西田文朗先生 人たらしより
真実を言うことが、必ずしも美徳とは限らない
「ウソをついてはいけませんよ」
私たちは小さい頃から、このような教育を受ける。
しかし、これはあくまでもタテマエの道徳であって、現実には、
ウソをつくことを身につけたほうがいい。
真実を言うことが、必ずしも正しいとは限らないからだ。
正直になってはいけない。
ちょっとだけウソをつこう。
実のところ、相手は真実を知りたがってはいないのだ。
真実を気にする人は、ほとんどいない。
だからこそ、少しだけウソをつくようにするのである。
何だって正直に言っていればよい、というわけでもないのだ。
A「この企画どうだろう」
B「いいですね」
A「この仕事って楽しいよね」
B「本当ですね」
A「僕のお土産は気に入ってくれたかい」
B「もちろん!」
A「また今度、飲みに行こうか?」
B「ぜひ!」
Bの返事は、すべてちょっとずつウソをついたものであるが、
まったく困ることがないばかりか、Aを喜ばせているという点では、
好印象を持たれるやり方なのだ。
実際問題と考えてみても、相手はそれほど本気で聞いているわけでもないのだから、
こちらが軽くウソをついても一向に困らない場合がほとんどなのだ。
私たちが誰かに質問するとき、本当の気持ちを聞きだそうするよりは、
「ただ何となくきいてみただけ」というケースが、結構多い。
そんな場合に、正直な返事をしなくてもよいのである。