すばるに恋して∞に堕ちて

新たに。また1から始めてみようかと。

祈り

2008-10-06 21:59:21 | すばる事
今日がオーラスのフラフラコン。リアルタイムの道端レポを読みながら、あの日、私が見た大阪ラストのすばる君を思い出していました。
以下は、当日コンサート直後、新幹線を待つ間に書きなぐった私的感想です。
あちらこちらのブログにお邪魔したときに書いたコメントと重複する部分もありますので、
お付き合いくださる方だけ・・・。

コメ返は後日、致します。
関ジャニ∞という枠のない、生身の渋谷すばる。
等身大の彼は、歌うためだけに今を生きている、そんな感じがしてなりません。
気負いやあせりや、力みといったもののない、ある意味、ゆるくてふわりとした温かみさえかもし出すFIVEとの音楽。ROCKでありながら、こんなにも気持ちのいい音の群れ。
MCとコントが終わるくらいまで、正直、あの日のすばる君の声は、彼本来の伸びのある艶やかさに欠けはしましたが、それさえ包み隠さず、ありのままをみせていくステージ。
アコースティックバージョンに入ってからの彼は、のども温まってきたのか、少しずつ、彼本来の調子を取り戻していたかに見えました。
ソロコンだから当たり前といえば当たり前だけれど、すばる君の声だけで聴く、ヘブンリーやエデン。アレンジの違うワッハッハー。∞メンバーのソロ曲。すばる君なりの解釈が加わったそれらは、まったく別の曲として存在しているかのようでした。
私にとって、今まで、生で聴きたくても聴けずにいた、不確かな音源で我慢するしかなかった曲の数々。
曲自体は昔と変わらないはずなのに、すばる君が重ねた経験と思いの分だけ、曲自体も沢山の養分を蓄え、枝葉を広げ、深みのある曲へと成長していました。
それは、すばる君自身にも言えること。彼の中の、何物にも揺るがない根っこの部分が、また一回り、太く逞しくなった気がしました。
変わっていくものと変わらないもの。
「これで終わりではない。ここから始まるんだ」と言ったすばる君。
彼らが踏み出した最初の一歩に立ち会えた奇跡。
∞がそうであったように、経験を積み回数を重ねることで、ファンの年齢は広がり、男女の区別なく、彼らを見守る人が増えるはずです。未知の領域なんて、なくなるんです。
彼らを本当に応援しようとする人が、心から応援できる体勢を整えていただきたいと、心底、思います。
音に楽しみ、音に癒され、
音に遊び、音に繋がり、音に戯れ、
音にはじけ、音に同化した貴重な時間。
熱気と興奮に包まれた会場を、人差し指1本で落ち着かせ、
そして響いた、すばる君の、生の声、「ありがとう」の言葉。
聞き逃したくなかった、この身に刻みつけたかった、すばる君の最後の言葉。
今までの彼の思いと、これからの決意。
道に迷い、戸惑い、悩み、歩き続けることでしか、解決できなかったもの。
失わなかった情熱が、今、あることの感謝を生み、これからの遥かな夢に繋がっていく。
五感の全てと全身全霊で「渋谷すばる」を受け止めようとした3時間半。
夏ツアーのパンフで、真実の自分を、メッセージを伝えきれていない不満を吐露していたすばる君。
私は、きちんと受け止めることができたのだろうか。
彼らの行く道に、暖かな風が吹くことを祈ります。

群青・涙 後編

2008-10-06 06:49:40 | 小説
「ねえ、やっぱり、私、今から行く。今、どこ?」

「何、言うて。あかん、あかん。明日、そっちも仕事やろ」

「そうだけど、そんなん、どうとでもなるもん」

「あかん、無理したら。お互いに続かへんって」

「今、無理しなくて、いつするの? あなたは私に会いたくないの?」

「せやから、そういうこととちゃうって、さっき、言ったやん」

わがままだってことは、判ってた。
彼が、うん、と言わないってことも。

でも、私は。
私の心は。
ただ、彼を抱きしめたくて仕方なかった。

彼の辛さも、悔しさも、憤りも、何もかもひっくるめて、
彼のそばで、彼を支えたかった。


「泣いてんのか・・・・・・?」


不意に彼が言った。
言われて初めて、私は、自分が泣いてることに気付いた。

「おまえの涙は、見たくないねん。・・・勝手言うとる、よな。
 ほんでも、おまえが俺のために泣くのを見るんは、耐えられん。
 せやから、泣かんとってくれ」

私は咄嗟に、口を押さえた。

後から後から湧き上がる思いを、必死で押し殺した。

「なあ、おまえが何を心配してるか、察しはつく。昔のこと、俺、隠してないからな。
 他人を拒絶して、自分の殻に閉じこもって、
 とことんまで堕ちていく姿を、傍で見るんは、辛いよな」


