殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

ちょっとお出かけ?

2009年05月25日 17時03分07秒 | みりこんぐらし
昔、ちょこっと死にかけたことがある。

なぜそうなったかを話すのは非常に恥ずかしい。

いつもはだらしないくせに

ふすまの鴨居の上を掃除しようと思い立ったことから始まる。


私の背が低かったら、あっさり脚立を使っただろう。

届きそうで届かない部分を拭くために

取りいだしましたるはお子様イス。

低いお子様イスの上に立ち、バランスをとるために

夫のベルトをぶら下げてつかまったまではよかった。





どうしてそうなったのかはわからないのだが

とにかくイスは転がり、私はベルトで首つり状態になった。

そのまま意識を失う。





気がついたら、私はゴツゴツした粗い岩肌の

山らしき場所を群衆に混じって歩いていた。

一人じゃないことに安堵しながら、無言で進む。

周囲は日本人だけだったと思うが、圧倒的に老人多数。


ぽっかりと大きな洞窟…鍾乳洞の入り口みたいな所へ着くと

みんなゾロゾロと穴の中に入って行く。


穴の中はやはり岩々していたが、意外にハイテクなのだ。

目に前に大きなスクリーンがあって

映画みたいなものが見られる。

やはり岩で出来たお立ち台みたいなのに立つと

自動的に上映される仕組みらしい。


お立ち台に立つ人は次々に代わり

今は、さっきまで並んで歩いていたおじいさんだ。

映画は一瞬の上映時間で、お立ち台に立った人の生涯をたどる。

目にも止まらぬ早さなのに、なぜか内容は一同に理解される。

おじいさんは、生まれたり、結婚したり、戦争に行ったりしている。


それを眺めているのは、我々岩山ツアーの面々だけではない。

見えないのだが、それが元々岩山ハイテクアジトを

所有する方々であることだけはわかるのだ。





あっという間に順番が来て、私がお立ち台に立つ。

誰に促されたのでもない…ただ自分の順番だとわかるのだが

これが相当恥ずかしい。


まず真っ赤な、母の産道を明るいほうへ向かって進むところから始まる。

いいことも、悪いことも、思ったことも、全部上映される。

しかも、いいことは早回し

悪いこと、恥ずかしいことはスローになる。


近所のおばさんの愛読書「婦人倶楽部」を盗み読みしている私。

猫に無理矢理首輪をつけて、犬として扱おうとしている私。

子供の夜泣きがうるさくて、殺意を感じる私。

しきりに誰かの悪口を言っている私。


ストーリーはどんどん進んで

お子様イスに立ち、ベルトにつかまったところまで来た。

イスが傾き、ベルトの輪っかに顔を突っ込んだところで終了だ。


わ~!と思ったら意識が遠のき、今度はお花畑。

見渡す限り、足首くらいの高さの花が一面に咲き乱れ

とてもいいにおいがする。

私はひとりぼっちになっていた。





少し先に赤い小さなタイコ橋がかかっている。

とってもラブリ~。


橋の向こう側も、やはり美しい花がいっぱい咲いている。

花の地平線だ。

橋に近づいてみると、その下を浅い川が流れていた。

水は澄んでおり、川面から丸い小石が見える。


橋を渡って向こう岸へ行ってみてもいいのだが

私はどこかでわかっている。

それが迎えが来ないと渡れない橋だということを。


待てど暮らせど誰も来ない。

しかたがないので、花の中に寝転んだ。


目が覚めたら自分の家のユカだった。

首がしまったからなのか、落下して打ったからなのか

すごく頭が痛い。

牛革の太いベルトが、刃物で切ったように真っ二つになって

鴨居からぶら下がっていた。

そのまま起きて、風呂に入って寝た。


もしも「あの世」みたいな所があり、そこへ行ったら

戸惑わなくても大丈夫。

そこでのスケジュールは、自分のどこかにセットされているみたい。

それだけ。ははは~。
コメント (14)
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