すばるに恋して∞に堕ちて

新たに。また1から始めてみようかと。

群青・涙 前編

2008-10-03 11:38:59 | 小説
その記事が出たのは、梅雨明け間近の、暑い朝だった。

いかにもありそうな、男女の飲酒沙汰の中心人物として上がった彼の名。

ご丁寧にも顔写真付きで、彼の今までを紹介し、
甲の古傷にまで触れた、その記事の中身は、確証など何もない、誹謗中傷でしかなかったのに。

全国版の記事の恐ろしさ、
何も知らない人から見たら、事実にさえ見えただろう。



その夜、遅くなって、ようやく彼と連絡がとれた。

「大丈夫なん?」

問いかけた私に、彼の声は、言葉にすら、ならない。

「ん・・・・・・?」

かすれたような、声。

「疲れてない?」

聞かなくたって、答えは判ってる。
平気でいられるはず、ないんだから。

「ん。ちょっと、疲れた・・・か、な。
 今日一日、いろんなとこから電話はかかってくるし。
 いちいち説明すんのも、面倒でかなわんし、腹もたつし」

「今すぐにでも、会いに行きたいけど・・・、無理、よね?」

これは、本音。
会って、彼を抱きしめたい。

「明日、仕事早いからな。まだ撮り残しもあるし、レギュラーの収録やって・・・」

「そう、よね」

「すまん。会いたくないっちゅうことと、ちゃうからな。
 誤解、せんとってくれよ」

「判ってる。会いたいんは、私のわがままやって。ごめん、ね?
 でも、ホントに1人で、大丈夫なん?」

「なに心配してんねん。大丈夫やって。
 そもそも、全部嘘やねんから、放っといたらええねん。
 なんも、気にすることないわ」

そう言って、彼は、笑った。

でも。

強がってるのは、声のトーンで察しがつく。
一番気にしてるのは、彼自身だ。


ようやく、順調に回り始めたところ、なのに。

いろんなこと、乗り越えて、ここまで仕事してきて。

辞めようとしたことだって、数え切れない。

それでも辞めずに続けて来て。

やりたかったこと、
少しずつ、やらせてもらえるようにもなって。
全てはこれからって時に。


好事魔多し。


そんな一言で、片付けて欲しくない。

彼が何をしたっていうの?

何もしてない、ただ、当たり前に生きてるだけ、なのに。

「私に、何ができる?」

思わず、彼に尋ねてしまった。

「何って・・・」

彼がわずかに言い淀む。

「そばにいたいの、本当は。
 こんな時だからこそ、あなたのそばにいたいの。
 でも・・・。
 心配ないって、あれは全部嘘やからって、あなたは言うけど、
 でも、私が心配してんのは、記事の中身なんかじゃないわ。
 このことで、また・・・・・・」

・・・・・・貴方が傷つくこと。

続く言葉を、私は飲み込んだ。

「人間不信に拍車がかかるんちゃうかって、思ってるんか」

そんな私を察したのか、彼が言った。

「判ってる、大丈夫やから。
 あんな記事を信じて、俺から離れてくヤツは、そこまでの付き合いやったってことや。
 まあ、でも、あんなことが真実やと思われてしまう俺にも、問題はあるのかもしれへんけど、な」

「なに言うてんの、また、そんなこと考えて!
 ちょっとも判ってへんやん」

私の心配が、現実になりそうで、イヤ。


誰か、彼を助けて!!


「せやって、あの記事に書かれてるようなこと、俺やったら、しててもおかしくないって、思われたってことやろ?
 週刊誌に載せても、信用性があると思われたってことやんか。
 それは、つまり、普段の俺が・・・」

「やめて、やめて!」

私は、彼の言葉を遮った。

「そんな風に考えるのはやめて。
 そうやって、あなたが自分で自分を追い込んでいくのが怖いんだから」

自分を傷つけるものに対して、時に、彼は過剰に反応する。
信用できる人すら、彼のそばにいられないほどに、
良くも悪くも、他人を拒絶することで、自分を守ろうとする。

彼を心配してる人が、一番恐れているのは、まさに、そのことだ。

彼に、自分たちの声が、思いが、届かなくなってしまうこと。

「俺に、どないせいっちゅうねん」

それは、彼の、SOS、以外の何物でもない気がした。

「もう、どないしたらええか判らへん。
 いや、あんなん、信じる人ばっかじゃないってことは、判ってるで。
 それは判ってる。
 なんも、俺自身にやましいことなんてないねんから、
 堂々としてたらええってことも、
 気にせんと、笑い飛ばしたったらええってことも、判ってんねん」

彼の言葉は、まるで、彼自身に言い聞かせているようだ。

「辛いんは、俺を信用して、ここまで応援してくれた人に、
 また心配させてしまったことやねん。
 ほんまはな、自分の言葉で、ちゃんと伝えたいんや。
 嘘やからなって。
 心配すんなよ、大丈夫やからなって。
 せやけど、あの記事に反応したら、余計、騒ぎが大きくなる。
 直接、あの記事を思わせるようなこと、したらあかんねん」

彼の行く手を阻むのは、いつも、「大人の事情」ってやつだ。

もう、いい加減、それに慣れてしまってもいい年齢なのに、
彼は、いつでも、どんな時でも、それに振り回されてる。

それが、たとえ、彼を守るための「大人の事情」でも、
彼にとっては、ただの足枷にしかすぎない。

                                  後編へ続く



無責任ヒーロー、見参っ!

2008-10-03 01:01:41 | 関ジャニ∞
いやいや、新曲ですけども。
やっぱり、そういうテイストで行くわけですか。
楽しい曲でしたよ、うん。
でもなあ、もうそろそろしっとり系の歌でも良かったんじゃないか、と思ったりもした訳です。
新曲は∞らしいと言えば言えるんだけども。

はい。おばちゃんの戯言です。ごめんなさい。

夜が明けたら、予約に行きます。

初回版AもBも、通常版も。買わせていただきます。


Mステで、あなたの笑顔に会えるのを楽しみにしてるからね、すばる君。