をしろ、な~んて言われたら、ぞっとする。
これまで、収入は役所の給与だけだったから、年末調整時簡単な書類と生命保険などの控除証明書を人事課に提出するだけで、あとは何もしないで済ませることができた。 しかし、2年前、平成21年3月末に市役所を退職した僕は、翌22年から、確定申告をしなければならない立場になってしまった。
つまり、去年、初めて所得税の確定申告をしたのである。
これが、どうにも、ちんぷんかんぷんだった。
所轄の税務署から送られて来た書類に、わかる部分だけ書き込み、サラリーマンや年金受給者のために藤井寺の市民会館に開設されていた還付申告会場に足を運んだ。
受付で整理番号をもらい、1時間近く待った。
やっと名前を呼ばれて、広い会場の中に入り、机をはさんで藤井寺市の若い男子職員と対面し、用意してきた書類などを見せると、これは必要で、これはいりません。 ここは書かなくていいし、ここは記入しておいてください…などと教えてくれたあと、「では、向こうに税理士さんたちがパソコンの前に座っておられますね。 あそこの横の椅子に座って順番を待ってください」 と言われた。
丁寧でわかりやすい応対だった。
その男子職員の付けている名札を見て、あれっと思った。 それはとても珍しい名字であり、僕はそれと同じ名字の人を知っていた。 柏原市の前議会事務局長さんで、僕の現役の頃、同じ事務局長同士として、よく飲んだりして、仲の良かった人である。
男子職員にお礼を言った後、
「めずらしい名字ですね。 僕は同じ名字の人を知ってますよ。 柏原市に勤めておられた…」
と、僕がそこまで話すと、男子職員は、
「あ、それ、僕の父親です」 と照れながら頭を下げた。
まぁ、そんな話は別にいいのだけど…
僕は彼に言われた場所に行き、椅子に座って順番を待った。
ここでも30分以上待った。
先の人が終わり、「次の方どうぞ」 と僕に声をかけたのは女性の税理士さんであった。
若いし、やさしそうなので、なんとなく安心した。
税理士さんは、僕の書類を見ながら、次々と給与と年金の収入額や社会保険料、生命保険料、地震保険料の各控除額をてきぱきとパソコンに入力して行った。 僕は横に座って、時々質問に答えたり、言われた書類を提示したりするだけで、あとはボーっと眺めているだけだ。
これにも、結構時間がかかった。 僕は10時過ぎに会場へ着いたのだが、税理士さんが必要事項をすべて打ち込み、「はい、できましたよ」 と、それを印刷して僕に渡してくれた時は、すでに12時を大きく回っていた。 しかしまあ、こんな親切に何から何までしてくれるとは思わなかった。
僕は税理士さんに作成してもらった申告書を持って、別の受付場所へ行き、申告書を提出した。 すべて税理士さんが作ってくれたのである。 時間はかかったけれど、ありがたいことだった。
そして今年もその時期が来た。 しかし、また同じことを繰り返すのも、芸がない。
あの女性の税理士さんがしてくれたパソコンへの入力を、今度は自分がやってみようと思った。 税務署から来たはがきにも、「自宅で申告書を作成される方は国税庁ホームページ 『平成22年分確定申告作成コーナー』 をご覧ください」 と書かれていた。
よし、自分でやるぞ~
去年の経験を無駄にしてはならない。 控えも手元にある。
そう決意して、昨日は椛の弁当作りなどの朝の用事とブログを終えた後、パソコンで国税庁のホームページを開いた。
もちろんその前に、公的年金の源泉徴収票、個人年金の源泉徴収票、生命保険の控除証明、地震保険の控除証明、病院等の領収証を入れた封筒の表に医療費明細を書いたもの、などを用意し、社会保険(健康保険)の去年1年間支払った額や妻の年金受給額などの数字も把握しておいた。
そして、パソコンへの入力だ。
まず、所得税確定申告書作成コーナーの 「申告書当の作成を開始される方」 をクリック。
「作成開始」 をクリック。
パソコン環境の確認をクリック。
住所氏名生年月日などを入力。
そのあと、ようやく申告書がパソコン画面に出てくるので、所定の欄に入力する。
