前書きです。
どうということのない、一場面です。
相手は、ほんとは女の人のはずで書き始めたんですけど、
いきなり、彼が乱入してきたので、
いいや、もう。ってことで、こうなりました。
妄想の種は、どこかの番組だったかインタビューだったかで、
すばる君が、まだ、昔の彼女を忘れきれてないんかも・・・って、答えたことです。
どんな恋だったんだろう?
相手がうらやましいけど。
続きで、本編です。
パラパラパラ・・・・・・
窓を叩く雨の音に、俺は、浅い眠りから引き戻された。
カーテンの向こうは、まだ夜の気配。
薄暗い間接照明のなか、テレビの砂嵐が、かすかな音をたてている。
わずかに香る、アロマ。
テーブルに残るグラスに、注いだままのビール。
食べかけたツマミと、散らかった雑誌。
傍らに、ギターと五線譜の束。
見慣れない部屋が、そこにある。
俺はソファに座り直す。
酔いと眠気とが、まだ俺の身体を支配しているせいか、
思考回路が、うまくつながらない。
今、何時、だ?
いや、違う。
ここは、どこ、だ?
俺はなぜ、ここに、いる?
いったい、なにが起きた?
考えようとして、
でも、記憶がはっきりしないことに、俺は少し、イラついた。
雨の音が激しくなった、と思ったとき、
部屋の電気が明るくなった。
「目、覚めたんや」
聞きなれた声が、した。
「シャワーでも浴びてきたら、どう? スッキリするで」
「おまえ、ここ、どこや」
「なんや、覚えてへんの? まあ、だいぶ、酔っとったからな、しゃあないか。
俺の部屋やん」
上半身裸に、ハーフパンツのそいつは、髪をバスタオルで拭きながら、
キッチンカウンターの向こうに消えた。
戻ってきたとき、その手には、ミネラルウォーターのボトルが握られていた。
「飲む? それとも、シャワー先にした方がええかな。 汗、かいてへん?」
「あ、あぁ、じゃあ、シャワーにするわ」
立ち上がった俺に、そいつは、
「知ってる、と思うけど、タオルは洗面台横のボックス棚の中やで。
着替えも、俺のんで良かったら、棚にはいってるわ」
「ん、すまんな」
熱いシャワーを浴びているうち、
次第に、俺の頭も、はっきりしてきた。
昨夜、久しぶりに仕事が早く終わったから、
メンバー同士でメシ行こうってことになったんやった。
気ノリのしないときには、行く気にはなられへんけど、
昨日は、俺のテンションも妙に高いままやったから、
誘いにのっかって・・・。
メシ食ってから、なんや飲みたらんかった俺は、
曲作りの打ち合わせと口実つけて、
あいつの部屋に、上がりこんだんやった。
バカ話して、酒飲んで、
戯れにギター弾いたりしたけど、
酔ってるから、曲なんかできるはずもないし、
結局、DVD見てるうちに、寝てしもうたんやな。
あいつはあいつで、
何かしたいこと、あったかもしれへんのに、
悪いこと、してしもうたな。
シャワー浴び終わって、リビングに戻った時、
あいつは床に座り込み、
スケッチブックに向かって、ペンを走らせてるとこやった。
「のど、渇いてない? 何か、飲むんやったら・・・」
手を止めて、立ち上がろうとしたあいつを、俺は制した。
「勝手にやってええなら、自分でやるわ」
「ええよ、冷蔵庫のもん、勝手に飲んでも」
俺は、小さな冷蔵庫を開けた。
中には、ミネラルウォーターと野菜ジュース、サイダー、ビール。
飲むもんばっかり。
どっかで見た光景と一緒な気がして、笑える。
まるで、自分の部屋の冷蔵庫の中身と一緒や。
男の一人暮らしなんて、どこもこんなもんなんか?
