殿は今夜もご乱心

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モンちゃん去る・続報1

2025年01月14日 14時53分36秒 | みりこんぐらし
昨年末に働かないご主人を捨て、家を出たモンちゃんと先日会った。

前の晩、急きょ決まったのだ。


その前日、仲良し同級生マミちゃんは

経営する洋品店のお客さんから

突然モンちゃんの携帯番号をたずねられた。

そのお客さんは、地元に住むモンちゃんの親戚。

マミちゃんは携帯番号を教えてもいいかどうか

モンちゃんにLINEで聞いた。


しかしモンちゃんが言うには

「これまで何十年、その人とは没交渉で

今さら話をする用件は無いから教えないで」

だそう。

この時、私も発言した。

「何十年ぶりかで急に連絡先を知りたがる人の話は

ろくな内容じゃないけん無視した方がいい」。


私が懸念したのは、モンちゃんのご主人キンテン君。

彼がそれとなく人づてに、モンちゃんの行方を探しているのではないか…

たとえそうでなかったとしても

今はモンちゃんの連絡先を誰かに伝えるのは避けた方がいい…。


だからマミちゃんは

「携帯番号を変えたみたいで、私もわからないんです」

と返事をした。

お客さんは、残念そうだったという。


この一件からマミちゃんと私は

危険を水際で防ぐには、誰にどこまで秘密にしたらいいのかを

ちゃんと本人に確認しようという結論に達した。

モンちゃんは長年、農協の受付をしていたので

不特定多数の人に顔を知られている。

彼女が家を出た噂が広まると、その目撃情報から

キンテン君がおよその居場所を知ることだって無いとは言えない。

仕事嫌いが祟って年金の少ない彼は

モンちゃんの稼ぎが無ければたちまち生活に困窮する。

必死で居場所を探しているはずなので、しっかり話し合っておかなければ。


ということで、モンちゃんロスになっている我々は

彼女の顔を見たいのもあり、いっそ会いに行こうと決めた。

モンちゃんは、我々の提案を喜んだ。

彼女の住む町は、隣市の郊外。

スーパーの駐車場で待ち合わせた。


モンちゃんに会うのは昨年11月の末

横浜から帰省したけいちゃんを囲んで食事をして以来

実に1ヶ月半ぶりである。

この何十年、こんなに長く会わなかったことは無いので

懐かしかった。


彼女は相変わらず、痩せ細った世田谷姉妹みたいな外見だが

ストレスから解放されて綺麗になっとるじゃないか。

「この分じゃあ高血圧も甲状腺も、緑内障だって良くなるかもよ!」

輝くようなモンちゃんに安心した私は言った。


「まさか緑内障までは…」

「いいや!何もかもキンテンが悪いんじゃ!」

アハハ…アハハ…笑い転げる3人。

やっぱりこのトリオは楽しい。

それぞれが素でいられる友だちだ。


さっそくランチに繰り出す。


牛ホホ肉の赤ワイン煮のコース。

味は悪くなかったが、肉を盛ったスキレットを

あらかじめ温めておく配慮が無かったので、料理はすぐに冷め

「この次は無いね」と言い合ったのはさておき

いつも小食のモンちゃんが、この日は食欲旺盛でびっくりした。

嫌な旦那と離れたら、こうも変わるものなのか。

でもわかるよ…私も実家の母サチコが入院して以来

胃の調子が良くなって食欲が出たもんね。



食事をしながらモンちゃんが話すには

人権センターに相談したのは近所の人の勧めだったそう。

このところキンテン君は大声を出して、モンちゃんを罵るようになった。

この秋は暑かったので、どこの家も窓を開けており

彼の大声が近所にも筒抜けだったらしく

見かねたその人がモンちゃんに言った。

「このままじゃ、危ない。

市の人権センターに、女性を保護する機関がある。

悪いことは言わないから相談してみなさい」


その人は十年余り前、キンテン君の母親…

つまりモンちゃんの姑さんが生きていた頃

キンテン君がその母親に暴力を振るって

何度か警察沙汰になったことも、近所なので知っている。

認知症の母親が彼をイラつかせる…それが暴力の原因。

つまりその人は、キンテン君が危ない性質なのを知っているのだ。


その時は警察と病院と民生委員の連携によって

母親を施設へ入所させることでキンテン君と引き離した。

余談になるが当時、キンテン君の暴力を止めに入ったり

施設入所に奔走した民生委員こそ、義母ヨシコの友だち骨肉のおトミ。

家では嫁姑関係が骨肉でも、民生委員として良い仕事をしたらしい。

そんなおトミも、今は認知症で前後不覚である。

《続く》
コメント (4)
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