目の前にある、越えられない壁。

並び、比べられることの多いそれに向かい、
あがき、もがき続けた過去の彼を、私は、直接には知らない。

折にふれ、言葉の端々に現れる、その過去は、
突然、彼に影を落とすことがある。

たとえば、そう、まさに、今、のように。

「せやけどな。会いたいって言ってもらえて、正直、ちょっと嬉しかってん。
 束縛、するんもされるんも、性に合わんって言うてんのは、俺の方やのに、
 一番、束縛してんのは、俺、やったんやな。
 いっつも、そうやって、俺のこと、心配してくれとったのに、勝手なことばっかり言うて、
 すまんかったな」

彼の声が、急に、優しくなった。

「ホントに、一人で大丈夫なん?」

「大丈夫やって。心配性やな。
 最初から、大丈夫やって言うてたやろ。ちょっと、弱音吐いてみただけや」

「あなたが弱音吐くやなんて、それだけで、いつもと違う証拠でしょ」

「そやな、違うな。けど、たまには、甘えさせぇや。
 最近は、なかなか会われへんから、こんなことでもないと、
 俺にはおまえがおるってこと、忘れそうやわ」

「忘れるんだ、私のこと」

「いやいや、言い方悪かった、違うって、ちゃうちゃう。
 甘えてもええ場所があるっていう意味や。誤解したら、アカン」

「あなたが私のこと忘れんうちに、会いたいな。次、いつ会えんの?」

「これで夏が始まったからな、いつやろな」

「あかんやん。完全っに忘れられるわ」

軽口を叩きながら、調子にのって、つい、彼に尋ねてしまった。

「ねぇ、聞いてもええ? 怒らんとってくれる?」

「なんや?」

「仕事、楽しい?」

「急やな」

言葉の隅で、彼が笑った。

「こんなこと、これからだってあるかもしれへんのよ? それでも、続けて行きたい?」

「当たり前やろ」

即答、だった。

「そら、最初は、自分でも何でこの仕事してるか、判らんかったで。
 始まりはオカンに付いて来いって言われたからやけど、でも、最終的に選んだんは自分やねんから、
 好きじゃなかったら、続かへん」

「安心した、良かった」

「ほんなら、俺からも聞いてええか?」

「なに?」

「毎日、楽しいか?」

「楽しいに決まってるやん、当たり前でしょ」

「こんなふうに、俺のことで心配ばっかしてんのにか?
 思うように会われへんし、俺、仕事になったら、おまえのこと忘れてんねんで」

「忘れられちゃうんは、ちょっと、哀しいけど、な。楽しいんは、ほんまよ。
 あなたのこと心配するんだって、あなたのこと、好きやからやもん。
 好きって気持ちに嘘はないし、それに・・・」

「それに?」

「あなたが仕事楽しんでるって判ったから、嬉しい」

「そうか、それ聞いて、俺も安心したわ」


彼の声は、もう、いつもの輝きを取り戻したように思えた。


私の大スキな、少し低めの彼の声が、受話器の向こうから響く。

「俺も、おまえのこと、好きやからな。今回のことで、おまえの気持ちが確認できて、よかったわ。
 たまには、スキャンダルも、書かれてみるもんやな」

「また、そんなこと言うて」



彼がこの仕事を続ける限り、いつかまた、同じことが起こるかもしれない。

けれど、彼は、以前の、
他を拒絶することで自分を守っていた頃の彼じゃない。

淋しさと悲しみと、憤りと悔しさと。

いろんなものの溶け込んだ涙は、もう、
彼には、

必要ない。


                       FIN.



続きで、あとがきです。

おつきあい、ありがとうございました。
そして、ごめんなさい 過ぎたことを蒸し返すようなお話で。
でも。
あの記事がでたとき、なにより先に考えたのは、すばる君のことでした。
記事を信じる、信じない、ということよりも、真実がどうであろうとも、
あの記事が出た、という事実に、彼が、傷つくことの方が怖かった。
彼が、もう26歳の、一人前のオトナの男性だということも忘れて、出来る事なら、何も見せず聞かせず、
煩わしいことから彼を守りたかった。
出来るはずがないのに。私には何の力もないのに。
せめてコンサートだけででも応援したかったのに、チケットの取れた大阪は、まだ随分先のことで。
飛んで行きたい、抱きしめたい。
その思いだけで、書き上げました。