俺は、一番手前にあったミネラルウォーターのボトルを手に取った。
後編へ続く。
どうということのない、一場面です。
相手は、ほんとは女の人のはずで書き始めたんですけど、
いきなり、彼が乱入してきたので、
いいや、もう。ってことで、こうなりました。
妄想の種は、どこかの番組だったかインタビューだったかで、
すばる君が、まだ、昔の彼女を忘れきれてないんかも・・・って、答えたことです。
どんな恋だったんだろう?
相手がうらやましいけど。
続きで、本編です。
パラパラパラ・・・・・・
窓を叩く雨の音に、俺は、浅い眠りから引き戻された。
カーテンの向こうは、まだ夜の気配。
薄暗い間接照明のなか、テレビの砂嵐が、かすかな音をたてている。
わずかに香る、アロマ。
テーブルに残るグラスに、注いだままのビール。
食べかけたツマミと、散らかった雑誌。
傍らに、ギターと五線譜の束。
見慣れない部屋が、そこにある。
俺はソファに座り直す。
酔いと眠気とが、まだ俺の身体を支配しているせいか、
思考回路が、うまくつながらない。
今、何時、だ?
いや、違う。
ここは、どこ、だ?
俺はなぜ、ここに、いる?
いったい、なにが起きた?
考えようとして、
でも、記憶がはっきりしないことに、俺は少し、イラついた。
雨の音が激しくなった、と思ったとき、
部屋の電気が明るくなった。
「目、覚めたんや」
聞きなれた声が、した。
「シャワーでも浴びてきたら、どう? スッキリするで」
「おまえ、ここ、どこや」
「なんや、覚えてへんの? まあ、だいぶ、酔っとったからな、しゃあないか。
俺の部屋やん」
上半身裸に、ハーフパンツのそいつは、髪をバスタオルで拭きながら、
キッチンカウンターの向こうに消えた。
戻ってきたとき、その手には、ミネラルウォーターのボトルが握られていた。
「飲む? それとも、シャワー先にした方がええかな。 汗、かいてへん?」
「あ、あぁ、じゃあ、シャワーにするわ」
立ち上がった俺に、そいつは、
「知ってる、と思うけど、タオルは洗面台横のボックス棚の中やで。
着替えも、俺のんで良かったら、棚にはいってるわ」
「ん、すまんな」
熱いシャワーを浴びているうち、
次第に、俺の頭も、はっきりしてきた。
昨夜、久しぶりに仕事が早く終わったから、
メンバー同士でメシ行こうってことになったんやった。
気ノリのしないときには、行く気にはなられへんけど、
昨日は、俺のテンションも妙に高いままやったから、
誘いにのっかって・・・。
メシ食ってから、なんや飲みたらんかった俺は、
曲作りの打ち合わせと口実つけて、
あいつの部屋に、上がりこんだんやった。
バカ話して、酒飲んで、
戯れにギター弾いたりしたけど、
酔ってるから、曲なんかできるはずもないし、
結局、DVD見てるうちに、寝てしもうたんやな。
あいつはあいつで、
何かしたいこと、あったかもしれへんのに、
悪いこと、してしもうたな。
シャワー浴び終わって、リビングに戻った時、
あいつは床に座り込み、
スケッチブックに向かって、ペンを走らせてるとこやった。
「のど、渇いてない? 何か、飲むんやったら・・・」
手を止めて、立ち上がろうとしたあいつを、俺は制した。
「勝手にやってええなら、自分でやるわ」
「ええよ、冷蔵庫のもん、勝手に飲んでも」
俺は、小さな冷蔵庫を開けた。
中には、ミネラルウォーターと野菜ジュース、サイダー、ビール。
飲むもんばっかり。
どっかで見た光景と一緒な気がして、笑える。
まるで、自分の部屋の冷蔵庫の中身と一緒や。
男の一人暮らしなんて、どこもこんなもんなんか?
俺は、一番手前にあったミネラルウォーターのボトルを手に取った。
後編へ続く。