ゴミ焼却場と堆肥化施設の整備費105億円増に－計画見直しへ【東埼玉資源環境組合】

■国の交付金が75億円減額➡自治体負担に

東埼玉資源環境組合（リユース）では現在、越谷市にある第一工場ごみ処理施設（ごみ焼却場）の更新に向けた検討が進められています。

建物自体は既存施設を活用して、施設内にあるプラントを更新する予定です。工事期間は2027年度から2037年度までの11年間を想定し、総事業費744億円もの巨大な事業となります。

当初の見通しでは、総事業費のうち194億円を国からの交付金でまかなえる見込みでした。しかし、環境省から交付金の算定基準見直しの通知（3月29日付）が出されました。この通知をもとにリユースが再計算したところ、もらえる交付金が当初より75億円も減額されて119億円に減ることになるとのことです。国からの紙一枚で、草加市を含む５市１町の負担額が75億円も増えることになってしまいました。【表１】

 

【表１】第一工場ごみ処理施設更新費用の財源内訳

 

 

■計画を再検討中

リユースによると、第一工場ごみ処理施設は１日200トンのごみを燃やせる焼却炉が4つあり、合計800トンを燃やすことができます。プラント更新はそれと同規模の800トンを確保する計画となっています。

そのうち、これまでの国の交付金の算定基準では、第一工場ごみ処理施設の交付対象（建設トン単価上限値）は682トン/日でした。しかし、算定基準や方法が見直され524トン/日まで縮小されました。結果、交付額が大幅減となりました。

2024年度から、プラント更新に向けて構成市町からリユースへの分担金が大幅に引き上げられていきます。草加市の場合、2023年度の約7億5千万円から、2024年度は約11億8千億円まで増加しました。【表２】

構成市町の財政状況も厳しいなか、さらなる財政負担増は困難な状況にあります。財政計画の見直しが不可欠です。そもそも、家庭系ごみは減少傾向にあり、廃プラなどさらなるゴミの削減策等も含めた検討とともに、プラント更新規模などの再検討も必要です。リユースでは現在、整備計画の見直し作業が進められており、今年度に策定される財政計画2024の方向性が非常に重要となっています。

 

【表２】草加市の東埼玉資源環境組合負担金（廃棄物・し尿処理）

 

■堆肥化施設は30億円増額か

第一工場ごみ処理施設の隣にある堆肥化施設も老朽化により、近くの敷地に建てかえる計画となっています。組合の計画では、土地の購入費や建設費などを含めた総事業費は14億円を見込んでいました。

堆肥化施設は、公園や一般家庭、河川敷等から出されたせん定枝や刈草を、焼却処分せずに堆肥化し資源として有効活用する施設です。

昨年8月から今年3月にかけて地元説明会がおこなわれ、臭気や騒音等についてのご意見・ご要望が寄せられました。リユースでは、ご要望への対応として脱臭設備や密封構造など建物自体の構造を変える検討をおこなったとのことです。それにより、総事業費が当初より30億円増額の44億円規模になるとしました。（5月10日、特別委員会より）

堆肥化施設の再整備についてもゼロベースからの再検討が不可欠です。

 

■合計105億円の自治体負担増／計画見直しへ

草加市を含む構成市町では、プラント更新の国交付金削減で75億円、堆肥化施設で30億円、あわせて105億円もの負担増になります。構成市町の市長・町長による理事会でも再検討について協議がおこなわれているとのこです。組合議会でも様々な可能性を検討しながら解決策を見出せるよう議論を進めていきます。

 

【写真】第一工場ごみ処理施設（東埼玉資源環境組合ホームページより）

（画像をクリックすると組合ホームページに移動します）

 

※リユース議会について

東埼玉資源環境組合（リユース）は、草加市と越谷市、八潮市、三郷市、吉川市、松伏町の埼玉県東南部地区5市1町が共同で可燃ごみやし尿を処理する組織（一部事務組合）です。同組合の議会では、第一工場ごみ処理施設プラント更新特別委員会を設置し、組合執行部から施設更新の状況報告や協議をおこなっています。草加市議会選出の組合議員からは、鈴木由和議員と佐藤憲和が特別委員に選出されています。当ブログ記事は、5月10日におこなわれた特別委員会の資料などをもとに作成しました。（2024年5月時点の情報です）