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シェアサイクル:草加市が直面する課題と広がる可能性

2024年07月04日 | 市政・議会・活動など

草加市議会6月定例会で、シェアサイクル事業について質問しました。

市民の税金で購入した公有地を事業者に無償貸付していることへの疑問や、事業の持続可能性を確保するための提言などをおこないました。

 

■シェアサイクルの経緯

草加市では2021年1月に、シェアサイクル事業者と協定書を締結し、シェアサイクルの実証実験をはじめました。この協定書は、公共交通の補完や、災害等における移動手段の確保など、シェアサイクルの有効性や課題等を検証するために、事業者と協働で行う実証実験に関して必要な事項を定めたものです。

【協定書の概要】

  • 市の役割:公有地の提供や実証実験の周知等を行う
  • 事業者の役割:シェアサイクルの利用に必要なアプリの提供や、民有地でのサイクルポート確保・設置、自転車のメンテナンス等を行う
  • 使用料:公有地の使用料は無償提供(ゼロ円)
  • 維持管理費等:全額事業者の負担
  • 協定期限:2023年3月31日まで

 

その後、2023年4月1日に協定内容が次の通り変更されました。

  1. 実証実験を2026年3月31日まで延長
  2. 実施場所を谷塚地区から草加市内全域に拡大
  3. 事業拡充のためシェアサイクル事業者を1者追加

 

サイクルポートの設置数は当初、公有地6カ所でスタートしました。年々拡大し、現状では公有地17カ所を含む41カ所に増えています。

【サイクルポートの設置数】

  • 導入時:設置場所6ヶ所、80台(すべて公有地)
  • 現 状:設置場所41ヶ所、330台(うち公有地は17ヶ所、140台)※2024年4月15日現在

 

■持続可能性に向けた利用分析

シェアサイクル事業は、市民にとって便利な移動手段となる可能性を秘めていますが、同時に、採算性などによる事業の持続可能性への懸念もあります。草加市によると、事業の有効性を検証するため、利用データの分析やアンケート調査などを継続的に行っているとのことです。その主な検証状況です。

  • 事業者から提供された時間帯別や曜日別の利用回数などの様々な利用データを分析
  • 駅周辺にあるサイクルポートからの利用が多く、公共交通を補完する役割を担っている
  • バス停から少し距離のあるサイクルポートの利用も多く、駅から離れた郊外への設置要望がある
  • 市民にとって利便性のある移動手段になりつつある

さらに、草加市は「2021年10月に発生した地震による電車遅延の際、シェアサイクルの利用が一時的に伸びたことから、災害時の移動手段にもなりうる」との見解も示しました。

 

■無償貸付の妥当性

草加市は現在、シェアサイクル事業の実証実験の一環として、公有地を事業者に無償貸付しています。しかし、議会で次の点について指摘しました。

  • 公平性の観点: 自動販売機や駐車場など、他の公有地貸付では収入を得ているのに、シェアサイクル事業ではなぜ無償なのか?
  • 競争の公平性: 無償貸付は、事業者にとって優遇措置となり、競争の公平性を損なうのではないか?
  • 将来的な見通し: 今後、事業が本格化すれば、公有地の利用料を徴収すべきではないのか?

公平性の観点について、草加市が保有する公有地は、自動販売機や駐車場などで貸し付けている土地があります。その土地貸付収入について、2022年度は自動販売機が約1143万円、駐車場が249万円の収入(※)となっています。

公有地は市民の税金で購入した市民の財産です。なぜシェアサイクル用に無償で貸し付けているのか?質問しました。この疑問は、導入当初から市に投げかけてきました。

質問に対して市は、「公共交通の補完や交通利便性の向上等を目的として、シェアサイクル事業の実証実験を行っていることから、無償で提供することとした」とし、無償貸付が妥当であると説明しました。

ただし、今回の質問で有償化の協議は可能との認識を初めて示しました。現在の協定において有償化を含めた協議が可能なのか質問したところ、市は「協定書に基づき、協議を行うことは可能であると考えている」と説明しました。

(※)自動販売機は、主に行政財産使用許可(基本料+電気料)、賃貸借契約及び公園施設設置許可(基本料+電気料+売上変動分)の2パターンで70台(48施設)貸し付け。駐車場は、1台当たりの賃借料に基づき貸し付け。

 

■いつから本格実施に移行?

当初の協定では「2023年3月31日まで」だった実証実験が、協定変更により「2026年3月31日まで」に延長されています。2023年4月からは本格実施に移り、他事業との公平性の観点からも有償化されるかと思っていました。しかし、無償貸付の根拠としている実証実験が延長され、現在に至っています。

結局、いつから本格実施に移行するのか?市に質問しました。

この点について市は、「事業の有効性を見極めるとともに、他自治体の動向も踏まえた上で、本格実施の時期を検討したい」と答弁し、明言を避けました。再延長の可能性を否定しませんでした。

 

 

■有償化に向けた協議を市長に提案

シェアサイクルは新たな移動手段としての、今後も広げていくべき施策です。そのためには、公平・公正なルールや、市、事業者、市民・利用者、みんなにとってメリットとなる事業に発展させていくことが大切です。公有地貸付の有償化に向けた協議をおこなうよう市長に求めました。

提案に対して、山川百合子草加市長は以下のように答弁しました。

「近年の高齢化の進展や、慢性的な運転士不足等により、現状の公共交通サービスの維持・確保は困難な状況となっており、公共交通を取り巻く環境は厳しいものとなっております。一方、シェアサイクルの利用回数は、年々、増加傾向にございます。このような状況の中、本市といたしましては、鉄道やバスが利用しづらい地域において、シェアサイクルは公共交通を補完する新しい移動手段の一つになりうると認識してございます。公有地を有償で貸し出すことにつきましては、他自治体の事例及び動向を踏まえるとともに、近隣自治体とも調整したうえで、事業者と協議を行ってまいりたいと考えております。」

 

■まとめ

今後、草加市は、データ分析や市民との意見交換を積極的に行いながら、公有地利用のあり方、事業採算性の確保、ルール整備などについて取り組んでいく必要があります。市、市民、事業者が協力し、これらの課題を克服することで、草加市のシェアサイクル事業は、真に持続可能なものとなり、市民の生活に貢献していくことができるでしょう。


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