まず収入は公的年金と個人年金の2つだけ。 それぞれの年間受給金額と源泉徴収額を入力するのだが、個人年金の場合は 「必要経費」 という科目もあって、その数字も入力する。
そして次に控除欄へ移る。
医療費控除欄には、医療費の1年間の総額を入力。
不整脈や耳鳴りで毎月のように病院へ通っているが、かかった医療費は8万円余りだった。
あと、健康保険の1年間の掛け金額を入力。
生命保険や地震保険の支払額も入力。
配偶者の収入欄には、妻の公的年金と生命保険会社からの年金の総額を入力。
大した額ではないので、配偶者控除の欄に自動的に 380,000円の数字が出てくる。
基礎控除欄にも、いつのまにか 380,000円が記入されている。
さすがにパソコンである。
これだけ入力しただけで、後は全部、勝手に計算してくれるのである。
そして還付される金額も、ちゃ~んと数字が出ているのだ。
最後に印刷モードにして、印刷をする。 印刷物は6枚出てきた。
所得税確定申告書の第一表と第二表、「提出書類等のチェックシート」
「必要書類の添付用紙」 の4枚と、申告書2枚の控えである。
申告書の第一表の氏名欄に、認印を押す。
僕はその6枚と、添付の書類、参考書類、去年の控えなどを持って、
午前10時過ぎに家を出た。
「どうせ混雑しているだろうから、家に帰るのは12時過ぎると思うけど」
そう妻に言って、マウンテンに乗って市民会館へ出発した。
案の定、会場はエレベーター乗り場から人でごった返していた。
4階の会場前に着くと、大勢の人たちが順番を待っている。
一人一人に整理券を渡している。
僕はその整理券をもらう場所に行き、窓口の職員に
「もう、申告書、できているんだけど…」 と告げた。
すると職員は、「あ、そうですか。それならどうぞ、中へお入りください」
と、整理券なしで会場の中に入れてくれた。
中にいた係員に、「これはどこで見てもらうのですか…?」
と聞くと、「どうぞ。 そちらです」 と入り口近くの受付テーブルを指さした。
ほかを見渡すと、大勢の人が、職員と書類を前にやりとりをしていたり、さらに奥のほうでは去年僕がお世話になった税理士さんたちがパソコンに入力をしている光景が目に入った。
受付テーブルの職員に、バッグから、今朝がた入力して印刷したばかりの申告書を提出した。 職員は指で数字の部分をなぞりながら、パラパラとめくり、次に僕が出した源泉徴収票や保険控除証明や医療控除明細の封筒などをざっと確認し、「けっこうですね」 とうなずいて、「この申告書の控えはお持ちですか…?」 と聞いた。 持っている、と言って控えをテーブルに置くと、ポンと受付スタンプを押してくれて、
「ハイ、どうもお疲れさまでした。 お預かりいたします」
と言うので、
「え…、もう終わりですか…?」 と思わず聞いてしまった。
「えぇ、終わりです。 どうも~」
その間、約5分であった。
去年は待ち時間を含めて2時間半ほどかかった。
あまりに早く家に帰ったものだから、妻がびっくりしていた。
やっぱり、自分でパソコンに入力して申告書を作ると、こんな早く終わるのだ。
会場へ来ていた人はお年寄りが多く、自分でパソコンを使って申告できる人は少ないのだろう。 あぁ、少しでもパソコンが使えてよかった…と、つくづく思う。
ちなみに、皆さんもご存知だと思うけれど、電子申告納税システムというのがある。 これはパソコンから直接申告内容を送信するシステムで、さらに便利なようだけど、役所で電子証明書などを取得したり、ICカードリーダライタとかいうものを買ったりしなければならないらしく、面倒である。 自転車で5分の会場へ運ぶほうが、てっとり早い。
しかし来年になると、必要書類やパソコン入力方法を忘れているかもしれない。
近頃は何でもすぐに忘れてしまい、困っているのだ。
その時は、今日のこのブログを読み返すことにしよう。
そうすれば、いろいろと思い出すに違いない。
長々と細かく書いたのも、実はそれが念頭にあったからだ。
毎日せっせと書いているブログも、少しは何かの役に立たなければね~。