殿は今夜もご乱心

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ハリウッド・メモリー

2010年12月08日 09時00分28秒 | みりこんぐらし
私のカラオケの十八番は、郷ひろみの“ハリウッド・スキャンダル”。

前にも書いたが、好きで歌いたい歌と

宴会で歌う盛り上げソングは、別ものとして区別している。

好きな歌と、宴会用の歌とが同じなら問題は無いはずだが

元々歌がヘタなので、そんな器用なことはできんのじゃ。


宴会用としては、従来の山本リンダの他に

近年ではメンバーが揃えば、矢島美容室などにも手を染めている。

なんとか歌えるようになった頃、いささか古手の歌になっているのが

中高年の哀しいところ。


ハリウッド・スキャンダルは、歌いたい歌。

イントロが華やかだし、音域が狭く

スローテンポなのでついて行きやすい。

だから、気の置けない仲間内だけの時に歌うようにしている。


ところがここ最近、歌えなくなった。

原因は、同級生の祐太朗。

先月あった、同級生の飲み会のことであった。


♪女と見たらば すぐ誘い出す♪

目の前に座っていた祐太朗が、ボソッとつぶやいた。

「あ~、みりこんの旦那のことか~…」


彼は、決して人を茶化すような人間ではない。

子供の頃から、穏やかで優しく、人望厚い秀才で

みんなのお兄ちゃんみたいな存在である。

その彼が、誰に言うわけでもなく、ほろ酔いでそんなことをつぶやいたのだ。

ブッと吹き出しそうになるが、一曲ナンボと思うと

セコい私は、何が何でも歌おうと心に誓う。


♪薬をたくさん 飲んだけれども♪

   「ああ、年だからなあ…あっちこっちなあ…」

♪眠っただけよ まだ生きてると♪

   「良かったのう…」

♪君 髪の芯まで びっしり びっしり 君 髪の芯まで♪

   「白髪だったよ~…」

さっき、忙しくて白髪を染められなかったと話していた

女の同級生に向いて、祐太朗は、軽く歌っておるではないか。

   
もうダメ。

変に無理をしたのが悪かった。

頬肉が自動的に持ち上がり、口が勝手にゆるんで

意志と関係なくヒヒヒと笑ってしまう。

ツボにすっぽりハマッてしまったのだ。


十八番を失った私は、当惑した。

このところ飲み会が頻繁なのに、歌う歌が無い。

しばらくこれ一曲で、乗り切っていたというのに。


そしてまたまた先日、今度は同級生の忘年会があった。

当たり前だが、やはり祐太朗がいる。

あの時の笑いが、さらに強烈にこみ上げてくる。

もうハリウッド・スキャンダルは、完全にあきらめねばなるまい。


眉間にシワを寄せ、重たい歌の本をめくるなんぞ

私にはできない…できやしない…

だって、メンドクサハズカシイのだ。

お待たせしたって、お時間いただいたって

たいしたものは出てこんのだ。

「え~?次、ワタシ~?」なんてもったいぶるより

義務はサッサと終わらせて、おしゃべりに興じるほうが性に合っている。


そこでひらめいたのが、松田聖子の“スイート・メモリー”。

とあるブログに貼り付けてあったのを思い出したのだ。

いや~、ブログも時には役に立つ。


コマーシャルに出てくるペンギンのつもりか

別のマイクを取り、バックコーラスを始める者達もいて

そこそこの盛り上がりを見せた。

祐太朗、ポツリといわく…

「紆余曲折乗り切った感じが、聞かせたよ…」

新たな十八番が見つかり、満足の夜であった。
コメント (78)
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