歌うとか、演奏するとか、速く泳ぐとか、遠くへ飛ぶとか、そういうのは、理解はできます。才能と努力等があれば、こーやって、そーなって、あーなるんだよな、と。
そんな中、理解できないことの一つは、作曲。特に、オーケストラとか、合唱とか、音が重なっていくのを、一人の人が作る技は、どーいう作業が頭の中で行われると、「あーなる」のか、全く皆目理解ができないです。だから、興味津々。曲が「産まれる」瞬間に立ち会うのは、ものすごく興奮します。多分、曲が産まれる瞬間って色々な定義が可能なんだろうけど、私は、作曲家が書き記した時点や、ポロンとピアノで試演した時点じゃなくて、きちんと舞台で演奏された時点、と感じてます。
昨日は、「ヴォクスマーナ(藝大OBOGにより構成された1人1パート編成による声楽アンサンブル)第26回 定期演奏会」でした。よほどの撮影が入っていない限り、二代目も「いーから、行ってきなさい」と送り出してくれる、私の半年に一度のご褒美です。この団体は、毎回4曲歌うのですが、必ず「委嘱新作初演」の曲を舞台に乗せてくれます。そう。曲が産まれる瞬間を聴かせて(見せて)くれるんです。飾りっけもなく、楽器もなく(時々タンバリンとか風船とか使われたりするけど)、10名前後のメンバー(曲により変わる)が淡々と舞台に並んで、何事もなかったような顔をしてどえらい難しそうな曲を歌いきって、拍手に対してチョット微笑む程度で、淡々と舞台から降りていく。そんなことが数回繰り返される2時間。
ものすごい静かな現場で、客席にも一種独特の緊張感があり、私はいつも4曲終わると、ものすごく疲れます。消耗するっていうか。で、最後にアンコールとして、伊佐治直さんという作曲家の方の曲(毎回、新曲初演!)も聴くことが出来ます。それは、多国籍未体験料理を4品食べた後に、上質のミルクと卵で作ったあったかいプリンが出てくるような、そんな感じ。どんなに心がささくれ立ってても、この演奏聴いたら優しくなれるよ。
足利へトンボ帰りして、撮影を中断して待っていてくれた二代目と、夜中まで仕事をしました。限界が近づいてくるといつも二代目を助けてくれる中島みゆきさんと一緒に、「嗚呼~、春は~過ちの源~♪」と歌い、ヴォクスマーナの余韻も何もあったもんじゃないな、と思いながらも、こうやって私が一所懸命「生きてる」現代で、曲がまさに「産まれた」瞬間に今日も立ち会ったんだよなぁ、と妙にしみじみ嬉しく思ったのでした。
ヴォクスマーナ行く度にブログ書いてるけど、なかなか伝わらないかー。行かなきゃ分かんないんだよ、この演奏会は~。次は、9月5日夜7時、東京文化会館です(ファンクラブとして宣伝もちょっとしてみた)。