私のカラオケの十八番は、郷ひろみの“ハリウッド・スキャンダル”。
前にも書いたが、好きで歌いたい歌と
宴会で歌う盛り上げソングは、別ものとして区別している。
好きな歌と、宴会用の歌とが同じなら問題は無いはずだが
元々歌がヘタなので、そんな器用なことはできんのじゃ。
宴会用としては、従来の山本リンダの他に
近年ではメンバーが揃えば、矢島美容室などにも手を染めている。
なんとか歌えるようになった頃、いささか古手の歌になっているのが
中高年の哀しいところ。
ハリウッド・スキャンダルは、歌いたい歌。
イントロが華やかだし、音域が狭く
スローテンポなのでついて行きやすい。
だから、気の置けない仲間内だけの時に歌うようにしている。
ところがここ最近、歌えなくなった。
原因は、同級生の祐太朗。
先月あった、同級生の飲み会のことであった。
♪女と見たらば すぐ誘い出す♪
目の前に座っていた祐太朗が、ボソッとつぶやいた。
「あ~、みりこんの旦那のことか~…」
彼は、決して人を茶化すような人間ではない。
子供の頃から、穏やかで優しく、人望厚い秀才で
みんなのお兄ちゃんみたいな存在である。
その彼が、誰に言うわけでもなく、ほろ酔いでそんなことをつぶやいたのだ。
ブッと吹き出しそうになるが、一曲ナンボと思うと
セコい私は、何が何でも歌おうと心に誓う。
♪薬をたくさん 飲んだけれども♪
「ああ、年だからなあ…あっちこっちなあ…」
♪眠っただけよ まだ生きてると♪
「良かったのう…」
♪君 髪の芯まで びっしり びっしり 君 髪の芯まで♪
「白髪だったよ~…」
さっき、忙しくて白髪を染められなかったと話していた
女の同級生に向いて、祐太朗は、軽く歌っておるではないか。
もうダメ。
変に無理をしたのが悪かった。
頬肉が自動的に持ち上がり、口が勝手にゆるんで
意志と関係なくヒヒヒと笑ってしまう。
ツボにすっぽりハマッてしまったのだ。
十八番を失った私は、当惑した。
このところ飲み会が頻繁なのに、歌う歌が無い。
しばらくこれ一曲で、乗り切っていたというのに。
そしてまたまた先日、今度は同級生の忘年会があった。
当たり前だが、やはり祐太朗がいる。
あの時の笑いが、さらに強烈にこみ上げてくる。
もうハリウッド・スキャンダルは、完全にあきらめねばなるまい。
眉間にシワを寄せ、重たい歌の本をめくるなんぞ
私にはできない…できやしない…
だって、メンドクサハズカシイのだ。
お待たせしたって、お時間いただいたって
たいしたものは出てこんのだ。
「え~?次、ワタシ~?」なんてもったいぶるより
義務はサッサと終わらせて、おしゃべりに興じるほうが性に合っている。
そこでひらめいたのが、松田聖子の“スイート・メモリー”。
とあるブログに貼り付けてあったのを思い出したのだ。
いや~、ブログも時には役に立つ。
コマーシャルに出てくるペンギンのつもりか
別のマイクを取り、バックコーラスを始める者達もいて
そこそこの盛り上がりを見せた。
祐太朗、ポツリといわく…
「紆余曲折乗り切った感じが、聞かせたよ…」
新たな十八番が見つかり、満足の夜であった。
前にも書いたが、好きで歌いたい歌と
宴会で歌う盛り上げソングは、別ものとして区別している。
好きな歌と、宴会用の歌とが同じなら問題は無いはずだが
元々歌がヘタなので、そんな器用なことはできんのじゃ。
宴会用としては、従来の山本リンダの他に
近年ではメンバーが揃えば、矢島美容室などにも手を染めている。
なんとか歌えるようになった頃、いささか古手の歌になっているのが
中高年の哀しいところ。
ハリウッド・スキャンダルは、歌いたい歌。
イントロが華やかだし、音域が狭く
スローテンポなのでついて行きやすい。
だから、気の置けない仲間内だけの時に歌うようにしている。
ところがここ最近、歌えなくなった。
原因は、同級生の祐太朗。
先月あった、同級生の飲み会のことであった。
♪女と見たらば すぐ誘い出す♪
目の前に座っていた祐太朗が、ボソッとつぶやいた。
「あ~、みりこんの旦那のことか~…」
彼は、決して人を茶化すような人間ではない。
子供の頃から、穏やかで優しく、人望厚い秀才で
みんなのお兄ちゃんみたいな存在である。
その彼が、誰に言うわけでもなく、ほろ酔いでそんなことをつぶやいたのだ。
ブッと吹き出しそうになるが、一曲ナンボと思うと
セコい私は、何が何でも歌おうと心に誓う。
♪薬をたくさん 飲んだけれども♪
「ああ、年だからなあ…あっちこっちなあ…」
♪眠っただけよ まだ生きてると♪
「良かったのう…」
♪君 髪の芯まで びっしり びっしり 君 髪の芯まで♪
「白髪だったよ~…」
さっき、忙しくて白髪を染められなかったと話していた
女の同級生に向いて、祐太朗は、軽く歌っておるではないか。
もうダメ。
変に無理をしたのが悪かった。
頬肉が自動的に持ち上がり、口が勝手にゆるんで
意志と関係なくヒヒヒと笑ってしまう。
ツボにすっぽりハマッてしまったのだ。
十八番を失った私は、当惑した。
このところ飲み会が頻繁なのに、歌う歌が無い。
しばらくこれ一曲で、乗り切っていたというのに。
そしてまたまた先日、今度は同級生の忘年会があった。
当たり前だが、やはり祐太朗がいる。
あの時の笑いが、さらに強烈にこみ上げてくる。
もうハリウッド・スキャンダルは、完全にあきらめねばなるまい。
眉間にシワを寄せ、重たい歌の本をめくるなんぞ
私にはできない…できやしない…
だって、メンドクサハズカシイのだ。
お待たせしたって、お時間いただいたって
たいしたものは出てこんのだ。
「え~?次、ワタシ~?」なんてもったいぶるより
義務はサッサと終わらせて、おしゃべりに興じるほうが性に合っている。
そこでひらめいたのが、松田聖子の“スイート・メモリー”。
とあるブログに貼り付けてあったのを思い出したのだ。
いや~、ブログも時には役に立つ。
コマーシャルに出てくるペンギンのつもりか
別のマイクを取り、バックコーラスを始める者達もいて
そこそこの盛り上がりを見せた。
祐太朗、ポツリといわく…
「紆余曲折乗り切った感じが、聞かせたよ…」
新たな十八番が見つかり、満足の夜であった。